少し前に、出光美術館に行ってきた。
「出光美術館の軌跡 ここから、さきへII 出光佐三、美の交感─波山・放菴・ルオー」展である。
当館は、今年12月で休館となるため、1年間をかけてコレクションの「粋」を4期に分けて紹介するとのことで、本展覧会は第2弾である。
私のお目当ては、小杉放菴。
2023年3月の国立西洋美術館「憧憬の地 ブルターニュ ―モネ、ゴーガン、黒田清輝らが見た異郷」展で、「楽人と踊子」などの作品を見てファンになった。
出光美術館創設者・出光佐三氏は、板谷波山と小杉放菴と親密に交流していたそうだ。なるほど、それでこの2人の所蔵作品が多いのだな。
とても見ごたえのある展覧会だったので、メモがとても多くなってしまった。
【小杉放菴】
「鎮西画冊 五帖のうち」 昭和3~8年(1928~33)各25.7×18.7
解説パネルに「屈託のない清廉な表現」とあったとおり、眺めているとすっきりとした気分になる。
「山水八種」 昭和9年(1934) 各24.1×19.8
小杉放菴は油彩画家としてパリに留学までしていたほどであるが、帰国後に墨画が多くなったとのことだ。
このシリーズの作品は、墨のかすれたような、もろもろっ(?)とした紙の特質を生かした表現が目を引いた。
「金太郎」 昭和18年(1943) 134.5×134.8
紙、水彩、コンテ。
コンテの特徴がとても出ていて、ふんわりとした雰囲気。解説パネルに「まさかりを担ぎ熊にまたがった金太郎の姿」。金太郎といえば腹掛け姿を思い浮かべるが、こちらの金太郎は、単衣の丈の短めの着物を着ている。
「水郷黄昏」 昭和8年(1933) 77.8×82.6
解説パネルに「柳の木の下、子供が小枝を振り回して家鴨を追っています。柳は放菴お気に入りの麻紙の特質を駆使して乾いた筆をこすりつけて描かれ、葉の一枚一枚が風に揺れてさわさわと鳴っているかのようです」。
この「麻紙の特質を駆使して乾いた筆をこすりつけて描かれ」ている部分がとても良い。小さく描かれた子どもと家鴨も可愛い。
「渓雲」 昭和9年(1934) 55.2×60.3
解説パネルに「薄く霧のかかる渓谷を一艘の小舟が下っていき」とあった。岸に数軒の民家があり、静かで涼しそうである。
「洞裡長春」 昭和3年(1928) 144.2×41.5
松、梅の木が描かれ、中央に座って居眠りをする男の子の姿を洞窟の中から見ているように描かれている。絵の周囲が洞窟の壁面のようにごつごつと黒く塗られている。
「江南水民」 昭和時代前期 122.6×41.3
作品中央に柳の大木の枝が描かれており、下部に鵜飼舟が1艘浮かんでいる。船上に5羽の鵜と1人の鵜匠。表情まで分からないが、皆さん、寛いでいる様子。
「春禽・秋渓 双幅」 昭和16年(1941) 各156.2×39.1
右幅は、梅の木につがいの小鳥、左幅は、1羽の翡翠が岩場に蹲っている 色がきれい。
【板谷波山】
「葆光彩磁葡萄文香炉」 大正時代後期 胴径16.9
解説パネルに「まるで薄絹で包みこんだような淡い雰囲気をたたえる「葆光彩磁」」とあった。なるほど「薄絹で包みこんだような淡い」とは言い得て妙。
「彩磁印甸亜文花瓶」 明治44年(1911) 高33.8
壁に付けられているケースに展示されているため、どうしても花瓶の後ろの部分が見ない。ああ、気になる。
デビュー直後の意欲作の一つだそうで、展示パネルによると「水牛、鹿、水鳥、ネイティヴ・アメリカンの土器の模様を参考」とあった。モダン。素敵。
「彩磁美男蔓水差」 昭和20年代 高19.2
主模様の植物はモクレン科の蔓性常緑木、真蔓だそう。
上部に葉が描かれ、そこから実が垂れ下がっている様子が描かれており、良いなと思った。
ロビーからの風景。
給茶コーナーでお茶をいただいて、ソファに座って、こんな素敵な風景を見ながら休憩できるのもこの12月で終わるかと思うと…。
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日本橋三越本店の「夏のあんこ博覧会」で求めたものである。
石川県「茶菓工房たろう」 「夏窓」
キューブのもなか「夏窓」。
刻み林檎、その下にダージリンとアールグレイの味の紅茶餡が立方体の最中に入っているのである。紅茶の風味がたまらない。
これはとっても美味しい。
「茶菓工房たろう」の「キューブもなか」は、今年2月の「あんこ博覧会」でも「濃茶」と定番のものを味わっていて美味しかった。
新潟県「越乃雪本舗大和屋」 「パーラーやまとや」
喫茶店イメージの上生菓子。上から見ると「エッ、これが生菓子?」
左がメロンクリームソーダでメロン味の金玉。
奥がピーチクリームソーダ。白いクリームに見えるのが淡雪羹、サクランボにしか見えないが、食べてびっくり、あん玉!
ホットケーキの真ん中はメイプル風味羊羹なのだ。