【神宮のルームサービス観戦・前編 ~桃色行脚'18~】 | 監督のささやき戦術

 由宇三条ハマスタと、真夏の太陽の下でのデイゲーム観戦が続いていたここ半月ばかり。

 例年に比べて圧倒的に早く到来した梅雨明け&酷暑もあり、久々に涼しく快適な環境で野球を見ようと思い立って、ナイトゲームのスワローズVSタイガース戦が開催された神宮球場に行かなかった、昨日の休場日の話をさせて頂く。

 

 

 「球場に行かず野球を見たって、ただ単にテレビ観戦した話すんのかよ?」と訝しまれるかもしれないが、そんなカウチポテトな休日を過ごしたわけではない。

 球場には行かなかったが、野球は生で観戦したのである。この場所から。

 これだけだと意味不明に拍車をかけるのみの謎のバックショット。もうちょっと引きの構図で説明すれば、ここがどんな場所なのか一発でお分かり頂けるだろう。

 神宮球場に観戦に足を運ぶ方であれば、その威容を目の当たりにしたことがない方はいないだろう。

 窓越しの桃色野郎がいるのは、三塁側内野スタンドの道路1本挟んだ後方にそびえ立つ、日本青年館ホテルなのである。

 ちなみに前掲のバックショットは、球場内にいた協力者に撮ってもらった、正真正銘の球場から見た図である。

 

 

 2015年7月に着工し、丸2年後の2017年7月に竣工。同年8月より営業を開始したこの日本青年館ホテル。

 定点観測していたわけではないが、神宮で写真を撮るたびに写り込んでいたので、それを使って完成までを振り返ってみる。

 

 これが2016年7月の、着工から1年が経過した頃の眺め

 最初の1年は基礎工事などがメインだったのであろう。この頃はまだ大型クレーンが2基見えるだけで、これからそこに何が出来るのかは知らなかった。

 

 見切れているが、翌春、2017年3月の光景

 オフの間は全く神宮球場に寄りつかなかったため、突如姿を現した(ように感じた)その威容に大いにビビる

 

 そしてこれが2017年7月

 工事も終わり、開業を待つばかりとなった日本青年館ホテル。

 こうして見てみると、神宮球場の一塁側内野スタンドから眺めの、わずか2年ばかりのうちの大きな変容がよくわかる。

 

 

 この球場との位置関係を見て、誰もが一度は考えたのではなかろうか? 「あそこ、部屋から神宮の試合が見られるんじゃね?」と……。

 かく言う自分も、工事中からずっとそれが気になっていたひとり。積年…というほど長い時間は経っていないが、その謎を自ら究明すべく、今回宿泊しに来てみたのである

 

 

 HPによると、客室総数220室を誇る日本青年館ホテル。だが、その全てが神宮球場側を向いているわけではない

 建物の厚みを見れば一目瞭然だが、球場の反対側にも客室があるため、神宮球場ビューの部屋は単純計算で半分の110室ということになる。

 果たして眺望は選べるのか、日本青年館ホテルのHPを確認してみたのだが、どこをどう探してみてもリゾートホテルなどによくある「オーシャンビュー」「シティービュー」のような予約区分は見当たらない

 「部屋から神宮球場を見たい!」と欲して乗り込んだ結果、ただ暮れ行く新宿高層ビル群を眺める羽目になってはかなわないので、直接電話して聞いてみた。

 

 結論から言えば、「眺望に関しては、希望としては承れるが、当日の予約状況次第となるので確約は出来ない」とのことであった。

 「そうですか。じゃあ運を天に任せます」とすんなり聞き分けるほどお行儀がよくできていない桃色野郎。「神宮側の希望が通る確率を上げる方法はないか?」とうざったいくらいあれこれ尋ねてくる奴に対し、「ね~よそんなの!」と一蹴することなく、当日の各部屋の予約状況などから「このタイプの部屋なら可能性が高そうです」と親切にご対応くださったフロントの方

 その勧めに従って宿泊予約を済ませ、迎えた当日。渡されたのは客室としては最上階である15階のカードキー。

 入室即窓際へダッシュ。鼻息も荒くカーテンを開けてみると……

 窓の外には神宮外苑の豊かな緑。そしてその中に佇む、夢にまで見た(誇大表現)神宮球場が!

 親切に相談に乗ってくれたフロントの方、ありがとう!

 

 上掲の写真からお分かりの通り、最上階ということもあって、想像以上に球場内がよく見える

 右手側に目をやると…

 神宮球場の向こうに見える、秩父宮ラグビー場

 

 左手側には神宮第二球場と、建設中の新国立競技場が。

 通い慣れた神宮球場周辺の、見たことのない新鮮な眺めに、めちゃくちゃテンションが上がる。

 

 

 この立地なのだから、神宮球場が見えるのは当たり前。そんなことで浮かれてる場合ではない。

 ここに来た目的は、「果たして日本青年館ホテルから試合観戦を楽しむことができるのか?」の検証。

 結論から申し上げると、「すごくできた!」と断言できる、正直驚きの検証結果となった。

 

 まず驚いたのは、楽天生命パーク宮城の観覧車のてっぺん(地上36メートル)よりもはるかに高い、ビルの15階の位置(推定60メートル)からでも、選手の動き、打球の行方、スコアボードの表示など、意外なほどに問題なく目視可能だったこと。

 相棒のデジカメの40倍ズームを駆使すれば…

 このくらいまで迫ることができる。

 

 かなりの俯瞰ビューなので、フィールド全体を一目で把握できるが、一部見切れるのが…

 照明灯がかかる左中間方面。とは言え僅かの見切れ。熱狂的にレフトの選手を応援している人でない限り、そこまで問題にはならなかろう。てかそんな奴はおとなしくレフトスタンドに行くべきである。

 

 現地観戦の魅力のひとつであるライブ感。

 すなわち場内演出や歓声、応援などの様々な球場音などなどだが、実はこれに関してもすごく聞こえるのである

 日本青年館ホテルが安普請で、防音に問題があるからではない。

 出窓部分についているこれ。正体は外気取り入れ窓

 こうしてパカっと開けると…

 外気とともに流れ込んでくる、球場のアナウンスやトランペットの音

 スタンドよりも高い位置にあるためか、球場外周の地上なんかよりはるかによく聞こえたのには驚いた。

 

 

 ちなみに、客室でなくとも9階にあるホテルフロントロビー、レストランからも神宮球場を眺めることはできるのだが……

 プレイの妨げにならぬようにと、試合中はブラインドを下ろしているので、残念ながら御簾越しに貴人に拝謁するような眺めとなってしまう。

 ゆえに、天上人気分での観戦を決め込むには、やはり客室がマストなのである。

 

 

 想像していた以上に、もはや客席として売ってもいいのではというレベルで神宮球場内を見ることができると判明した、日本青年館ホテル。

 見え過ぎてしまうため、神宮でライブイベント(ちょうど今週末に神宮と秩父宮で開催される「乃木坂46」のライブがまさにそれ)などが開催される際は、神宮側は貸切となり、一般客は入れないらしい。確かにこれではタダ見タダ聞き(ホテル代はかかるが)し放題、写真も取り放題となってしまうであろう。さもありなんである。

 

 ありがたいことに、プロ野球に関してはそういった制約はなく(あったら来ていないわけだが…)、おかげで空調の効いた綺麗な客室から快適に楽しむことができたこの夜のスワローズVSタイガースの話は、また次回に。

 

 

 夜になっても暑さ衰えぬ今日この頃。眺望はゼロだが空調は完備で快適に観戦できる当スタジアムへの皆様のご来場を、引き続き心よりお待ちしております。