おそらく今年最後となる野球場での生観戦を楽しんできた、12月3日(日)の休場日の話をさせていただく。
南行の京浜東北線に揺られ、やって来たのはこの球場。
6月の交流戦以来半年ぶりに訪れた、横浜スタジアム。
師走のこの球場を舞台に開催されたのはこちらのイベント。
横浜スタジアム開場45周年を記念したスペシャルイベント『YOKOHAMA STADIUM 45th DREAM MATCH』である。
まるっきりの余談だが、1978年3月竣工の横浜スタジアムは、1978年2月生まれの自分にとってほぼ完全一致の同い年であり、子供の頃にそれを知って以来そこはかとない親しみを勝手に抱き続けている。
この『YOKOHAMA STADIUM 45th DREAM MATCH』は、ざっくりと説明するならば「OB戦」というくくりになるが、その一言では片付けられない異様なまでに気合の入ったイベントであった。
ベイスターズ歴代スターが集結したホームチーム『BAY DREAM STARS』には……
栄光の1998日本一メンバーはもちろん……
しんどい時期を支えてきた2000年代の選手に……
今現在ここハマスタで活躍する現役選手。そして驚くべきことに……
ついこの間契約したばかりのドラ1ルーキーまで参加しており、ハマスタのこれまでと今とこれからを網羅した、まさに「ドリーム」と言うにふさわしい陣容。
このイベントの前代未聞のスペシャルさは、『BAY DREAM STARS』の対戦相手として召集された『Y45 LEGEND HEROES』にも顕著に表れている。
召集基準は「神奈川県の高校野球出身のレジェンドOB」だが、ベイスターズ主催イベントにもかかわらず「ベイスターズ在籍有無は関係なし」なのだ。
たとえば……
元ドラゴンズの森野将彦さん(東海大相模高校)や……
元マリーンズ・スワローズの成瀬善久さん(横浜高校)など、かつて敵としてベイスターズの前に立ちふさがったプロ野球OBの他……
他球団の現役選手である秋山翔吾選手(横浜創学館高校 ※10月に受けた手術の影響で残念ながら出番はなかったが)に……
プロ経験はない現俳優・歌手の上地雄輔さん(横浜高校)まで参加。
その豪華面子に神奈川高校野球のハイレベルな層の厚さを改めて見せつけられるとともに、単なる一球団のイベントではなく、ハマスタを依り代とした全神奈川野球の一大祭典にしよう!というベイスターズ球団の心意気に胸を熱くさせられる。
綺羅星のごときメンツが集まった『Y45 LEGEND HEROES』にあって、「主役」はやはりこの人だった。
ベイスターズ日本一と同年の1998年に横浜高校で甲子園春夏連覇、プロ入り後の活躍も野球ファンには説明不要の怪物・松坂大輔さん。
試合前のホームラン競争出場からはじまり、試合では打って守って走って最後にはマウンドに上がるという出ずっぱり。
イニング間に流れた神奈川野球出身者、関係者からのVTRで、権藤元監督や谷繫さん、大魔神佐々木さんに「松坂大輔さんがもしベイスターズに入っていたら?」という質問がわざわざぶつけられるあたりも完全に主役。25年も前のドラフトくじのハズレをいまだに未練がましく語られてることがすごい。
注目選手だらけで好プレイ珍プレイも山盛りだった試合の中で、個人的に一番目をみはったのはこの選手の活躍。
ベイスターズ在籍中の2007、08年に2年連続ホームラン王に輝いた通算360発を誇るスラッガー村田修一さん。
初回の第1打席にいきなり……
ライトスタンドにホームランを叩き込んで見せる。しっかり木製バットで。
引退から5年、42歳にしていまだ衰えぬパワー、天性のアーチストっぷりを見せつけられ、スタンドのファンも大盛り上がり。
そのホームランで逆転した直後の2回にマウンドにも立ち……
東福岡高校のエースとして出場した1998年のセンバツで打たれた松坂大輔さんに25年越しのリベンジを試み、返り討ちの逆転タイムリーを打たれたところも合わせ、投打でこの日のハマスタを大いに盛り上げていた。
犬鷲ファン的視点で見ると、この日の出場者で現役時代に我がご贔屓イーグルスのユニフォームを着たことがあったのは3人。
短い付き合いだった下水流昂さんと、二軍投手コーチとして今も仙台にいる久保裕也さん。そしてもうひとりが……
ベイスターズとイーグルスといういずれも日本一が希少な球団で、ともにそれを経験した持ってる男、斎藤隆さん。
在籍はわずか3シーズンだが、特に思い入れの強い2013日本一メンバー。その久々のマウンド姿には胸が熱くなった。
ここでその見どころを全部語っていたら何万字になるか分からないくらい、とんでもなく魅力的でただひたすらに楽しかった『YOKOHAMA STADIUM 45th DREAM MATCH』。開催してくれた横浜DeNA球団には感謝しきりだ。
次回、あるとすれば50周年の節目だろうか。だとすると自分も50歳。5年後もまたこの素晴らしいイベントに参戦できるよう、健康に留意し商売に精を出したいと思う。
球場で野球を見る、という野球ファンにとっての当たり前の日常がしばらく途絶える冬。野球成分欠乏による禁断症状が出たならば、いやむしろ出る前に、年中オンシーズンの当スタジアムへどうぞ。
シーズンオフも引き続き皆様のご来場を心よりお待ちしております。
