【2023リリーズ五大ニュース、からの年末のご挨拶】 | 監督のささやき戦術

 毎度毎度性懲りもなく年の瀬もほんとに残り僅かというタイミングでお送りしている当スタジアム毎年恒例行事、無理矢理ひねり出した今年の当スタジアム五大ニュースで去りゆく1年を振り返るとともに、この場をお借りして改めて年末のご挨拶をさせて頂く。

 

 

◆2023 リリーズ五大ニュース◆

 

第5位 12球団本拠地、再コンプ

 2023年の球界的大トピックのひとつであった、エスコンフィールド北海道の開場

 それに伴い、野球ハコ推しの居酒屋を営む者の説得力のひとつとして、数年来釣書きに記載していた「NPB12球団一軍&二軍本拠地全踏破」が、一時的に欠格に……

 そのただの自己満足のプロフィールを即座に取り戻すべく、とかいうのはあまり関係なく、ただ単純に出来立てほやほやの夢の新球場に開場初年に足を運びたい!という欲求に衝き動かされ、初上陸を果たしたのは6月の交流戦期間中

 聞きしに勝る素晴らしい球場を満喫し、その余禄として「全本拠地踏破」が復活。

 2025年に予定されているタイガースの新二軍本拠地や新ジャイアンツ球場、2027年に茨城移転が計画されているスワローズの新二軍本拠地など、これから先もできたそばから即座に訪れ、自己満足を守り続けてゆきたい。

 

 

第4位 侍ジャパン、『WBC2023』制覇!

 「別にお前んところのニュースでも手柄でもないだろう」と言われればそれはごもっともなのだが、今春の『WBC2023』は当スタジアムにとってとても思い出深い大会となった

 およそ3年もの長きにわたって世の中を大混乱に陥れた新型コロナ禍もようやく終わりが見え始めた頃に開催された今大会。

 コロナ禍中の分断で長らくのご無沙汰となってしまった野球ファンの皆様が、果たしてどれだけ戻って来てくれるのか?という意味で、当スタジアムにとってはコロナ禍戦後復興の行方を占う重要な一大イベントであった。

 その直前の1月2月の客入りもまだまだコロナ禍前には程遠い低調だったこともあって、正直言って不安が先に立つ中で臨んだ『WBC2023』だったのだが、ふたを開けてみれば侍ジャパンの試合日はあっという間にご予約で満席御礼に。

 日本時間午前8時プレイボールという居酒屋的に最悪な条件だった米本土での準決勝、決勝もなんと両日とも満席御礼という驚きの結果に

 この光景には世の中が、球界がかつての日常を取り戻しつつあることをまざまざと実感させられ、大いに勇気づけられた。

 そして当スタジアム開場後の2013年、2017年の二度の『WBC』ではいずれも準決勝敗退だった侍ジャパンが、今大会で世界一奪還を成し遂げてくれたこと、それによって野球の注目度がいつになく高まったことも、コロナ戦後復興に励む当スタジアムへの大きな追い風となってくれた。

 そういうわけで、一野球ファンとしても、野球居酒屋のオヤジとしても、『WBC2023』は一生忘れられない輝かしい大会となったのだった。

 

 

第3位 阪神タイガース、38年ぶり日本一!

 これまた当スタジアムのニュースというよりはただの球界トピックスのようだが、前述の『WBC2023』同様、今年のポストシーズンは忘れられない特別なモノになった。

 コロナ禍中の3年間も毎年CS、日本シリーズは開催され続けたが、客数制限要請などの各種制約に、感染拡大による世情不安での飲み控えの傾向などもあって、厳しい営業を強いられた。

 開幕直後には全制限制約が事実上撤廃され、ようやくかつての日常を取り戻したシーズンに、まるでそれを待っていたかのように球界の主役に躍り出たタイガース

 圧倒的な強さで18年ぶりのセリーグ制覇を成し遂げ、危なげなくCSを突破し、迎えた日本シリーズ。そんなに広くない当スタジアムゆえ、毎年日本シリーズはどこが出場しても席は埋まりはするのだが、今年のご予約の入り方の勢いは過去10年のそれとはけた違いであり、38年の飢餓感に衝き動かされた虎ファンの皆様のパワーに圧倒される

 いくら予約があろうとも、試合が行われなければその大半は流れてしまうので、ただあっという間に予約が埋まったというだけでは喜べない。星取の行方に一喜一憂しながら見届けるのが毎年の当スタジアムの日本シリーズの過ごし方なのだが、最終7戦決着だった今年はそういう意味でも100点満点

 結果、当スタジアム開場からの11年の中で今年がもっとも売り上げたポストシーズンになったのに加え、11月、12月は38年ぶりの日本一を祝う虎ファンの祝宴が連日連夜開催されるなどの副産物もあり、コロナ禍の焼け野原からの復興途上の当スタジアムに、慈雨のような経済効果をもたらしてくれたのだった。

 これがコロナ禍中だったら、ここまで大きく盛り上がり、大商いにもならなかっただろうことを思うと、脱コロナ即虎日本一はこれ以上ない素晴らしいタイミングと言えるわけで、当スタジアムにとって記録にも記憶にも残るポストシーズンになった。

 

 

第2位 リリーズ、開場10周年!

 ここにきてやっとそれっぽい「極々私的ニュース」が登場。

 2013年3月11日、ちょうど『WBC2013』の真っ只中に神田の片隅に人知れずひっそりと誕生した当スタジアムは、今春3月11日、コロナ禍による開催延期という偶然の産物により、『WBC2023』の真っ只中、もっと詳しく言えば日本VSチェコ戦が開催された土曜日に、開場10周年を迎えた

 もちろん自ら商売を立ち上げた以上、「末永く続けたい」という思いは最初から抱いてはいたが、はじめたばかりの頃は明日のことを考える余裕すらない自転車操業の日々(それは今もさほど変わっていないのだが)であり、10年後など夢のまた夢であった。

 明日のことを考える余裕はないから、とりあえず今日、今目の前のことを全力でやっていこう、というノーフューチャーな1日1日の繰り返しをありがたいことに皆様に応援していただけ、支えていただき、それが積もり積もってたどり着いた開場10周年。

 我が寿命が尽きるまで、いや代を重ねて50年100年と存続できるよう、2024年も全力のその日暮らしを続けてゆきたいと思う。

 

 

第1位 リリーズ、つぶれずに1年を乗り切る!

 

 長いこと当スタジアムの定点観測を続けている変人の皆様はご存知だろうが、その年に何があろうとも、当スタジアム的五大ニュースの1位は毎年不変でこれ

 「へ?、そんな当たり前のことがニュース、しかも1位なの?」と訝しむなかれ。大きな知名度も資本力もキックバックをくれるような後ろ盾もコネも人脈もなにもないないづくしの、『3匹の子豚』の最初の豚が作った掘立小屋のごとき吹けば飛ぶような無名弱小零細の当スタジアムにとって、「今年もつぶれなかった」を上回るような慶事、大ニュースなどあろうはずもない

 世の中が事実上の脱コロナを果たした2023年は、直近3年に比べればあらゆる指標が上向きとなり、今のところ順調な復興の手応えは得られてはいる。だが、コロナ前の水準を考えればまだまだ復興途上であり、3年分の甚大なダメージの蓄積もあり、経営的に「完全復活!」と言えるような状況ではない(コロナ前も「儲かってしょうがない!」みたいな時期は一度たりともなかったが……)が、皆々様のおかげでこうして1年を完走でき、無事に年越しを迎えられるのは本当にありがたいことだ。

 明るい事実に目を向けるのならば、「緊急事態宣言」や「蔓防」などの頻発の影響による臨時休場を強いられたコロナ禍中、2021年は134日、2022年で252日だった営業日数を、2023年は301日と完全にコロナ禍前の数字に戻せたこと。そして自分自身も大きな病気やけがなどで離脱することなく、その全日程に参戦できたことは、才能型ではなく「無事惟名馬」型を自認する自分にとってはささやかな喜びである。

 来年のニュースの1位が「リリーズ、ついに力尽く……」という悲報にならぬよう、2024年も全力で突っ走ってゆきたいと思う。

 

 

 年の瀬もギリギリにグダグダと益体もない話を続けてきてしまったが、最後にご挨拶らしいことを少々。

 皆様からの多大なるご愛顧ご声援の賜物にて、当スタジアム開場10周年、11年目の今年も廃業の憂き目を見ることなく年越しを迎えられたことに、この場をお借りして心よりの感謝を申し上げます。本当に本当にありがとうございました。 

 そのご恩に報いることができるとすれば、それは言葉でも態度でもなく、雨が降ろうが槍が降ろうが再び疫病が流行ろうが、いつ行っても楽しい野球ファンのたまり場を全力で死守し続けることより他はないと肝に銘じ、来年も当スタジアムなりの野球道に邁進してゆく所存である。

 開場11年、12年目のシーズンに突入する2024年の当スタジアム開幕戦は1月5日(金)

 新しい1年も変わらぬご愛顧のほどを、そして引き続き皆様の当スタジアムへのご来場を心よりお待ちしております。

 よいお年を!