【ハマの天空ビアガーデン ~桃色席種レビュー'23~】 | 監督のささやき戦術

 もう1ヵ月も前に終了した今季のセパ交流戦。商売優先で試合に合わせて営業予定を組んでいたので、現地に足を運んで観戦できたのはわずか2試合。

 ひとつは、この1ヵ月ばかり過剰なまでにだらだらとつづってきたエスコンフィールドHOKKAIDOのファイターズVSタイガース。

 あともうひとつは、雨天中止分がブレイク期間中に振り替えられた6月19日(月)の横浜スタジアム、ベイスターズVSファイターズ3回戦だ。

 ベイファンの方であれば即座に「ああ、あの試合か……」とピンとくるであろう。勝てばその瞬間にセパ交流戦初優勝を本拠地で決められるはずだった、あの試合である。

 

 前週木曜の試合が雨で流れてすぐに発表されたこの月曜日の振替試合。月曜休場の当スタジアムにはありがたい、普段は野球のない月曜日に観戦機会が回ってきたことに欣喜雀躍し、即座にチケットをゲット。

 月曜の振替試合なんていくらも客が入らんだろうから、空いているハマスタでTBS時代を懐かしみながらのんびり観戦しよう、などと思っていたら、星取のあやで気づけば前述のとおり大一番となってしまったこの日。

 月曜日の振替試合だというのに、横浜スタジアムには32,056名もの大観衆が詰めかける

 スタンドはご覧のありさま、売店もどこも長蛇の列で、「のんびり観戦しよう」という目論見はものの見事に粉砕されてしまった。

 

 1ヵ月も前の試合の話は詳述しない。

 延長までもつれた試合は、ご当地横浜高校出身の万波選手のホームランが決勝点となってファイターズが勝利

 3万超の大観衆の前でのセパ交流戦初優勝決定には失敗したが、翌日イーグルスが神宮で爆発炎上したことで、1日遅れでの初戴冠となったのは、皆様もご存知のとおりだ。

 

 そんなベイファンのため息に包まれた試合を、どちらのファンでもない気楽な立場で観戦したのは、当スタジアムの野球的ライフワークともいえる「ちょっと変わった席種」から。

 正直なところ、むしろその席種ありきでこの日の横浜スタジアムへ足を運んだと言っても過言ではない。

 試合展開などの話は一切割愛して、その初めて訪れた横浜スタジアムの席種のみの話をさせていただく。

 

 

 思い立ったら当日でも全然楽勝でチケットが買えて、入場したら好きなところ座り放題だったのも今や昔。すっかりチケットが取りにくい球場になってしまったハマスタにあって、急遽売り出される雨天振替試合は普段座れない席種への潜入チャンス!と意気込んで今回チケットを取ったのはこちら。

 『スカイバーカウンター』である。

 

 まず球場内の位置を説明しておこう。

 三塁側内野スタンドの一番上、広告看板の真下に横1列で設置されている。

 

 区分としては「ボックス席種」になるが……

 一般的にイメージするテーブルを囲む形ではなく、その名の通り横1列のカウンターにハイチェア、という構造なっている。

 パーソナルスペースもボックス自体もかなり余裕がある作りなので、定員通りに使ったとて「狭っ……」ということはなさそうだ。

 

 そのカウンターはさほど奥行きはないが、ひとりあたりの幅はしっかり取られているので……

 めいめいがハマスタグルメを持ち寄って並べても全然余裕がある。

 

 カウンターの裏を覗いてみると……

 荷物かけのフックが人数分用意されているが、区画当たりのスペースがかなり広くとられているので、これを使わずとも荷物の置き場に困ることはない。

 

 カウンターの真後ろに目をやると、ぽつねんと置いてある謎のアイテム。

 実はこれが『スカイバーカウンター』の最大の特徴、席種名に「バー」がつく理由であるところの、「10Lのビールサーバー」をつかさどる重要アイテム。

 これにビール樽をつないで、空になるまで好きなように飲んでね!という特典がこの席にはついているのだ。

 

 区画後方にある説明書きによると、まずは総合サービスセンターにビール樽の設置の依頼をすることが必要らしい。

 プレイボール1時間前、この日で言えば17時以降順次セッティングとのことだったが、待ちきれず17時で設置をお願いしたのは言うまでもない。

 

 時間の少し前に、10Lのビール樽を担いでスタンドを上がってきたスタッフの方が、そのままセッティングまでやってくれる

 「商売柄自分でできますよ」と声をかけるのも何なので、作業を黙って見守る。

 変な桃色のおっさんが異常なまでにガン見してくるセッティング作業、さぞややりにくかっただろう。スタッフの人、ごめんね。

 

 無事にセッティングが完了したビールサーバー。銘柄はアサヒスーパードライ

 飲食店などにある機械で冷やすタイプではなく、売り子さんが背負ってるのと同じで冷やした樽を保冷バッグに入れての設置のため、時間が経つとどんどんぬるくなるので注意が必要だ。

 

 さっそく始球式ならぬ「始注式」を執り行う桃色野郎の図

 まだ試合開始まで1時間もある薄暮のハマスタに乾杯。

 飲みたい時に売り子さんがなかなか来ない……、などというストレスとは無縁のセルフサーブは、ビール党には最高の観戦環境だ。

 

 ちなみに席からの眺めはこんな感じ。

 最上段なのでフィールドは遠いが、その分全体を俯瞰して見るのに適している。

 真下の観客が立ち上がったとて何の妨げにもならないくらい、目の前の席としっかりと高低差がとられているのも快適だ。

 

 この『スカイバーカウンター』は全部で12ボックスあり、座席表で確認してみたところ、定員6名×10、定員5名×2で総席数は70席。この日座ったのは6名の方。

 お値段は5名ボックスで32,100円(6,420円/人)~52,100円(10,420円/人)、6名ボックスは36,600円(6,100円/人)~60,600円(10,100円/人)の幅の、試合日による5段階の変動制。

 5名と6名とでひとり頭の金額が微妙に違うのは、どちらもついてくるビールが10リットルであり、5名の方がたくさん飲めることになるからだろう。細かいところでしっかりしている。

 この日は急遽開催が決まった雨天振替試合につき、チケット価格が最安の「★1」の設定。それでも6名36,600円は決して「安っ!」というお値段ではないが、ビール10リットルはおよそ20杯分、球場価格換算で16,000円分がそれに含まれていると考えると、がぜんリーズナブルではないか!(酒飲み思考)

 

 内野スタンドの最上段からフィールドの野球を眺めながら、同時に仲間とわいわいビアガーデン的飲み会、という一粒で二度おいしい楽しみ方ができる『スカイバーカウンター』。

 最上段ゆえいちいち階段の上り下りがしんどい、という当たり前の難点がついてくるが、最上段ゆえに通り抜ける風を感じられるので、とても気持ちがよい。

 階段だるい……という方は、最初に大量に食料調達を済ませてしまい、10リットルのビールが尽きるまで籠城を決め込めむのがよかろう。

 

 煙と並び称される高いところ好きであり、ビールも愛してやまない自分的には、かなり楽しい席種であった。

 通常時の価格はそこそこにお高いが、なるほどお高いだけはあると頷ける魅力は十分にある良席なので、今回のような突発的に生まれるチケット価格が安い振替試合などで狙うのにお勧めだ。自分もまたそんな機会を見つけて再訪してみたいと思う。

 

 

 屋外球場で飲むビールがおいしい季節になったなぁ……、などとのんきなことを言っていられない、夜でも熱中症の懸念がある酷暑が続いているここ最近。

 汗をだらだら流しながら球場で飲むビールも季節感に溢れオツではあるが、「ちょっと今日は体調が心配だから涼しく野球観よ……」という時は、空調完備の当スタジアムへどうぞ。

 夏野球本格化の7月後半、8月も、皆様の当スタジアムへのご来場を心よりお待ちしております。