【北の大地の初席種 ~桃色席種レビュー'23~】 | 監督のささやき戦術

 セパ交流戦期間中の6月11日(日)に初めて訪れた北の大地の新球場、エスコンフィールドHOKKAIDO。

 ありすぎるほどに溢れかえっていた見どころの数々に浮かされて(そしてそれを端的にうまいこと文章化する能力がない桃色野郎ゆえ)、過剰なまでの分量で延々続けてきた北広島遠征記。

 その最終回は、初観戦の際に着席した席種の話をさせていただく。

 

↓ここまでのあらすじ

 ①道中編

 ②コンコース編

 ③スタンド編

 ④観戦編

 ⑤試合のない日編

 ⑥内部潜入編

 

 席種の話の前に、余談を少々。

 訪れた6月11日のカードは、セパ交流戦のファイターズVSタイガース第3戦。

 これまでの記事でも触れた通り、現時点で開場後2番目となる32,087名が詰めかけたこの日。球場最多記録の32,558名はその前日の同カードであり、3連戦すべてが大盛況。全国区の人気を誇る老舗球団のエスコン初上陸となれば、当然すぎる結果と言えよう。

 ではなぜ記念すべきエスコンデビューを、わざわざそんな知れ切った超満員の日に設定したのか? 熱心なタイガースファンでもないのに。

 答えは簡単。選んだのではなく選ばれたからだ

 

 ……とやたら大仰な物言いだが、実際のところは大した話ではない。

 足を運べさえすれば正直カードは何でもよかったエスコン初遠征。ならばいっそのこと行く日程は球場の方で決めてもらおうと思い立ち、「ファンクラブ先行抽選販売」扱いのスペシャルシートを、動けそうな日程の中で片っ端から、ランダムに第5希望まで埋めて応募してみたのが開幕前の2月。

 3月中旬にめでたく届いた当選メールが、一応申し込んではみたけど一番の高倍率で絶対に当たらんだろうと思っていた、まさかのタイガース戦の日曜日だったのだ。

 「いきなりフルキャパシティの球場を見に来い」というのが、初遠征の日程決めをゆだねられたエスコンフィールドからの答えだったようだ。

 

 その「ファンクラブ先行抽選販売」対象のスペシャルシートは全部で7席種。同席種の定員違いなどがあり、選択肢としては全部で15種あった中で、抽選に当たって記念すべき初エスコンの初マイシートとなったのはここ。

 『コカ・コーラシート』である。

 

 まずは球場内の位置を説明しておくと……

 『MAIN LEVEL(2階)』一塁側スタンドの外野寄り最上段に、結構ワイドな範囲で設置されている。

 

 スタンド最上段というよりは……

 コンコースの最前列というのが正しいか。イメージに近いのは、かつての東京ドームの内野立見エリア。

 ちなみにすぐ真後ろは一塁側入場ゲートの『コカ・コーラゲート』。この辺一帯を『コカ・コーラ』ゾーンにしようと目論んで、まとめてネーミングライツを取得したのだろうか。

 

 こちらが『コカ・コーラシート』の一区画。

 半円状のカウンターテーブルと、それを取り囲む形で椅子が4脚、という構造のボックス席は、赤黒のコカ・コーラカラー。スタンドが濃いグリーンで統一されている場内にあって、ひときわ目立つ。

 数えてみたら全部で18区画、全て4名席だったので総席数は72席ということになる。

 

 シートは跳ね上げ式で、座面背面はメッシュになっている。

 ZOZOマリンスタジアムの『東洋合成ダグアウトボックス』のシートに似ている、というか素人目にはまるっきり同じモノ(足元以外)に見えたのだが、メーカーが同じなのだろうか?

 可能な限り省面積にしてボックス数を増やそうという考えからか、ボックス内の席間がかなり狭いので、椅子が回転するとはいえ出入りは少々不便だった。

 

 カウンターテーブルはこんな感じ。

 決して大きくはないが、奥行きがあるので皆で買ってきたフード類を並べて楽しむには十分なサイズだ。

 テーブルの裏には荷物を掛けるフックがついているが、目立たな過ぎて試合終盤までその存在に気付かなかった……。

 

 テーブルのど真ん中についていた、この手の席種で、というよりそもそも球場でついぞ見たことのない札。

 そりゃそうだろう……、としか言いようがない。

 

 席からの眺めはこんな感じ。

 今回の席がわりと外野寄りの方だったこともあってか、ライトポール際の一部が見切れになってはいたが、目の前の席とはしっかり高低差がとられているので、観戦中の視界は良好だった。

 

 この『コカ・コーラシート』は、世界的飲料メーカーの名を冠している席ならではの特典として、「コカ・コーラ社のソフトドリンク飲み放題」がもれなく付いてくる。

 その運用はわりと独特で……

 まずは場内のチケットカウンターまで出向いて、飲み放題対象者の証であるシリコンバンドを受け取る。

 こちらがそのシリコンバンド。選手のネームと番号入りで、色もファイターズカラーだし、『コカ・コーラ』のロゴがなければぱっと見は普通に売ってるグッズっぽい。

 渡された4つとも松本剛選手。他のボックスの人を見回してもいずれも松本選手のだったので、日ごとに「今日は7 MATSUMOTOの日」と管理、チェックしているのだろう。

 

 飲み放題のソフトドリンクの提供は売り子さんからのみで、売店は対象外。

 なのでエリア周辺には常時ソフトドリンクの売り子さんが巡回していて、列に並んだりすることなくいつでも飲みたい時に飲めるありがたいシステムだった。

 ちなみに、まったく同名の席種がPayPayドームにも存在しているのだが、調べてみるとあちらは飲み放題ではないようだ。

 

 この『コカ・コーラシート』のチケット価格は、4名1ボックス13,600円(3,400円/人)~20,000円(5,000円/人)の変動制で、日曜日だったこの日は最高値の20,000円だった。

 各地の球場にあるこの手のボックス席種の相場から考えれば、比較的リーズナブルな部類。いやむしろソフトドリンク飲み放題がついてる分、だいぶお得と言える。

 そんな猛者がいるか分からないが、単品価格380円のソフトドリンクを14杯飲めばチケット代は実質無料だ。

 

 座り心地のよいシートに便利なテーブル、すぐ後ろはコンコースなので階段の上り下り不要で売店やトイレにも行きやすい、そして売り子さんがソフトドリンクを運んできてくれる、とグッドなポイントが多いわりにお値段はリーズナブルだったエスコンフィールドの『コカ・コーラシート』。先行抽選参加が必須の人気席種だが、お勧めできる良席だ。

 

 初めて行った新球場なのだから、どこに座ろうが「未踏の新席種」だったにもかかわらず、わざわざ珍席種でデビューを果たしたエスコンフィールド初観戦。

 まだまだ面白そうな席種がたくさんある球場なので、次回以降もちょっと変わった席種を狙って再訪したいと思う。

 

 

 無駄にダラダラとやっていた結果、気づけば1ヵ月以上も前のことになっていた北広島初遠征の話は今回が最終回。

 分量だけは過剰なまでに多く、そのくせ内容は空疎、という遠征記を延々続けてきたが、手を変え品を変え主張しているのは、実は「遠征は楽しいな!」というコロナ禍の断絶を経た今だからこそ余計に実感した当たり前のことだけだといっていい。

 そんな楽しい遠征にまた出られるよう、引き続き自軍本拠地神田でせっせと商売にいそしんでゆく。

 

 

 旅行、遠征需要が高まる7月8月。東京遠征のついでの目的地として選んでいただきたいと願う当スタジアム。

 この夏も引き続き皆様のご来場を心よりお待ちしております。