ロヒプノールとサイレースとフルニトラゼパム | kyupinの日記 気が向けば更新

ロヒプノールとサイレースとフルニトラゼパム

ロヒプノールとサイレースはたぶん共に先発品であり、かなり歴史のある睡眠薬である(リフレックスとレメロンのような併売)。フルニトラゼパムはその後発品(ジェネリック)であり、これもまた歴史が古い。

ロヒプノールは過去ログにもあるが、アメリカで販売されていた当時、1ドルくらいしていた。一方、日本は既に20円くらいとかなり安価であった。日本は古い向精神薬は極めて安価であり、これは健康保険を考慮し厚生省が値決めしていた面が大きい。

アメリカは、特に先発品は薬の値段が高価な上に、日本のように国家による健康保険制度がないため精神科での治療が受けにくくなっている。その理由の1つは、民間の健康保険は高額な上に、精神疾患にかかると、次第に十分に働けなくなり収入が減少するからである(参考)。

実際、僕の友人はアメリカに留学していた2年間、無保険で過ごしたと言う(高すぎて生活できないため)。現在は当時に比べ、良い制度ができているのかもしれない。

今の日本の向精神薬は、どのカテゴリーの薬が高い、安いではなく、古いか新しいかにより価格が2層性になっている。

現在、日本では医療費全体を抑えるために、積極的にジェネリック医薬品を導入するように薦めている。近年はレセプトにも影響するため、各病院は一定割合以上のジェネリックを導入せざるを得ない。

これらは、日本がTPP(環太平洋パートナーシップ協定)に加入すると少し政策が変わる可能性がある。(参考

ロヒプノールとサイレース及びフルニトラゼパムは、構造式としては同一なものだが、製法上の微妙な違いやコーティングの成分などにより、若干、効き味が違うらしい。

まず、先発品の2剤ですら差があり、ロヒプノールの方が濁りがない効き味なんだという。透明感とも言おうか。

また、ロヒプノールに比べ、フルニトラゼパムは若干、重いらしい。

ただし、この差がわかる人は10~20人に1人くらいである。

過去ログでは、デプロメールとルボックスの差について触れている記事もある。

デパスはあまりにも多くの種類のジェネリックが発売されており、エチカーム、セデコパン、メディピースなどはよく聞く。ただし、デパスのジェネリックは効き味にかなりばらつきがあるようである。

特に日中の眠さや血中濃度の上がり方に相違があるように見える。そのため、元々、デパスのジェネリックを飲んでいる人が先発品のデパスに変更した場合、相違がわかることも多い。患者さんに聞くと、

最初は戸惑いましたが、次第に慣れました。

くらいの感想が多い。デパスで重要なのは、どうしてもジェネリックの方が良いという人がいないこと。少なくとも僕は経験がない。このようなことから、紹介されてくる患者さんがデパスのジェネリックを服用している場合、「少し感じが違うかもしれないが、こちらが先発品なんだ」と説明しておくことが多い。なんだか変だが、そういう風にしている。

デパスに関しては、先発品は穏やかで平凡な効き味なんだと思う。

このような話をすると、キリがないのだが、ソラナックスとコンスタンはたぶん共に先発品だと思うが、この2つでさえ相違がある。ある患者さんによると、

ソラナックスの方がコンスタンよりクリアカットな効き方で気持ちが良い。

らしい。ただし、ソラナックスとコンスタンの差を実感できるのは20人に1人くらいである。(数えたことはないが・・)

ソラナックスにもいくつかのジェネリックが発売されており、これに関しても、ソラナックスの評判の方が良い。ソラナックスの方が、自然な効き方なんだという。(人により表現に差がある)。

そういう理由から、ソラナックスはジェネリックに変更すると、先発品のほうが良いと不満を言う人が結構いる。(10人に1人以上の割合)。

もちろん、ジェネリックでも何も変化を感じない人も多いので、それで良い人たちは問題ない。

シンプルな処方の場合、1つのジェネリックの変更に気付きやすい面がある。

参考
デプロメールとルボックスのジェネリック
レンドルミンとグッドミン
ジェネリックの考え方
リスパダールとジェネリック、雑感
ジェネリックの都市伝説
考察、「ジェネリックの都市伝説」
リスパダールOD錠0.5㎎を発売の予定
リスパダールの先発品とジェネリック
ジェイゾロフトとパキシルの力価の話
セロクエル口腔内崩壊錠
海外の薬価の不思議
デパケンシロップとエピレナートシロップ
アリセプトのジェネリック
リピトールのジェネリック

今回の記事はほとんど書き終わった時に、うっかり近くのリンクを触り内容のほとんどがパーになりました。反省しつつ、もう一度書くとなぜか内容がかなり変わったのでした。アメブロはそのまま書いていると、下書き保存が面倒になり、たまにESCに触ったりリンクをする際にミスして記事が消えてしまうことがあります。いつも不思議に思うのは、ほぼ同じ記事を書くのは無理なこと。