リピトールのジェネリック | kyupinの日記 気が向けば更新

リピトールのジェネリック

最近、リピトール(アトルバスタチンカルシウム)のジェネリックが発売された。リピトールは高コレステロール血症の薬でファイザーの超大型商品。世界的にも巨大な売上高を誇る。

リピトールと言う薬は種々の特許の制約があり、ジェネリックをうまく特許に抵触せず製品化できる製薬会社は限られているようである(製造が難しい)。そのため、5社しか発売していない。

一方、アリセプトのジェネリックはそのような特許の制約が少ないためか、33社が発売している。さすがファイザーはしっかりしている(←皮肉)。ただし、ジェネリックのアリセプトは10mg処方ができない。(これも特許。)

リピトールは「結晶」とか「安定性」に特許を持っているらしい。そのため、ジェネリックの製薬会社はリピトールは迂回した製法で作らなければならない。

コントミン(クロルプロマジン)のウィキペディアを読むと、「吉富製薬がその迂回発明に拠る製法特許を取得し・・」とあり、その後、正規輸入クロルプロマジン剤を販売する塩野義製薬と裁判になったことが記載されている(吉富の勝利)。

既に、ファイザーとリピトールのジェネリックの製薬会社は裁判になっている(vsサンド)。「結晶の特許に抵触しているため」と言われている。

最近、TPP(環太平洋パートナーシップ協定)が話題になっているが、知的財産権の保護強化が盛り込まれているので、ジェネリックにも非常に影響が大きい。ジェネリックの販売が制限され、アメリカ製の先発品を長期に使わざるを得ない可能性もある。

これは特に発展途上国で抗エイズ薬の価格に影響が大きいらしい。先日、テレビを観ていたら、東南アジアの反対のデモに参加している男性が、

インド製のジェネリックの抗エイズ薬が手に入らなくなったら、僕たちは死ぬしかないんですよ・・

とインタビューに答えていた。TPPは少なくとも、医薬品に関しては高コストになる危険性を孕んでいる。

なかなか難しい面もあろうが、国は医療費を節減しジェネリックを推進したいなら、もう少し環境を整備すべきだし、国としての意思表示をはっきりしてもらいたいものだ。

参考
デプロメールのジェネリックにSADの適応がない