このブログは個人的なものです。向精神薬については、日常臨床でふと思いついた感想なども書いており、いくらか主観的だとは思っています。その他、「ドラッグ・違法」に属するものも記載しています。このようなドラッグをよく知らないで使う人たちも多くいると思うので、啓蒙になればという気持ちもあります。内容は、決して厳密なものではないです。こういうことをわかっていてほしいです。なお、このブログは2倍の文字サイズで書いているので、ブラウザソフトの文字設定を最大にすると本文の文字が大きくなって読みやすくなります。
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2009-11-20 20:53:41
レオナルド・ダ・ヴィンチの最後の晩餐
テーマ:日記
レオナルド・ダ・ヴィンチに最後の晩餐という絵画がある。この作品はキリストとそのお弟子さんたちが描かれている。
外来患者さんの中にクリスチャンの人たちもいることは過去ログで触れている。僕は無宗教であるが、そのような話が出たとき、急にそれを止めさせるのも変なので、話を聞いていることが多い。それどころか、後学のために質問することもある。この最後の晩餐では、
イエス・キリストは果たしてロン毛だったのか?
という話題になった。その患者さんの話によると、
キリストはたぶんロン毛だったであろう。
と。確かにこの最後の晩餐ではキリストも含め、お弟子さんたちもロン毛の人が多い。しかし聖書では、パウロが髪を切らないといけないと書いているらしい。パウロって、いったい誰なのか聞いてみた。患者さんによると、聖書は手紙形式になっているという。
パウロは一般的にはポールなんだという。
これには笑った。聖書はギリシャ語やアラマイ語で書かれており、パウロの記載は聖書全体の50%以上を占めるという。ポール以外では、
マタイ>>>マシュー
マルタ>>>マーク
ルカ>>>ルーク
ヨハネ>>>ジョン
らしいが、ルークとはルーク・スカイウォーカーのルークである。ヨハネはJで始まるのでジョンなのはなんとなくわかる。
パウロは非常に優秀だったらしい。パウロの記載部分は彼でないと書けないと思われる文章もあるという。例えば「ヘブライ人への手紙」などは文学的であり、ギリシャ語の文章が素晴らしいという。
パウロは元々キリスト教の反対者であった。パウロは反逆者の頭と自分で言っているくらい。聖書はむしろそういう人の方が多くの文章を書いているという。たぶん悔い改めたために多く書いているのであろう。そういう患者さんの話であった。
そういえば、ペテロも少し書いていると言う話になった。ペテロはピーターなんでしょうなぁ・・
ペテロはニワトリが鳴く前に3度拒むであろう。
これはキリストが捕らえられて連行される際に、ペテロに対し、お前はキリストの第二の弟子だろうと疑われたが、ペテロは怖くて出て行けなかった。
「違います」と三度言った。
という。バチカン市国にペテロのお墓があるという。ペテロは悔い改めたために救われた。救われたというが、天寿を全うしたわけではない。ペテロはローマに連行される途中、いったん逃れた。その後、再び捕らえられペテロは逆さ十字架にかけられ火あぶりにされている。それも喜んで逆さ十字架にかけられたという。ペテロは天国のカギを渡された人である。
他のお弟子さんたちの消息を聞いてみた。
ヨハネは島流し。ヤコブは殺された。ルカはお医者さんで弟子の弟子。歴史家で頭が良かった。すべての教派で聖人とされている。84歳で亡くなったらしい。
うーん・・複雑・・ほとんど良い死に方をしていない・・
しかしね。
クリスチャンの人はこんな風にやり取りしているだけで、自然に良くなっていくわけ。このやりとりが、なぜかとても治療的なのである。(話をしているうちに幻聴が止まる、みたいな。)
治療者は無宗教であった方が良い(その方が便利。いかなる宗教の人とも話が合わせられるし)。しかし、国民のほとんどがキリスト教や仏教の国はきっと精神科医もその宗教と思う。
少なくとも、日本で患者を自分の宗教に入信させようとする精神科医や心理療法士は、仕事を辞めてほしい。そういう非常識な治療者は、勧める宗教もカルトに近いものだからである。(カルトでなかったら良いということもない)
(今日のエントリは診察時の記憶で書いているので、細かいところが間違っているかもしれない)
参考
キリストはイケメンだったのか?
患者さんに離婚を勧めてはならない
2009-11-20 00:31:29
大日住薬 (4506) 911円 △ 28
テーマ:SDA
統合失調症治療薬ルラシドンに関し、米国抗精神病治療薬市場は1兆4,000億円で、うち統合失調症で3,300億円と市場は巨大だとして、外資系証券が投資判断と目標株価を引き上げたことで大きく上昇しました。マネックスメールから。
この統合失調症関連で3300億というのは、かなり多いような気もするし、どこまで含むのだろうという疑問も湧く。なぜなら、非定型抗精神病薬は双極性障害にもしばしば使われるから。一応、双極性障害に使われようと、セロクエルなどは統合失調症関連の薬物なんでしょうなぁ・・
まあ、いずれにせよ、新しい薬が開発されるのは良いことだ。
参考
アムロジンとセディール
リフレックスはなぜ不安に効くのか?
2009-11-19 00:17:05
ロナセンの売り上げ
テーマ:ロナセン
先日のエントリではロナセンは中盤に難しい場面があり、さほど売り上げが伸びていないのではないか?と書いている。これは本当なのか、少し調べてみた。
ロナセンは現在年間150億以上の売り上げが見込める状況にあり、発売2年目にしてはなかなかのものだと言う。もちろん、ジプレキサ、リスパダール、セロクエルには及ばないが。
ロナセンは、ずっと使っていると、少し調子が落ちるとか、良くない症状が見えてきて、これは合っていないないのではないかと思うようになる。すんなりと安定しないからだ。
僕は、そのような時、諦めて他の薬に変更するか、あるいは気分安定化薬を併用して乗り切るようにしていた。デパケンR、リーマス、リボトリールなどである。また定型薬を併用することもある。
この中盤に崩れ易い傾向はけっこう他の精神科医も意識しているようで、いろいろ工夫されているようである。そのような時、
ロナセンに、ワイパックスやジプレキサなどが追加されるらしい。たぶん、リスパダール液を追加する医師もいると思われる。
その後、様子を見ているうちに安定してきたら、ジプレキサなどを減量中止する。それがうまくいけば、ロナセンの単剤が実現する。
処方量は、外来8㎎、入院16㎎という話も聞いたが、ちょうど半分になっているのはちょっと出来すぎだと思う。たぶんそんな単純なものではない。
ロナセンが次第に売り上げを伸ばしているのは、薬価が高いためではない。なぜなら、精神科は薬を多く使えば使うほど大損する業界だからだ。その理由は診療報酬上、精神病院では療養病棟の存在が大きいことがある。(また外来処方の品目が多くなる際のペナルティもある)
そこまで頑張ってロナセンが使われるのは、たぶん体重増加がジプレキサ、リスパダール、セロクエルに比べほとんどないことがある。エビリファイも同じようなメリットがあるが、たぶんロナセンの方が初期の煽りが少ないため、まだ使いやすいのであろう。
これは患者さんのニーズもあると思われる。ロナセンはちょっと辛抱が必要な薬なんだと思う。
参考
ロナセンは体重が増えないらしい
抗うつ剤の最小治療量のコメント欄
徒然なるままにアミスルピリドとロナセン
ロナセンの謎
2009-11-17 20:11:01
誰か他の人からベッドの横で覗き込まれるような幻覚
テーマ:内因性の正体
この症状がもし統合失調症の人にあったとしたら、珍しいと思う。全くないとまでは言えないが。
この所見は、あまりにも器質性のもののように見える。特に薬物由来のものだ(アルコールや違法薬物など)。
つまり脳の物理的、あるいは化学的ダメージに由来している。こういう症状がある人は大変だと思う。だって心の休まる暇がないし。
この所見は抗精神病薬ではうまく消失しないとまでは言えない。つまり、薬物は効くこともある。
もちろん一般的な抗精神病薬が全然効かない人がいる。こういう人は大変だが、ひとつずつ薬を探していくしかない。このような時、治療者は絶望を連続して味わう。
こういう症状に対峙した時、治療者のある種のイマジネーションの差が出るんだと思う。
参考
頭のない人が歩いて来る
2009-11-15 23:15:24
デパケンRと広汎性発達障害
テーマ:広汎性発達障害、アスペルガー症候群
広汎性発達障害の人には、デパケンR(バルプロ酸)が何らかの好影響を与えることが多い。
しかし、元々デパケンRは躁うつ病やてんかんの薬であり、広汎性発達障害の人への処方は適応外である。広汎性発達障害に適応がある薬物は限られている。(ADHDへのコンサータやストラテラなど)
つまり広汎性発達障害の人たちへの薬物療法は、ほとんどが適応外処方である。(参考)
広汎性発達障害の人は薬剤過敏性があることも稀ではなく、デパケンRが服用できない人もいる。倦怠感やめまいなどの副作用に耐えられないとか、最初は良かったが、次第に脱毛などの珍しい副作用が明瞭になり中止せざるを得ない場合もある(参考1、参考2)。稀に元々の精神症状を悪化させることすらある。
デパケンRが有効な場合、いったい何㎎服用すれば良いのかは謎である。実際に患者さんにより必要量は幅があるようにみえる。
だから、デパケンR、つまりバルプロ酸の血中濃度を測定し、それが有効血中濃度に至らなかったとしても、それだけでは何も意味しない。もし血中濃度がゼロに近かったら、ほとんど服用していないことがわかるだけだ。
実際、デパケンRを200㎎だけ服用しても、以前より実感がずっと良くなる人がいる。抑うつ気分や厭世観が少なくなるとか、持続的な希死念慮が弱まる人もみられる。漠然とした良くなった感覚だけで、これといった説明ができないこともある。
デパケンRは広汎性発達障害の双極性障害的要素より、むしろてんかん的要素を改善しているように思う。つまり内因性要素より器質性要素を改善する。
だから、絶対的なものではないが、広汎性発達障害にはリーマスよりデパケンRの方が適する確率が高い。(参考)
その人に適するデパケンRの量はなかなかわからない。そういう場合、何度か服用量を増やしたり減らしたりしていると、何かの拍子に、最低このくらいは必要と判明することもある。
楽に600㎎服用できる人は一度1000㎎~1200㎎まで試すべきだと思う。ある患者さんはそういう風に増減を繰り返していて、やっと1200㎎必要なことがわかった。
1200㎎服用することで、携帯電話の料金がかなり減った。それまで孤独感から、あちこちに電話をし過ぎていたのである。また睡眠薬が減り、昼間外出することが増えたという。
どこか遊びに出かけようかと思うようになりました。
と話していた。この患者さんはこれ以外にセロクエルやエビリファイなども服用している。
また、広汎性発達障害へのデパケンRは少ない量だとまあまあだが、多く服用しすぎるとかえって症状が悪くなることがある。これはデパケンRは高CPK血症や悪性症候群を生じうることと、たぶん関係がある。(参考1、参考2)
なんらかの原因で(特にアルコールや心停止)などで脳にダメージを受けたような人はデパケンRを服用するだけで、あたかもセレネースなどを服用したように鎮静的になり、抑うつ気分が出現したり、錐体外路症状が生じる人がいる。老人へのデパケンRも副作用が出やすい。
つまり広汎性発達障害の人たちにとって、平均すればデパケンRはやや重いんだと思う。(だからこそ、効果があるともいえる。)
広汎性発達障害は、デパケンRが必要な人でも適切な量を決めるのが難しい。それは、彼らの必要量は、双極性障害ともてんかんとも異なるからである。
またセロクエルやエビリファイなどの非定型抗精神病薬を併用する場合、デパケンRが少なくて済むということもある。だから、個々の人で全く異なるので、マニュアル化はできない。
少し意味が違うが、興味深い言葉がある。
ある人に合う靴も、別の人には窮屈である。あらゆるケースに適用する人生の秘訣などない。(ユング)
参考
デパケンR
デパケンRで髪の毛が抜ける副作用
デパケンRによる脱毛の薬物中止後の推移
広汎性発達障害に非定型抗精神病薬は適切なのか?
躁うつ病は減っているのか?
悪性症候群の謎
ECTによる治療と回復過程
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