このブログは個人的なものです。向精神薬については、日常臨床でふと思いついた感想なども書いており、いくらか主観的だとは思っています。その他、「ドラッグ・違法」に属するものも記載しています。このようなドラッグをよく知らないで使う人たちも多くいると思うので、啓蒙になればという気持ちもあります。内容は、決して厳密なものではないです。こういうことをわかっていてほしいです。なお、このブログは2倍の文字サイズで書いているので、ブラウザソフトの文字設定を最大にすると本文の文字が大きくなって読みやすくなります。

船上のコアラ3

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2012-02-15 21:15:16

強迫症状はどう治れば良いのか?

テーマ:アナフラニール
強迫症状と言っても背景疾患は色々だし、重さについても千差万別なので、万人に通用する方法(方針)ではない。

若い人では、強迫症状があるといって、安易にパキシルやデプロメールなどを投与するのはお薦めできない。

その理由は、現代社会の若者では、強迫がいくらか緩和しても他の症状が悪くなったり、場合によってはそれまでなかった扱い難い症状が出現するからである。

扱い難い症状の1つは、暴力や破壊行為である。また希死念慮や発作的な過食なども含まれる。

理想的には何らかの治療を行い、全般の症状が改善し、その結果、強迫症状が極めて軽くなるか、消失するのが望ましい。

つまり強迫障害には直接ターゲットを絞らない。横目で見ているだけである。

簡単に言っているが、実際に治療するとそう簡単ではない。過去ログでは強迫に対しいくらか好影響を与える薬物として、ルーランやカタプレスを挙げている(実際に良くなった記事もある)。

アナフラニールはSSRI発売前は強迫神経症などに良く処方されていた。アナフラニールは、SSRIタイプの扱い難いタイプの悪化が少ないため、若い人でも選択肢に入る薬である。

かなり前だが、300mgのデプロメールが処方されていた患者さんが転院して来た。数年かけて50mgまで減量している。その人は統合失調症の患者さんであるが、家族によると、強迫はあるものの、300mg処方していた時期よりもずっと軽くなっていると言う。また、爆発的な怒りが減少し、家の掃除なども手伝えるようになったらしい。

ブプロピオンは強迫や不安には効果が乏しいかほとんどないタイプの薬である。しかし、ブプロピオンを継続することで、結果的に強迫症状が緩和しているのは時々診る(こういうのはブプロピオンが効いたとはみなされない)。

単に、全体の病状が改善しただけである。

昔は強迫症状にはセレネース、オーラップ、メレリルなども使われていた。強迫は薬理作用的にセロトニンを増加させるタイプが効き味が良いが、そういう効果を持たない薬も有効なのである。


つまり、現代の若者の精神疾患の内容を吟味し、治療したためにかえって悪化するようなことがない治療方針で臨むことが良いと思う。

2012-02-13 21:10:30

ラミクタールの中毒疹の随伴症状

テーマ:ラミクタール
ラミクタールは現在、4剤型が発売されている。成人用としては25mg錠と100mg錠で、いすれも角が丸くなった正方形で概ね円形に近い。表面には25、100と用量の記載がある。(もちろん大きさも違う)。

また、小児用に2mg錠と5mg錠があり、5mg錠のみちょうど25mgのジェイゾロフト錠のように細長い形状になっている。

2011年3月の震災時、避難所では結構けいれん発作があったという。これは種々の理由があるが、てんかんの診断を受けていない人でも、例えば連日飲酒していた人が突然、酒を飲まなくなると痙攣が起こることがある。また、高齢者には意外にてんかん患者さんが多い(有病率が高い)ことも関係している。


また、てんかんの診断を受けていて服薬をしている人でも、着の身着のままで避難してきた人では薬がなかった人もいたと思われる。避難所はストレスフルであるし、ろくに眠れないため、痙攣が起こりやすい条件が揃っている。(不眠はてんかん発作のリスクになる)。

震災地では、早期にDMATが活躍し、とりあえずデパケンRが大量に使われたようである。デパケンRは未だになぜ痙攣に効くのかよくわかっていない薬だが、副作用が比較的少ないことや広い範囲のてんかんに有効であるため使われたものと思われる。

なお、DMATは災害派遣医療チームDisaster Medical Assistance Teamから来る。これは阪神・淡路大震災時に医療の対応が遅れたために亡くなった人が少なからずいたことから創設されている。

震災時に、ラミクタールを100~200mg服用していて、大きい剤型のラミクタールが手に入らないことがあったらしい。小児用の2mg、5mg錠は在庫にあったため、これらを毎日大量に服用していた人もいたらしい。(一般的に、1日100mg服用している人に、ラミクタール5mgを20錠処方したらレセプトで減点になる)。

今回は、ラミクタールを開始後、怪しげな湿疹が出現した際に(この時点で中止すべきだが)、深刻な中毒疹に発展しかねない所見を挙げる。これはグラクソの注意喚起のパンフレットにも記載されている。

①38度以上の高熱が出る。
②全身がだるい。
③目が充血する。
④唇がただれる。
⑤喉が痛い。


湿疹が出た上に上記のような随伴症状がある時は、すぐに主治医や薬剤師に相談すべきである。

なお、日本でラミクタールが発売されて以降、医師が最初からラミクタールを50mg投与し、スティーブンス・ジョンソン症候群が生じた例もあったらしい。処方ルールは厳格に守るべきだし、急ぐ必要はあまりないのでゆっくり増量することが重要である。

参考
ラミクタールとスティーブンス・ジョンソン症候群
ラミクタールと重篤な中毒疹
2012-02-13 00:05:34

地面に座っているコアラ

テーマ:旅行
kyupinの日記 気が向けば更新 (精神科医のブログ)

ゴールドコーストのカランビン・ワイルドライフ・サンクチュアリにお住まいのコアラ。

このように地面にゆっくり座っているのを初めて観た(走るコアラは過去ログにある)。

kyupinの日記 気が向けば更新 (精神科医のブログ)

すぐ傍に職員の足が見えるので大きさがわかる。比較的小さい色白のコアラだった。(謎)

kyupinの日記 気が向けば更新 (精神科医のブログ)

観ているだけで和む。
2012-02-12 12:54:03

スタンリー・キューブリックのシャイニング

テーマ:プレコックス感
スタンリー・キューブリックのシャイニングと書いたのは、スティーヴン・キングのシャイニングもあるから。映画「シャイニング」はスティーヴン・キングのホラー小説に基づく。

キューブリックの映画はスティーヴン・キングの意図とはかなり乖離していたため、スティーヴン・キングが腹を立て、彼によるシャイニングも製作されている。僕はキューブリックの作品の方が傑作だと思う。

内容的には、真冬の間、閉ざされるロッキー山脈にある巨大ホテルの管理を任されたジャック(ジャック・ニコルソン)が精神に変調をきたし、家族を襲い始めるというホーラー映画であるが、なかなか奥が深く、1回観ただけではなかなか理解し難い。

僕は色々な考え方が許される映画と思う。たぶんキューブリックもそういう意図があったと思われる。

映画の各場面に計算された象徴的な映像が出現する。最も印象的なのは、最後の場面で、狂気の末、雪の迷路で凍死したジャック・ニコルソンが過去の写真に取り込まれた場面だと思う。

彼はあたかも生命が宿っているような巨大ホテルの歴史の1ページになったのである。それを象徴しているのがあの写真だと思う。

主役のジャック・ニコルソンは狂気をうまく演じていると思うが、あの演技をずっと見ていると、どうしても統合失調症には見えない。だいたい、目の動きもそれとは違うし、プレコックス感もない。

統合失調症ではないので、仕方がないが・・

ジャック・ニコルソンが狂気に至った際に、タイプライターで同じ文章を延々書き綴った場面が出てくる。だいたいあれも統合失調症の症状ではない。あのようなことをした統合失調症の人を診たことがない。

元々、あの映画では、ジャック・ニコルソンは統合失調症になったわけではなく、狂気が取り付いた「エクソシスト」タイプの現象を描いているので、こういう議論も意味がないと言えばそうなのだが。

いずれにせよ、ジャック・ニコルソンはあの映画では最も適役だったと思われる。

キューブリックはジャックの奥さんには夥しい回数NGを出したらしいが、ニコルソンがそう見えないのは気にならなかったようだ。

専門家ではないのでこれもやむをえない。

参考
惑星ソラリス
2012-02-11 18:31:12

精神科の怪しい伝説①

テーマ:電撃療法(ECT)
精神科の怪しい伝説は色々あるが、その1つに、

ECTをすると薬が効かなくなる。

と言うものがある。これは結論からいうと明らかに逆である。ECTの手順的には、ECTの直前に薬を減量するか中止する。病状が悪く、減らすに減らせない統合失調症の人などは、以前はあまり減量せずに実施していた。

これはECTの目的や服薬している量にもよるので、一概に言えない。

ECTを数回実施し奏功した場合、しばらくは薬はなしでも良いほど。しかし、ECTは永遠には効かないので、普通は何らかの薬が必要になる。

僕はジプレキサ20mg他多くを服用していた非定型の色彩のある統合失調症の人にECTを実施した後、半年間はルーラン4mgだけで良かったこともある。

実施前は保護室に収容しなくてはならないほどの病状だったのである。(>この人

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