重度かつ継続 | kyupinの日記 気が向けば更新

重度かつ継続

自立支援法の診断書には「重度かつ継続」に該当するかどうかを記載する部分がある。実はこれに該当するかどうかは患者さんには大きな意味がない。あくまで疾患の重さの判断についてであるが。

自立支援法では「重度かつ継続」に該当と判断されると、自己負担額の上限が下がるのである。だから患者さんの世帯で県市民税を支払っているような家庭では、「重度かつ継続」と診断されている方が個人負担が少なくて済むことになる。(この業界では本人の収入より、その世帯の収入により判断される)

また単身生活者で障害年金2級だけだと県市民税が発生しない収入なので、「重度かつ継続」と書かれていても支払い額が減少するメリットがないのであった。

結局、わりあい軽くて就労もでき、収入が比較的ある人こそ、「重度かつ継続」と診断された方がメリットが大きいことになる。

これこそ、「重度かつ継続」のパラドックスと言えた。

しかし・・
実は高額な医療費を支払っていないとあまり意味がないのである。精神科では訪問看護やデイケアに頻回に参加していないと、たいした医療費にならない。

僕の外来患者さんは、デイケアに参加していない場合、高くても月間の医療費が2万円を越えることは少ない。外来では無茶な処方が少ないのも関係している(ジプレキサ20㎎とかセロクエル750㎎の処方が皆無と言う意味)。

結局、このような人は自立支援法では2万円の医療費としても、2000円の支払いでしかないのであった(10%負担なので)。

普通の人は上限のシバリなんてあってないようなものなのである。

例えば、デイケアに参加しまくって、月に18万くらい医療費がかかったとする。この場合、自立支援法による10%でも18000円となり、患者さんには大変な負担と言える。こういう時に「重度かつ継続」に該当するかどうかが生きてくる。支払いの上限が決められているからだ。

県市民税が2万以上20万未満の人>>1万円(18000円、10%負担のため)
県市民税が2万円未満>>5000円(同上)


前者では8000円、後者では13000円の減額になっている。これは大きい。

このようにある程度の収入がある人は、「重度かつ継続」かどうかで大違いなのである。しかし、ある程度の収入が得られるほど仕事ができる人が毎日デイケアに参加しているということがかなり珍しい。むしろ、うちの患者さんでは同居している父親にある程度の収入があり、本人は統合失調症で毎日デイケアに参加しているような人が最も「重度かつ継続」のメリットがある。

2週に1度しか通院しない程度の人なら、「重度かつ継続」と判断されなかったとしても、支払額は変わらないのであった。(普通の人は月に2~3千円程度の負担なので)

ただ、自立支援法を受けるかどうかは大きいと思う。例えば2万の医療費でも6000円支払うか2000円で良いかでは大違いだからだ。(3割負担が、自立支援法で10%負担となる)

今日のまとめ
1、自分が「重度かつ継続」とされているのを見て、工エエェェ(´д`)ェェエエ工 と思うのは意味がない。

2、なるだけ自立支援法などの医療サービスを受けるようにしましょう。