デエビゴやベルソムラとベンゾジアゼピン系眠剤の話 | kyupinの日記 気が向けば更新

デエビゴやベルソムラとベンゾジアゼピン系眠剤の話

デエビゴは2020年7月に発売された新しいタイプの眠剤である。

 

 

デエビゴは処方してみると、レンドルミン(ブロチゾラム)、マイスリー(ゾルピデム)などと同じレベルの催眠作用があるようである。しかし、意外に翌日の眠さが出て、そのために続かない人がいる。他のいくらか眠さも出る向精神薬、例えばレクサプロやサインバルタとの併用の人ではそこまで眠さを感じない人が多い。

 

一般に非ベンゾジアゼピン系眠剤とは、マイスリー、アモバン(ゾピクロン)、ルネスタ(エスゾピクロン)を言う。これらは薬理学的にベンゾジアゼピン系の薬理作用と似ているが、レセプターへの選択性からベンゾジアゼピンの欠点が少なくなっているのである。

 

例えば、これら非ベンゾジアゼピン系眠剤は、ロヒプノール(フルニトラゼパム)ほどの抗不安作用を持たない。それはその部分への作用がかなり制限されているからである。その他、離脱、依存性もベンゾジアゼピン系よりかなり少ない仕様であるが、全くないわけではない。また、高齢者で転倒しやすくなるなどの欠点もないわけではないので、根本的に異なる薬理作用を持つ眠剤の創薬が期待されていたのである。

 

デエビゴ、べスソムラ、ロゼレムは上記に比べ、生体の自然な部分を利用した新しいタイプの眠剤である。

 

 

ロゼレムは従来型の眠剤に比べ効果の点で不足しており、現在、特に精神科ではそこまで多く処方されていないと思う。ベルソムラは結構使われているが、マイスリーやレンドルミンなどに比べ効果が若干劣るので、不眠の強い人はどうしても従来型の眠剤を処方せざるを得なかった。

 

デエビゴは従来の眠剤に比べても催眠作用は遜色がなく変更もしやすくなっている。デエビゴは5㎎から始めても10㎎まで増量できるというのがベルソムラと異なるメリットである。

 

本来、デエビゴやベルソムラは新規の患者さんだけを対象に開発されたわけではない。もしいったんベンゾジアゼピン系眠剤を服用し始めたら止められないとすれば、製薬会社がデエビゴを開発する意味すらないであろう。その理由は容易に変更ができないからである。

 

現況、簡単に変更できていることを見ても、ベンゾジアゼピン系眠剤がネット上で語られているほどの大きな離脱の問題がないことを示している。