おはようございます。

不動産鑑定士の塚田です。


日本の法律(建築基準法)では、用途地域や建ぺい率、容積率などの制限はありますが、法律や条令で定められた制限の範囲内であれば自由に建物を建てることが出来るのが原則です。
しかし、建築基準法上の道路に面していない土地には、建物が建築することは非常に難しくなります。



都市計画区域及び準都市計画区域内(日本の人口の大部分がこの地域内に住んでいます)においては、以下のいずれかに該当する幅員4m以上の道路に2m以上接していなければ建物を建築することが出来ません


一  道路法による道路(4211号道路


二  都市計画法 、土地区画整理法等の法律による道路(4212号道路


三  この規定が適用された際に現に存在する道(4213号道路


四  道路法 、都市計画法 、土地区画整理法等による新設又は変更の事業計画のある道路で、二年以内にその事業が執行される予定のものとして特定行政庁(建築主事を置く地方公共団体で、人口25万人以上の市や特別区などが該当します)が指定したもの(4214号道路


五  土地を建築物の敷地として利用するため、道路法 、都市計画法 、土地区画整理法等の法令によらないで築造する道で、特定行政庁からその位置の指定を受けたもの(4211号道路位置指定道路ともいいます))


但し、幅員4m未満の道であっても、この規定が適用された際に現に建築物が立ち並んでいる道で特定行政庁の指定したものは、道路とみなします。
このとき、道路中心線から2mの線が道路境界線とみなされます(422項道路)ので、建物を建て替えるときには道路中心線から2m下がって建てなければなりません(これがセットバックと言われるものです。

ここまでがいわゆる、建築基準法上の道路で、これらのいずれかに面していないと、建物を建てることが難しくなります。


なお、例外的に、43条但し書き道路と呼ばれる道路があります。
43条但し書きとは、その敷地の周囲に広い空地を有する等の条件を満たす建築物で、特定行政庁が交通上、安全上、防火上及び衛生上支障がないと認めて建築審査会の同意を得て許可したものについては、上記に該当しなくても、建物を建てることが出来る、と言う規定です。
一見、道路のように見えて、建物が建っていても、43条但し書きに該当して建てられている建物があります。
しかし、法律上は道路ではないので、建物を建てるときには、その都度、特定行政庁の許可が必要です。
現在建っている建物が43条但し書きに該当して建てられていても、今後建物を建て替えるときに許可が無い場合には建て替えが出来ませんので、今後、建物が建てられない、建て替えが出来ない、と言うことになるかもしれません。

また、43条但し書きにも該当しない、全く道路に面していない土地(無道路地といいます)や、建築基準法上の道路に面している部分が2m未満の土地も、建物が建てられない、建て替えが出来ない土地です。


建物が建てられない(建てられないかもしれない)土地は、建築基準法上の道路に面している土地よりも価値が低くなります。
このような土地の上に建物が建っているものは通常、再建築不可物件と呼ばれ、相場より安く取引されています。

ちなみにこのような、道路に該当するかどうかについては、特定行政庁(大き目の市や特別区、それ以外は都道府県の建築事務所など)の建築指導課などで、誰でも調べることができます。

こんにちわ。 

今週の絆・火曜コラムは、行政書士 濱田 英明が担当します。


相続の話を進める上で、相続人が誰かを特定する必要があります。 

「あ~AさんとBさんとCさんだな。」っとお考えの貴方!

油断は大敵ですよ。

DさんやEさんが出てきた時、例外なく皆さん驚きの声を上げます。


かく言う私も・・。祖父や父の事は、よく知りません。

祖父は、サイパンで、戦死。 祖母や父は戦後大変苦労した。 

この程度しか知りません。 話したがらないので、聞きません。

昔、父に・・オッと自分語りはこの辺に(苦笑)


さて本線に戻して、相続人が誰かは、戸籍謄本等を揃えることで探ります。

この作業の中で、家族の知らされていなかった、相続人が出てきたりします。 当然、この新たな相続人も、遺産分割協議に、含めなければなりません


新たな相続人の、行方が分からない場合。(違う言い方をすると、現在の所在を知られたくない等)


戸籍の附表に「平成○年○月○日職権消除、平成○年○月○日通知」と記載され以後の所在が明らかにならず親類への聞き取りでも所在が判明しない。こうなると困ります。


新たな相続人を、遺産分割協議に、含めたくても含められません。


この様な場合「不在者」となります。

不在者がいる場合、

①失踪宣告もしくは

②不在者財産管理人を選任する事になります。

①・②に付いて詳しくは、また別の期会でお話しできればと思います。


仕事柄、驚きの声を上げる場面に、何度か遭遇します。

戸籍を遡るのは、大変デリケートな作業です。

ご本人が、墓場まで持って行った、家族に話したくない事を、お伝えする訳で・・。

当然、事情を聞いたりはしません。

記載の事実のみをお伝えします。


「未婚で出産したから・・当時は許されなかった」

「家の為、養子縁組(離縁)したんだよ」

ご本人が、健在なら現代との異なる時代背景も踏まえてお話しいただけるのかもしれませんね。


今は、話したがらないので触りませんが、私もいつか、父の戸籍を遡る事があるかもしれません。

その時は、あんまり驚かせてほしくはナイな。

っと思ってます。


それでは、今回はこの辺で失礼いたします。最後までご覧頂きありがとうございました。


こんにちは、弁護士の白木です。

【分割の方法】

「遺産を相続人で分ける」


書けば非常にシンプルですが、実は結構困ることもあります。
亡くなったお父さんは、土地は持ってたけど、お金は100万円の貯金だけ。
相続人はお母さんと子供3人。


土地もお金もお母さん1人に相続させるってことでいいよね、とか、土地はお母さんに、貯金は子供3人で分けると協議がまとまればメデタシメデタシ。
あとは遺産分割の協議書を作成して、土地は登記しましょ。相続税はどうかしら?という次のステージに進めます。


しかし、協議がまとまらないこともあります。特に相続人は子供3人だけ、なんて時は兄弟同士ですが、それぞれに家庭を持っていたりして事情があったりするわけですね。


割にとられる方法は現物分割。この場合、例えば土地は長男に貯金100万円は長女に、とその項目ごとに分けることになります。
が…


【換価分割】

次男「まった、俺にも父さんの財産を引き継ぐ権利があるはずだ!!!」

ふうむ、なるほど。


不動産が仮に分筆しても資産価値を有する大きさ、形状であれば、お父さんの土地を分筆して分けるということもなくはない…でも、そんな例はあまりなさそうですね。
こんな時はどうしたらいいのでしょう?


換価分割。お金に変えてしまってこれを分割するというわけです。
お父さんの土地をそのまま2つに切ってしまったら資産価値を失ってしまうような場合でも、全体を売却した代金を分割すればいいというわけです。


【代償分割】

長男「いや、駄目だ、この土地は先祖代々のもの。そう簡単に売る訳にはいかないよ」

ふうむ、なるほど。それは困りましたね…

こんな時にはもう一つの方法、代償分割。
特定の相続人が多く取得した分に見合った金銭を他の相続人に支払う遺産分割の方法です。

この場合、長男は相続財産を多く取得することになるわけですから、元々の自分の相続分よりも多い分について代償金を支払うということにして、次男(それに、貯金ではたりないということであれば長女も)がこれを受け取る事で解決するということになるわけです。


代償分割については税金どう考えるの?等の問題もありますので、専門家に相談をすることをおすすめします。


納得の行く相続の方法がみつかるといいですね。

皆様、こんにちは。
今週は、司法書士の木藤が担当させて頂きます。

$あなたの相続問題に“総合力”でお応えするプロフェッショナル 集団 「絆の会」のブログ


最近、金融機関さんからご相談頂く案件でこのような事例がございます。

(事例)
山田千吉さんは事業の融資を銀行から受けており、銀行はその担保として千吉さんが所有する自宅に抵当権を設定していました。千吉さんの事業が信用不安に陥ったため、今般、銀行が競売申立をしようとしたところ、千吉さんがお亡くなりになりました。千吉さんの遺産は法定相続人である子供の太郎さん、二郎さん、三郎さんが相続する予定でしたが、3人は家庭裁判所に相続放棄をしました。


不動産登記簿は所有者を「住所」「氏名」で特定します。

所有者
東京都中央区京橋一丁目●番●号
山田千吉


さきほどの事例でもし自宅を子供3人が相続した場合は、

原因 平成24年5月22日相続

共有者
東京都中央区京橋一丁目●番●号
持分3分の1
山田太郎

東京都中央区京橋一丁目●番●号
持分3分の1
山田二郎

東京都中央区京橋一丁目●番●号
持分3分の1
山田三郎


と登記されます。
銀行は競売申立をし、甲区に差押登記を入れたいので、その前提として相続人に代わって相続登記を申請することができます。

(ご参考)
【絆・火曜コラム】 債権者代位による相続登記(2011年10月18日)

http://ameblo.jp/kizunanokai/entry-11051461781.html


さて、今回の事例は子供3人が家庭裁判所で相続放棄をしております。第一順位の法定相続人が相続放棄をしますと、第二順位、第三順位の相続人へとお鉢が回ってきますが、もし相続すべき人が誰もいなかった場合はどうなるのでしょうか?

民法は相続人の存在が明らかでないときは、相続財産が「法人」となると規定おります。そして、利害関係人(例、銀行)は家庭裁判所に相続財産の管理人の選任を請求できます(※通常、この相続財産管理人は弁護士さんが就任されます)。

この後、選任された相続財産管理人は下記の様な業務を進めます。

・債権者や受遺者(遺言により財産を受け取る人)に申出をしてくださいと公告する。

・引き続き相続人の捜索をする。(例、隠れた子供など)

・特別縁故者(例、被相続人の生前に療養看護に努めた方)に相続財産を分与する



このような業務中であることが、不動産登記簿でも明らかになります。山田千吉さんの所有名義が下記のように表示変更されるからです。

原因 平成24年5月22日相続人不存在

所有者 亡山田千吉相続財産



なんだか温もりのない名義ですね。もし不動産登記簿に「あれ? なんだろう?」と不思議に思う記載がありましたら、我々司法書士まで是非お尋ね下さい。

※【参考】民法第951条
(相続財産法人の成立)
第九百五十一条  相続人のあることが明らかでないときは、相続財産は、法人とする。




こんにちは。今回の担当は行政書士の植松です。

前回のコラムでは、遺言書に絵文字(^^)の使用ができるかを書いてきました。

遺言書は、どのような書き方をしても、法で定めた必要な要件が整っていれば有効ですから、品格があるかどうかは別の問題として、絵文字を使用することは可能です。




実筆証書遺言であれば、

自書で書くこと(代筆はダメ!)、

確定日付があること(日付が特定できればよい!)、

印鑑があること(三文判でも可能!)

という3大要素があれば有効でした。




こうした要件が整っていれば、文章が敬体でも常体でもローマ字でもOKです。

「土地と居住用建物は妻に相続させる」でも、

「土地と建物は愛する妻に相続させてください」でも、

tochi to tatemono wa,tsuma ni souzoku saseruでも、

「二束三文の土地とボロ家は、愚妻にやってくれ(+_+)でも、

いずれも場合でも効果はあるでしょう。

さすがに、最後の例では亡くなってからの社会的評価がどのようになるかは不安ですが、法的効果は認められることでしょう。




だけど、これだけ簡単に書くことができる遺言書ですが、実際に遺言書を書いている方はまだまだ少ないのが現状です。




理由として、

遺言書を作るほどの財産がない、

土地と古い家があるだけで、資産はない、

子どもたちの仲がいいので心配はいらない、

などという話を聞きます。




最近の新聞発表によると、相続額の平均は3172万円になるそうです。

莫大な相続税こそかからない額ですが、相続人が住宅ローンや子供の教育資金に頭を悩ませていれば、ノドから手が出るほど欲しい額です。


それにも拘わらず、被相続人が遺言書を作成しないとどうなるか。


保険代理店を営んでいたある方の例です。

この方は保険を活用した相続コンサルのような営業も行っていました。

被保険者が亡くなった場合の保険金額と生存時の年齢別必要額の保障など、説得力のある営業で、多くの顧客を抱えていました。しかし、自らの相続対策については、不備がありました。



この方の配偶者はすでに亡くなり、相続人になるのは長男、長女、次男の3人です。

この方の資産は長年住んできた不動産のみで、金融資産などはありません。
評価額1000万円程度と見込まれる不動産は長男に、長女と二男には、自らの死亡保険金をそれぞれ1000万円ずつが支払われるような保険契約を締結していました。

この方は、子供3人に1000円ずつ渡るように考えた結果だと思います。




しかし、生命保険などの保険金は相続財産とは別物ですので、長女と二男には、必ず受け取ることができる法定相続分=遺留分 を長男に主張できます。

兄思いの長女と二男は、長男に対して遠慮もあるし、仲の良い長男に対して遺留分など求める気はありませんでした。

ここまでなら、想定内です。

しかし、問題となったのは長女と二男それぞれの配偶者です。

もちろん、配偶者には遺留分を主張する権利はありませんし、相続人でもありません。

しかし、家計のプラスになるのであれば、もらえるものは主張するべき!となってしまいます。

そこで、仲の良かった兄弟は、「評価額1000万円程度と見込まれる不動産」をめぐり、それぞれの配偶者をまきこんでケンカ状態となってしまいました。




保険代理店を営んでいた方としては想定外の出来事でしょう。




こうした状態は、事前に遺言書を作成するなり、専門家に相談されていれば十分に回避できた紛争です。遺言書自体は簡単に書けるのですから、一度だけでも相談されてから書いてみましょう。


遺言書は、多くの財産を持つ場合だけのものではありません。普通の財産を持つ、普通の家族でこそ重要になってきます。


絵文字を使って、不備のない想いのこもった遺言書を作成してみてくださいね(^^)v。


ゴールデンウィークも終わり、東京では夏日と梅雨のような日が交互にきています。そのような中、521日には東京でも金環日食が見られます(^O^)
世紀の天文ショーを見ながら、家族のことを考えてみてはいかがでしょう(^^)

ぜひ晴れてほしいものですね!



ではまた。





こんばんは、遅くなりました。弁護士の白木です。

さて、公証役場で遺言書を作る場合は別として、遺言書は自分で書く、のが原則です。
でも、重い病気を患い、自筆では書けない人はどうしたらいいのでしょうか。

実は公証人は出張もしてくれます。ですので、自宅や病室でも公正証書遺言を作成することはできるのです。なお、公正証書遺言の作成時には証人が二名必要なのでお忘れなく。

とはいえ、緊急で公証人が確保できるかも危うい、ということはあるわけで…



そんなときの遺言が危急時遺言です。


危急時遺言の場合は遺言者の口授が可能です。証人三人のうちの一人がこの口授を筆記します(手書きです。)。筆記後に証人と遺言者に読み聞かせまたは閲覧させて、誤りがないことを確認してもらい、証人が署名押印します。はんこがない!というときは、ない理由を記載した上で押印しなかったことを明記します。

推定相続人などの利害関係人は証人にはなれません。また、口授したり、読み聞かせの内容を理解する遺言能力は必要ですのでご注意ください。

本来遺言書を自筆にさせるのは、それをもって遺言者の意思に基づいて作成されたことが表されると考えているからなわけですが、この場合は自書ではないわけですからその点は担保されないですよね。
これを補うのが確認の制度です。

確認は遺言者がご存命の時は遺言者の住所の管轄の家庭裁判所、お亡くなりになったときは最後の住所地の管轄の家庭裁判所に申し立てます。20日以内に行う必要がありますのでくれぐれもご注意ください!


これと紛らわしいのが検認で、自筆での遺言書と同様にこの危急時遺言にも家庭裁判所の検認が必要です。




こーんなにいろいろ手間はかかるものの、やはりこれはあくまでも緊急時のものということで、遺言書を作成して後、6ヶ月経過すればこの遺言は無効になります。ですので、体調が持ち直したのなら先ほどの公正証書遺言の作成を視野に入れておくとよいですよ。

さて、弁護士の仕事で遺言絡みのお仕事は珍しくはないですが、この危急時遺言はかなり珍しいです。
ですが、実はこの間このお仕事がありました。

意識があるうちに、ということで時間的に大変お急ぎだったので(まぁ、そりゃそうです)、ご事情をお聞きし、原案をまとめるところまでは私の仕事。

ですが、もちろん、お話いただくのは遺言者その人であります。

かなり重い状況だというお話をお聞きしていましたが、気を張っておられたのでしょう、私が伺った時には背筋もしゃんとされていて、ご事情を訥々とお話されていました。
その人の歩んできた道が本当に見えてくるような想いがして、本当に涙が出そうでした。

先程も申し上げたとおり、この遺言状の効力はたった6ヶ月の命ですが、それを越えてお元気になって効力をふきとばしてくださればと心からそう思ったお仕事でした。
皆様、おはようございます。
今週は、司法書士の木藤が担当させて頂きます。

$あなたの相続問題に“総合力”でお応えするプロフェッショナル 集団 「絆の会」のブログ


■相続人の1人が代表して相続登記はできるか?

お客様からしばし頂くご質問がございます。
例えば、このような事例で・・・

(事例)
お父様がお亡くなりになり、相続人は太郎、二郎、三郎の3人兄弟です。実家の所有名義がお父様のままでしたので、3人の話し合いにより法定相続分どおり、各3分の1ずつで相続することにしました。太郎と二郎は仕事が忙しく、なかなか相続登記の手続きを進められません。

このような事例で三郎さんから頂くご質問にこのようなものがございます。


<質問1>
「取り急ぎ、自分(三郎)の持分・3分の1について相続登記はできますか?」

<回答1>
できません。

不動産登記法上、3分の1についてだけ相続登記がされますと、権利関係を明確に表す「公示制度」の理念に反するため、そのような申請は受理されません。

それではどうするか?

仕事の忙しい太郎さんや二郎さんに代わり、二人の戸籍謄本や住民票などを三郎さんが代わりに取得をします。さらに三郎さんは太郎さんと二郎さんから登記申請についての委任状を貰えれば、

3分の1 太郎
3分の1 二郎
3分の1 三郎

の相続登記を三郎さんは申請することができ、登記も受理されます。

<質問2>
「太郎が海外出張に行っており、委任状も貰えないのですが、委任状なしで各3分の1ずつの相続登記を自分(三郎)ひとりで申請することはできませんか?」

<回答2>
できます。但し、1点注意事項があります。

三郎さんが一人で、自分の持分3分の1についてだけ相続登記を申請することはできませんでした。しかし、三郎さんが太郎さんと二郎さんの分も含めて、言わば3人を代表して、各3分の1ずつの相続登記を申請することは認められております。これを「保存行為(※)としての相続登記申請」と言います。

各3分の1ずつ法定相続分どおり相続することについては3人で合意が取れており、その登記を三郎さんが代表して登記申請をしても、太郎さん・二郎さんには(利益こそあれ)不利益はありません。仕事が忙しい兄に代わって弟が面倒な手続きをするのは良いことですが、1つ注意事項があります。この形式で申請をしますと・・・

太郎さんと二郎さんについて、登記識別情報(≒従前の権利証に当たるもの)が発行されません。

ここが委任状を貰った場合の回答1と、貰わなかった場合の回答2の、大きな相違点です。当初から登記識別情報が不発行ですと、将来、この物件を売却したり、融資に伴う担保設定をする場合などに、太郎さんと二郎さんについては、手続きが面倒になります。時間が許す限り、委任状を貰う形式がお勧めですね。

<余談>
諸般の事情により、保存行為としての相続登記申請をしようとした三郎さん。数年前から行方をくらませていた太郎さんについても住所を証明する「住民票」「戸籍の附票」を区役所でとることができたのですが・・・、なんと、住所が不明のために記載がされていない・・・。

この時も三郎さんは相続登記ができるのでしょうか? 続きは次回にご紹介したいと思います。



※【参考】民法第252条但書
共有物の管理に関する事項は、前条の場合を除き、各共有者の持分の価格に従い、その過半数で決する。ただし、保存行為は、各共有者がすることができる。

こんにちは。今回の担当は税理士新井山です。


前々回お話しした「小規模宅地の特例」について、再度進めていきます。


例示として、家族4人(父・母・子ども2人)を想定して考えてみましょう。

子どもは既に独立し、それぞれ持ち家に住んでいる状態です。


今回父が他界、相続が発生しました。


父の遺産は

自宅の土地 5000万円

自宅の家屋 1000万円

現金      100万円

定期預金   3000万円

投資信託   400万円


以上合計9500万円とします。


仮に、自宅の土地家屋を母が相続し、それ以外の遺産は3人で1/3ずつ相続すると

相続税は全くかかりません。


逆に自宅の土地家屋を子どものいずれかが相続、それ以外の遺産を1/3ずつ相続すると

相続税がかかります。

ちなみに375,000円(3人合計)です。


この違いは、自宅の土地をだれが相続するかによって変わるからです。


自宅の土地を

〇配偶者

〇同居親族

〇持ち家のない相続人(「家なき子」なんて言います)

〇生計を一にしていた親族

が相続すると価格の80%を上限に減額することができます。

ですので、実際の遺産総額は9500万円ですが、

5500万円(自宅土地5000万円→1000万円)に減額されるので

相続税がかからないというわけです。

小規模宅地の特例を使うことにより、相続税の心配がほとんどなくなるわけです。


ここで前回の話に戻りますが、

この「小規模宅地の特例」を受けるための条件が狭まりました。


次回はその辺に進化させてご説明します。






    

こんにちは!

今週の絆・火曜コラムは、行政書士 浜田 英明が担当です。


今回は、農地の相続に関して、ちょっと書かせて頂きます。

まず、初めに国内の農地は、農地法によって色々な制約が課せられてます。


代表的なものに


農地法3条 農地を農地のまま、『貸したり借りたり』『売ったり買ったり』これは許可が必要です。


農地法4条 自己所有の農地を、農地以外の利用を行う場合。(ウチの畑に子供の家を建てるような場合)


農地法5条 農地を農地以外の利用目的で、『貸したり借りたり』『売ったり買ったり』こんな場合も許可が必要です。


農地は、他にも沢山の法律に守られています! 何故この様に厳重に守られているのか?

これは、農地法の1条によると 耕作者の地位安定・農業生産の増大・食料安定供給確保 となってます。

農地をしっかり守ることで、国民全体の利益を守っているのですね。


さて、そんな農地は、ガッチリ守られすぎてイザ所有者が何かしようとしても、様々な証明や申請書類を集めたりと難儀します。 農地の中には、農振法でさらに、ガッチリ守られている農地もあり、自己の所有地でありながら、事実上耕作以外は出来ない場合もあり得ます。 


しかし、ガッチリ守られてる農地も相続の場合は、比較的容易に承継が可能です。(但し、農地関連の法律や規則は多数あります細心のご注意を) 


農地法は、平成21年12月15日に「改正農地法等の一部を改正する法律」が施行され、相続の場合、3条の届け出制度が創設されています。、相続等により農地を取得したにも関わらず、この届出をしなかったり、虚偽の届出をした者は、10万円以下の過料に処される場合があります(農地法第69条)


日本の大切な農地、しっかり次世代に繋ぐためにも、早めの準備・検討をお勧めいたします。


では、今週はこの辺りで失礼いたします。 最後までご覧頂きましてありがとうございます!
 

こんばんは、不動産鑑定士の塚田です。


今日は、相続とは直接関係がありませんが、不動産に関する税金のことをお話したいと思います。


今年、平成24年は、3年に1度の固定資産税の評価替えが行われる年です。
固定資産税は、役所から通知が来て、その税額を支払うのですが、今年のような、3年に1度の評価替えのときには、この固定資産税評価額に不服を申し立てることが出来て、もしかしたら固定資産税額が下がるかもしれない、というのはご存知ですか?


今回は、固定資産課税台帳の縦覧という手続きをご紹介します。


固定資産(土地・家屋)の評価は、固定資産評価基準に基づいて行われ、市町村長(東京都23区内の場合は都知事)がその価格等を決定することになっています。
このようにして決定した価格等は固定資産課税台帳に登録され、この価格に基づいて固定資産税が課税されます。
縦覧とは、この登録された価格について、固定資産税(土地・家屋)の納税者の方が、その価格が適正であるか、他の土地・家屋と比較できるようにするための制度です。
固定資産(土地・家屋)が所在する区で課税される土地(家屋)の価格が記載された土地(家屋)価格等縦覧帳簿をご覧になれます。


縦覧手続きは、東京23区の場合、以下のとおりとなっています。


1.縦覧できる方
(1) 当該固定資産(土地・家屋)の納税者
(2) 納税者から縦覧することについて委任を受けている方


2.縦覧期間
平成24年4月2日(月)から7月2日(月)まで
(ただし、土曜、日曜日、祝日を除きます。)


3.縦覧時間
午前9時から午後5時まで


4.縦覧の場所
固定資産(土地・家屋)が所在する区にある都税事務所


固定資産課税台帳の登録価格に不服がある場合には、固定資産評価審査委員会に対して、審査の申出をすることができます。


審査の結果、価格に誤りがある、などの理由により評価額が安くなれば、固定資産税の額も安くなります。


縦覧期間、審査の申出が出来る期間は限られていますので、それぞれの自治体の窓口でご確認ください。