こんにちは。今回の担当は行政書士の植松です。
前回のコラムでは、遺言書に絵文字(^^)の使用ができるかを書いてきました。
遺言書は、どのような書き方をしても、法で定めた必要な要件が整っていれば有効ですから、品格があるかどうかは別の問題として、絵文字を使用することは可能です。
実筆証書遺言であれば、
自書で書くこと(代筆はダメ!)、
確定日付があること(日付が特定できればよい!)、
印鑑があること(三文判でも可能!)
という3大要素があれば有効でした。
こうした要件が整っていれば、文章が敬体でも常体でもローマ字でもOKです。
「土地と居住用建物は妻に相続させる」でも、
「土地と建物は愛する妻に相続させてください」でも、
「tochi to tatemono wa,tsuma ni souzoku saseru」でも、
「二束三文の土地とボロ家は、愚妻にやってくれ(+_+)」でも、
いずれも場合でも効果はあるでしょう。
さすがに、最後の例では亡くなってからの社会的評価がどのようになるかは不安ですが、法的効果は認められることでしょう。
だけど、これだけ簡単に書くことができる遺言書ですが、実際に遺言書を書いている方はまだまだ少ないのが現状です。
理由として、
遺言書を作るほどの財産がない、
土地と古い家があるだけで、資産はない、
子どもたちの仲がいいので心配はいらない、
などという話を聞きます。
最近の新聞発表によると、相続額の平均は3172万円になるそうです。
莫大な相続税こそかからない額ですが、相続人が住宅ローンや子供の教育資金に頭を悩ませていれば、ノドから手が出るほど欲しい額です。
それにも拘わらず、被相続人が遺言書を作成しないとどうなるか。
保険代理店を営んでいたある方の例です。
この方は保険を活用した相続コンサルのような営業も行っていました。
被保険者が亡くなった場合の保険金額と生存時の年齢別必要額の保障など、説得力のある営業で、多くの顧客を抱えていました。しかし、自らの相続対策については、不備がありました。
この方の配偶者はすでに亡くなり、相続人になるのは長男、長女、次男の3人です。
この方の資産は長年住んできた不動産のみで、金融資産などはありません。
評価額1000万円程度と見込まれる不動産は長男に、長女と二男には、自らの死亡保険金をそれぞれ1000万円ずつが支払われるような保険契約を締結していました。
この方は、子供3人に1000円ずつ渡るように考えた結果だと思います。
しかし、生命保険などの保険金は相続財産とは別物ですので、長女と二男には、必ず受け取ることができる法定相続分=遺留分
を長男に主張できます。
兄思いの長女と二男は、長男に対して遠慮もあるし、仲の良い長男に対して遺留分など求める気はありませんでした。
ここまでなら、想定内です。
しかし、問題となったのは長女と二男それぞれの配偶者です。
もちろん、配偶者には遺留分を主張する権利はありませんし、相続人でもありません。
しかし、家計のプラスになるのであれば、もらえるものは主張するべき!となってしまいます。
そこで、仲の良かった兄弟は、「評価額1000万円程度と見込まれる不動産」をめぐり、それぞれの配偶者をまきこんでケンカ状態となってしまいました。
保険代理店を営んでいた方としては想定外の出来事でしょう。
こうした状態は、事前に遺言書を作成するなり、専門家に相談されていれば十分に回避できた紛争です。遺言書自体は簡単に書けるのですから、一度だけでも相談されてから書いてみましょう。
遺言書は、多くの財産を持つ場合だけのものではありません。普通の財産を持つ、普通の家族でこそ重要になってきます。
絵文字を使って、不備のない想いのこもった遺言書を作成してみてくださいね(^^)v。
ゴールデンウィークも終わり、東京では夏日と梅雨のような日が交互にきています。そのような中、5月21日には東京でも金環日食が見られます(^O^)/
世紀の天文ショーを見ながら、家族のことを考えてみてはいかがでしょう(^^)
ぜひ晴れてほしいものですね!
ではまた。