(伊弉諾神宮)


【古事記神話】本文 (~その15 大八嶋國 前編)



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「天之御柱」を反対方向に廻り、出会ったところでプロポーズ!ところが伊邪那美命が先に言ったため生まれたのは蛭子と粟嶋、いずれも不具なので流し去りました。ここまでが前回の記事

伊邪那岐命が先にプロポーズをすると約束しリベンジ!…からが今回の内容。

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【読み下し文】
而して故に反り降り 更に其の天之御柱を往き廻り 先の如く是れに於ひて伊邪那岐命先に阿那邇夜志愛袁登賣と言ひて 後に妹伊邪那美命は阿那邇夜志愛袁登古袁と言ひき 此の如くに言ひ竟へ而して生みし子は淡道之穂之狹別嶋 [別云ふは和氣 下此れに效ふ]


【大意】
そして「淤能碁呂嶋」に戻り再び「天之御柱」を廻りました。言われた通りに伊邪那岐命が先に「ああ!何と良い女だこと!」と言い、伊邪那美命が後に「ああ!何と良い男だこと!」言いました。そうして生まれた子は「淡道之穂之狹別嶋」です。


【補足】
◎太占の神託通りに、伊邪那岐命が先にプロポーズ!今度こそ成功!
◎「淡道之穂之狹別嶋」が生まれました。紀では「淡路嶋」と記されており、淡路島のことであると考えて良いかと。
◎「淡」は「粟」、「穂」はそのまま「穂」、「狹」は穀霊神の「サ」(「桜の語源」記事参照)。つまり「粟の穂の穀霊神が坐す島」ということかと思います。

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【読み下し文】
次に伊豫二名嶋を生みき 此の嶋は身一つにして而して面四有り 面毎に名有り 故に伊豫國は愛[上]比賣 [此の三字以て音 下此れに效ふ也] 讚岐國は飯依比古と謂ふ 粟國は大宜都比賣と謂ふ [此の四字以て音] 土佐國は建依別と謂ふ


【大意】
次に「伊豫二名嶋(いよのふたなしま)」(四国のこと)を生みました。この島は身は一つながら面(顔)は四つ、面ごとに名前があります。伊豫国は愛比賣、讚岐国は飯依比古、粟国(阿波国)は大宜都比賣、土佐国は建依別と謂われます。


【補足】
◎淡路島の次は四国を生みました。「身は一つで面(顔)は四つ」という表現が面白いところ。キングギドラか…。
伊豫国→愛比賣 (エヒメ)
讚岐国→飯依比古 (イイヨリヒコ)
阿波国→大宜都比賣 (オオゲツヒメ)
土佐国→建依別 (タケヨリワケ)
◎愛媛県がこの「愛比賣」を起源としています。
◎「伊豫二名嶋」は四国を指しますが、「二名」は二組のことと解されます。飯依比古&建依別、愛比賣&大宜都比賣の、二男神と二女神の二組と捉えるのが一般的。
これとは別に、飯依比古&大宜都比賣の食物神ペア、愛比賣&建依別の剛男美女神ペアと捉える説も。こちらの方がしっくりとくるのですが。

どうやら文字数オーバー、今回はここまで(残念)

(伊弉諾神宮 ご本殿)