☆八龍王八箇石 (「大国見山」山頂)



標高500mの「大国見山」山頂に座す磐座群。
石上神宮の東北東4~5kmほど、また「日ノ谷」の「八つ岩」は東方1kmほど。

またすぐ下に総数40~50体ほどもあるかという大磐座群があります。

あくまでも印象という範囲ではあるものの、すぐ下の大磐座群とは異なる磐座群ではないかと。

下の大磐座群が縄文時代あるいは旧石器時代に組み上げられたであろう磐座であるのに対し、当磐座群は遥か後の時代のものではないかと考えます。

・小振りな岩であること
・組んだというよりもバラバラに据えたものであること
・上古の磐座に多く見られる斜面などの困難な場所に組まれたものではなく、山頂の平たい場所を選んで据えられていること

以上がその理由。下の大磐座群を鑑みるなら同様の巨石が据えられたはずではないかと思うのです。

この磐座群についての資料がほとんど見当たりません。唯一と思われるのが「八伎大蛇が素盞鳴命に八つ裂きにされたのが落ちてきた」というもの(ネット資料から抜粋)。

これは「日ノ谷」の「八つ岩」と類似する伝承。
「八つ岩」の伝承については類似伝承が多くあるようで、時代とともに伝承が少しずつ変化してしまったものと思います。

当磐座群の「八龍王八箇石」というのは、「日ノ谷」の「八つ岩」の伝承の一つとして存在する名称と同じ。混乱交錯したものと考えていいのではないかと。

この伝承は、
・「日ノ谷」の「八つ岩」
これらの神社や史跡をひとまとまりにして考える必要があると考えています。

またさらに、
・出雲国「八岐大蛇」神話
なども関連してきます。


それは「石上振神宮略抄」にあるようです。

「八剣神とは八伎大蛇の変身であり、素戔男尊に斬られ八つの蛇となって昇天し、水雷神となって聚雲の神剣に付き従って布留河上の日の谷に降臨。これは八龍王八箇石として残る」というもの(ネット資料より抜粋)。

これは「日ノ谷」の「八つ岩」に関するもの。式内社 八剣神社に関するものであり、上記一連の社と関わりがあります。

内容を比較すると、神剣にくっついて八つ裂き龍がバラバラと落ちてきてたというものと、神剣とは関係無しに八つ裂き龍がバラバラと落ちてきてたというものと。

つまり神剣に関係の有る無しの違いのみ。石名も同じことから混乱している可能性がかなり高いかと。

八箇石の中には丸穴が開いたものがあり、これを「盃岩」と称して、岩刻文字が見られるとしている団体も。そしてこれを「大国見山」の御神体と考えているようです。

この岩はすぐ下の大磐座群との境にあり、「八龍王八箇石」の中では最大のもの。

ひょっとすると下の大磐座群の一部であったものが、後に八龍王八箇石」の一部に加えられてしまったという可能性もありそうです。






丸穴が開いているのが「盃岩」。