八劔宮 (熱田神宮別宮)
(はっけんぐう・やつるぎのみや)


尾張国愛智郡
名古屋市熱田区神宮1-1-1(熱田神宮境内)
(P有)

■延喜式神名帳
八劔神社の比定社

■祭神
熱田大神
[相殿] 天照大神 素盞嗚尊 日本武尊 宮簀媛命 建稻種命


熱田神宮境内に鎮座する別宮。古来より摂社の筆頭として別格に祀られてきました。別宮とされたのは明治に入ってからのこと。
◎元明天皇、和銅元年(708年)に新造の宝剣を納めたとされ、これをもって創建としています。朝廷より勅使が遣わされ、西夷降伏祈願が行われます。この時に八劔宮が創建され新造の宝剣が奉納されたというもの。
◎ところがこれに対応する記述は正史には見られません。また「西夷降伏」とは何を意味するのか、この時代に西夷などあろうはずもなく不明。さらに「八剣」が「八本の剣」を意味するものかどうなのかも不明。
◎これに対して「熱田宮旧記」という書(江戸時代に熱田神宮が尾張藩に提出した書)に、草薙剣に比して「八州安国の剣」として八剣宮が祀られるようになったとあります。また別説を挙げ、日本武尊が東征の後に東国の鎮として草薙剣を熱田宮に留めたが、西国の鎮として八剣宮が創建されたと。この書を信じるなら「八本の剣」ということではなさそうです。
◎当社は全国「八剣神社」の総本山的な見方をされています。また別にごく一部で元祖「八剣神社」であるとされるのが、大和国山邉郡の「夜都伎神社」。こちらは十二神社八剱神社夜都岐神社の三社が論社。その元社とも言われる龍王神社も加えるべきかと考えています。また「吾は尾張氏の女(宮簀媛か)が祭る神」と告げた神が鎮まる出雲建雄神社(論社は出雲建雄神社葛神社雄神神社)も関連するかと考えます。もちろん石上神宮も。熱田神宮を含め、これらの社の歴史を考える記事をいずれ作成したいと思います。

*写真は2019年9月撮影のものです。