◆高野秀行『西南シルクロードは密林に消える』を読み解く



高野氏は、辺境冒険作家。



★要旨



・それはまだ夏の暑さの残る9月のことだった。

東京、吉祥寺は井の頭公園の入り口にある焼き鳥屋で、

私は知り合ったばかりの若いカメラマンと一杯やっていた。



・陽が沈むまでにまだかなり間があったが、

私はすっかり酔いがまわって上機嫌であった。


「西南シルクロードを全部、陸路で踏破するっていうのはどうかな?」



・若いカメラマンが、

「今度、一緒に何か企画をやりませんか」

と訊ねたとき、

私はほとんど無意識的にそう答えていた。



・「西南シルクロードというのはね、

世界でいちばん知られていないシルクロードなんだ」

私はこれから何十回と繰り返すことになる、

説明の第一回目を始めた。



・「オレにはゲリラに知り合いがいる。

『行きたい』って言えば、協力してくれるはずだよ」


カメラマンは、

しばらく注がれたビールを見ながら黙り込んだ。

フリーランスの私とはちがって

彼は講談社という会社に属するカメラマンだ。



・今回は、

「『会社の仕事』という枠を超えた企画にチャレンジしたい」

という思いで、

共通の友人を介して私に声をかけてきた。



・だから、この手の話に興味が湧かないはずはなかったが、

反政府ゲリラの協力を得て旅をする、

という私の提案は「会社の仕事」どころか、

彼の想像力も超えていたらしい。



・「とんでもないことになった」

翌朝、まだ酔いが残る状態で目覚めた私は、

前夜のことを思い出し、

呆然としていた。

冷静になってみると、

こんな旅が現実にできるとは到底思えなかった。



・だいたい、

私はここ2年ほど「どん底」の状態にあった。

30代も半ばになり、

取り組むべきテーマが見つからず四苦八苦していた。

自信喪失であり、ウツ状態に陥り、

外出するのも億劫になり、

典型的な「引きこもり」だった。



・唯一、元気なのは酒を飲んでいるときだ。

半アル中なので、酒が入ると、

とたんに活力がよみがえる。



・「世界でいちばん知られていなくて、

世界でいちばん古いシルクロード」を

「戦後、世界で初めて踏破する」

という計画には抗しがたい魅力があった。



・何のことはない、

私はカメラマンの森清を説得するふりをして、

自分を説得していたのである。



・こうして、

無謀な旅の計画が本格的にスタートした。

といっても、バリバリと下調べを行ったり、

旅の準備をはじめたわけではない。



・まず、昼間から酒を飲むのは止めることにした。

用があってもなくても、

一日一回は外へ出かけるようにした。

とにかく「ふつうの人間」に戻ることが先決だ。

ゼロからの出発どころかマイナスからの出発である。



・もちろん、こんな情けない状況は、

カメラマンの森清に報告しなかった。

電話や会って話をするたびに、

「準備は万端」「なんとかなる」を繰り返した。

不思議なことに何度もそう言っていると、

自分でもそれが真実のような気がしてくる。



・2月末に日本をでたときには、

完全な見切り発車だったにもかかわらず、

根拠のない自信すら芽生えていたくらいだ。

しかし、世の中は甘くなかった。



・体験として実感を得たものが2つある。

1つは、西南シルクロードは、

道というより「地域」ではないかと思った。



・結局、そこにあったのは「道」ではなく、

「人のつながり」である。



・私が途中から「道」に興味を失い、

もっぱら人とのやりとりに集中するようになったのも

それに由来する。



・成都からカルカッタまで

大勢の人々の手をわずらわせて

たどりついた21世紀の交易品「高野秀行」は、

何と引き替えになったのか。



・愚考するに、

それは「記憶」ではないかと思う。

私の存在が彼らの記憶に残ったのは言うまでもなく、

彼らは私に自分たちの記憶を託した。



・記憶を託すべく私に多くを語り、訴え、

ときには危険を顧みず、

私の身を助けてくれた。



★コメント

人々の人生には、

語りつくせない多くのことがある。

そのようなストーリーを心に記憶したい。




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◆高野秀行『地図のない場所で眠りたい』を読み解く



高野氏は、辺境冒険作家。

本書は、角幡唯介さんとの対談。



★要旨



・40歳くらいまでは、

年収が200万にいったことがほとんどなかったけいれど、

今はかなり忙しい。

オレ、主夫もやっている。



・兼業主夫。

本業はライター。

料理を朝晩作って、洗濯して、

それからもろもろ買い物とか家事もやっているから

すごく忙しい。



・かみさんが10年ぐらい主婦やっていたから

交代しようということで、いま俺が3年目。



・原稿は、ドトールで書いている。

もう、家では書けない。

まずネットがつながっちゃうと、

集中できない。



・原稿に詰まると、

メールをチェックしたり、

ヤフーニュースを見たりしちゃう。

ドトールで仕事するようになってから、

書ける量がすごく増えた。



・ネットだと出所が定かでない情報が多すぎて、

それを調べだしたらきりがない。

どこかで線引きしないと、

検索で永久に時間が過ぎてしまうことがある。



・やっぱり人に会って聞くのがいちばんいい。

文献資料を読んで、

最後は人に話を聞く。

やっぱり現地に行った人じゃないと、

生の情報は持ていないから。



・本を書いた人がいるじゃない。

「本を読んだので、お話を聞きたい」

といったら、断る人はまずいないよ。



・キャンパスノートの日記。

メモ帳はその場で書いて、

翌朝に前日の日記を書いてまとめる。

日記は、もう文章にして読める物語にしちゃう。



・海外から帰ってきてからは、

そのノートを何回も読む。

それは消化するためで、

あとはもう日記は閉じて、

一から組み立て直すという作業をする。



・出納帳、買い物記録。

学生時代にインドに行ったときに、

いくら金を使ったかを書き留めておいて、

そのついでにその日にあったことを書いていたんだよ。

その手法が意外によくてね。



・使った金を書いていると、

その日の記憶がかなり蘇るんだよね。

あと、なにを食ったかも書くね。

飯も記憶を掘り起こしてくれるんだよ。



・俺はまず、人に読んでもらいたい。

そのためには、まず一文読んでもらいたい。

一文を読んだら、次の二文目も読んでもらいたい。



・そうやってつなげていって、

一段落ができて、一段落読むと、

次の段落も読みたくなる、

という意識。



★コメント

高野さんの取材方法、調査メソッド、

語学学習法、文章の書き方など、

さまざまなノウハウがつまっていて面白い。

見習いたい点が多数あり。





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◆高野秀行『イラク水滸伝。謎の巨大湿地帯』に注目します。



★ポイント



・想像をはるかに超えた『混沌と迷走』の旅が、今ここに始まる。



・中東情勢の裏側と第一級の民族誌的記録が凝縮された、

圧巻のノンフィクション大作なり。



・権力に抗うアウトローや迫害されたマイノリティが逃げ込む、謎の巨大湿地帯。

それが、「アフワール」なり。



・そこは馬もラクダも戦車も使えず、

巨大な軍勢は入れず、境界線もなく、迷路のように水路が入り組み、

方角すらわからない地なり。



・中国四大奇書『水滸伝』は、

悪政がはびこる宋代に町を追われた豪傑たちが湿地帯に集結し政府軍と戦う物語だが、世界史上には、

このようなレジスタンス的な、

あるいはアナーキー的な湿地帯がいくつも存在する。



・ベトナム戦争時のメコンデルタ、イタリアのベニス、ルーマニアのドナウデルタ、

イラクの湿地帯はその中でも最古にして、

現代最後のカオスだ。



・謎の古代宗教を信奉する絶対平和主義のマンダ教徒たちについて。


・フセイン軍に激しく抵抗した「湿地の王」、コミュニストの戦いがあった。



・水牛と共に生きる被差別民マアダンの「持続可能な」環境保全の叡智あり。





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◆高野秀行『幻のアフリカ納豆を追え!』を読み解く



副題→「そして現れた、サピエンス納豆」



高野氏は、辺境作家。

だれも行かないところに行き、レポートしている。



★要旨



・私の人生の裏で糸を引く怪しいやつがいる。

それは、納豆だ。



・納豆の恐ろしい魔の手に私が気づいたのは、

大学を卒業し、

東南アジア方面へ行くようになってからだ。



・納豆は、タイにもいたのだ。



・それからまた10年ほど経ち、

私は中国国境に近いミャンマーのカチン州へ行った。

カチン族の反政府ゲリラと一緒にジャングルを歩き、

ある日、立ち寄った村の民家で簡単な夕食が出された。

それはなんと、

白いご飯と納豆と生卵だった。



・納豆は、ミャンマーのジャングルにもいた。



・2年あまりかけて歩き回ってわかったのだが、

まったく驚いたことに納豆は、

中国南部から東南アジア内陸部m

そしてヒマラヤに至る広大なエリアを牛耳っていたのだ。



・納豆は私が思っているより、

もっと広く深く、

この世界を支配しているようなのだ。



・納豆は、多くの人の生活を支えてきた裏方だ。



・長い長い納豆の旅が完結した。

初めてタイの納豆を調べ始めてから、

最後のツルマメ縄文納豆まで、

なんと7年もかかった。



・ダシへの強いこだわりは、

ナイジェリアでもセネガルでもそうだった。

西アフリカの納豆文化圏に共通した特徴なのだろう。



・納豆は血圧を下げ、病気を治す。



・納豆は血圧を下げるかもしれないが、

感情のテンションを上げる。

ブルキナ人にとって、

納豆は民族の「原点」なのかもしれない。



★コメント

辺境を納豆という独自の視点で取材するおもしろさがある。

もうそこは、辺境でもなく、

世界の中心だとおもえるくらい、ドラマチックだ。






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◆高野秀行『アヘン王国潜入記』を読み解く



高野氏は、辺境冒険作家。



★要旨



・1995年10月から翌年5月にかけて

約7か月、私は中国との国境地帯にある、

ビルマの反政府ゲリラ・ワ州連合軍の支配区に滞在した。



・世界最大の「麻薬地帯」と呼ばれる、

当地の知られざる世界をまとめた。



・作家であれ、ライターであれ、ジャーナリストであれ、

およそ物書きであるなら誰でも

その人の「背骨」と呼ぶべき仕事があると思う。



・単行本でもいいし、

雑誌に書いた一本の記事でもいい。

世間で評価されまいが、売れまいが関係がない。

とにかく、

「自分はあれを書いたのだ」

と心の支えになるような仕事だ。

私の場合、それが本書である。



・「誰も行かないところへ行き、

誰もやらないことをやり、

それをおもしろく書く」

というのが最初の本を出して以来、

約20年変わらない私のスタンスであるが、

そのスタンスを最もハードに貫いたのがこの本だ。



・本書は、日本では評価されず、売れなかったが、

自分で動き回って、本書を英語に翻訳してもらい、

英語版の出版にこっぎつけた。



・本書を読んで真っ先にメールをよこしたのは、

当時、米タイム誌バンコク支局にいた、

イギリス人のジャーナリストだった。


バンコクで初めて会ったときに彼は、

「100年後、君はこの世にいないだろうが、

この本は古典として残っているだろう」

と言ってくれた。

欧米人は、褒めるときはとことん褒める。



・ワ州。

住民の9割以上は、

ワという少数民族が占めている。

面積は、岐阜県とほぼ同じくらいである。



・ゴールデン・トライアングル。

和訳は、「黄金の三角地帯」。

タイ、ラオス、ビルマの三国が境を接するあたりに広がる、

麻薬地帯である。



・今ではゴールデン・トライアングルの

全生産量の9割以上をビルマが担っているという。

事実上のゴールデン・トライアングルは、

ビルマだと極論してもいいのだ。



・ワ州は、

「現在はビルマ政府の管轄下にはない」

といったのは不正確で、

「有史以来、いかなる国家の管轄下にもあったことがない」

のであった。



・外部の人間でワ州に長期滞在した者もいない。

植民地時代にイギリスの役人や人類学者が訪れたこともあるが、

調査というより単なる視察行であった。



・私は種まきからアヘンの収穫まで、

ケシ栽培の全工程を体験しようと思っていたから、

どうしても4、5か月は滞在しなければならなかった。



・もう一つ、

ワに興味を示すジャーナリストたちの障害になっていたことに、

ワ州ではワ語以外に中国語が共通語で、

英語はまったく通じないというのがあった。

そのため偶然にも中国語で

なんとか意志の疎通がはかれる私には追い風となった。



★コメント

どこの文献にもかかれてない話が満載であり、

読む人を引き込む魅力がある。




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◆高野秀行『語学の天才まで1億光年』を読む(その2)



高野氏は、辺境冒険作家。



★要旨



・学生時代から現在に至るまで

25を超える言語を習い、実際に現地に使ってきた。



・言語を学ぶと、それを話している人たちの

世界観もこちらの体にも染み込んでくる。

それが面白くてしかたがない。



・今でもよく憶えているが、

東京・八王子にある実家に帰る途中、

京王線の車内でやせた金髪の西洋人女性と隣り合わせた。

1986年のことで、

当時外国人はひじょうに珍しかった。



・私は緊張していたが、

彼女が読んでいるのがフランス語の本であることに

気づくと思わず、

「フランス人ですか?」

とフランス語で訊いてしまった。



・内気な私にしては、

ものすごく珍しいことだ。

インド旅行から帰って間もない頃で、

見知らぬ外国人と話す習慣が残っていた、

といいこともあっただろう。

また、なんとしてもコンゴに行きたかった、

ということもある。



・彼女は「ウィ(そうです)」

と返事をしてくれた。

それ以外は全く理解できなかったので、

あとは英語で話した。



・その場で私はその金髪女性に、

フランス語の個人レッスンをしてほしい、

と頼んだ。

シルヴィは、快諾してくれた。



・二重録音学習法。



・彼女は、フランス語を教えた経験がなく、

また、とにかくやる気がなかった。

すぐ授業に飽きて、

日本の生活の愚痴とか、昔の旅の話だとかの

話を始める。



・これではいけない。

カネと時間を浪費しているだけだと思った私は、

画期的な解決策を思いついた。

授業を丸ごとテープレコーダーで

録音することにしたのだ。



・60分を録音し、

家に帰ってから彼女のお喋りを全部文字起こしした。

わからないところは、

辞書や文法書で類推する。

そして次のレッスンでチェックしてもらう。



・このテープ起こし学習法は、

びっくりするほど効果的だった。

何よりよかったのは、

「フランス人の話す本当のフランス語」

が学べるところだ。



・テープ起こしは、その後さらに進化した。

2台目のレコーダーを用意して、

「前回のテープ起こしをチェックしているシルヴィ先生の喋り」

を録音した。



・二重録音が含まれるシュールな学習法だったが、

これも役立った。



・人生において「魔法」を獲得した初めての体験であり、

言語という魔法を獲得することが

どれほど面白いか、

初めて実感したときでもあった。



・どの言語もみんな美しい。

ここ十数年、私はいつも個人レッスンで

ネイティブの先生に例文を習い、

それを録音し、あとで反復練習をするようにしている。



・どの言語であっても、

先生が例文を読み上げるのを録音するとき、

その美しさについ聞き惚れてしまう。

先生役の人たちはみんな素人教師であり、

アナウンサーでもなければ

読誦のトレーニングを積んだ人でもない。

別に声がいいとかでもない。



・誰がどういうふうに読んでも、

ネイティブが話す言葉は、みんな美しいのである。



・それぞれの言語には独自のリズムとテンポがあり、

強弱と抑揚をなだらかに繰り返す。

そして、何よりそれらすべてに意味があり、

細部に意図が隠されている。



・言語の美しさというのは、

完成された体系がもつ、調和の美しさなのである。



★コメント

あらためて、語学の魅力に気づかされた。

居酒屋で外国人と歓談できるレベルの

語学力を磨きたい。





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◆高野秀行『間違う力』を読み解く



副題→「オンリーワンになるための10か条」



高野氏は、辺境作家。

だれも行かないところに行き、レポートしている。



★要旨



・かつて、バブルのころ、

テレビのあるディレクターがコンゴの怪獣に興味を持ち、

番組にしようと動いていた。



→正面から行ったら絶対に勝てない。

考えたあげくの答えは、いつものように奇襲である。

現地の共通語であるリンガラ語を習おうと思いついた。


「誰も外国人がやらないリンガラ語を話せば、

現地の人たちが驚いて、仲よくなれるんじゃないか」

と思ったのだ。



・南米にいってしばらくして、

アフリカと同じことに気づいた。

アフリカは、ヨーロッパ人のバカンスの地だったが、

南米の場合、アメリカの裏庭なのでる。



・南米の情報は、英語でいくらでも手に入る。

スペイン語やポルトガル語の情報よりはるかに多い。

研究者、ジャーナリスト、企業と何をとっても、

アメリカ人の影響力は、絶大だった。



・東南アジアは、手薄だった。

日本をふくむ東アジアと東南アジアが、

欧米人にとっていちばん遠い「辺境」なのである。



・とくに東南アジアは、

ゲリラやら麻薬地帯やらまだ未知のものがたくさんある。



・以後、わたしは幾度となくミャンマー、中国、

インド、タイなどでいつも現地人のふりをして、

本来外国人が通行できない国境をひそかに越えた。



・ミャンマー北部からインド東北部一帯そのものが、

「世界的に手薄な場所」だった。



・繰り返しになるが、

どの世界もやったものの勝ちである。

いくら猛練習を積んでも

絶対に試合に出ない野球選手に価値はない。



・腰が軽ければ軽いほど、面白くなる。

私の知るかぎり、

ユニークなことをしている人ほど、動きが早い。

オリジナリティとスピードは、

どこか確実につながっているように思える。



・わたしが10年ちかく仕事をしていた、

新聞社の女性社長の劉さんは、そんな人だった。

台湾人だが、独立してエイジアン新聞社という新聞社を立ち上げた。

すごいのが、1つの会社で、

常時5か国以上の人を対象にした月刊新聞を発行している。



・彼女は、

「新聞をたくさん出せばそれだけ儲かる」

というシンプルな信念にそって、

自分とはまったく関係のないアジア諸国の新聞を

じゃんじゃん創刊する。



・新しく新聞を創刊するときも、

準備らしい準備は何もしない。

パキスタンの新聞を出すという場合、

パキスタン人のバイトを1人雇うだけである。

あとはとりあえず、新聞を作って出す。

中身は、ろくにないペラペラの4ページの新聞でいい。



・いい加減でも、「今、はじめる」ことだ大事なり。




★コメント

高野さんとアジアのエネルギーを感じた。

見習う点は、たくさんある。

どんどん行動したい。




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◆上念司『経済で読み解く地政学』を読み解く



★要旨



・「ランドパワー」とは、

ロシア、中国、ドイツ、フランスといった大陸国家を指します。

これら大国は領地内で自給自足を完結させるために、

より広い領地、すなわち「生存圏」を得るために、国土を防衛し、

新たな領地を獲得するために強力な陸軍を必要とします。 



・「シーパワー」は

アメリカ、イギリス、日本、オランダ、

スペインといった海洋国家が中心です。

分散的に存在する独立主体の国家が、ネットワークのように結びつき、「自由で開かれた交易」を重んじます。

海上の交易路を防衛するため、

強力な海軍を必要とします。



・「ランドパワー」と「シーパワー」は

常に対立するとしたマッキンダーの思想が、

ドイツ人の思想家であるカール・ハウスホーファーらの思想と融合し、

「ドイツ地政学」を生み出します。



・ハウスホーファーは、

完全に縄張り意識を重視した圏域思想でもって、

国家が自給自足するために必要な生存圏のために、

国家にとって必要なものは

すべて自分たちの勢力下に収めるべきであるという思想の持ち主でした。



・彼の地政学では、

国家を一つの有機体として捉え、

我々が食べ物を食べなければ死んでしまうように、

国家が生存するためには栄養を確保する必要があると考えます。



・そこで、国家が生きるために

必要な資源や土地(生存圏)を獲得しなければならないと考えました。 

ただ、資源や土地を奪い合えば、当然争いが起きます。



・結果的に、

世界は地域ごとの強者が支配する圏域に分かれた、

多極化世界が、

バランス・オブ・パワーで話し合いをしながら国際秩序を決めていく

「パン・リージョン(統合地域)理論」を打ち出しました。



・ハウスホーファーの地政学は直接スターリンに伝わり、

長きにわたってソ連の国家戦略の下敷きにされてきました。



・ソ連が崩壊してロシアになったいまでも、

基本的にこの地政学はまだ生きています。



★コメント

今一度、地政学を復習したい。





◆黄文雄『台湾は日本人がつくった』を読む



副題→「大和魂への恩」



★要旨



・もしも日本帝国がなかったら、

台湾は今でも中国最貧の地である海南島以下の

地域であったという見方は、現在、

ほぼ常識として定着しつつある。



・本書は、まったく捏造でしかない「反日抗日」史観からではなく、

生態学、水文学、地文学などの史観から

台湾を見ようとしたものである。



・本書では、上下水道、電気、都市建設、森林保護、

治山治水、殖産興業、教育と文化の普及など、

台湾の近代化に貢献した日本人を

100人ほど挙げている。



・数万、数十万人の日本人の並々ならぬ努力や犠牲がなければ

今日の台湾はなかったと私は断言できる。

その意味で、わたしは彼らを

「台湾をつくった日本人」

と称している。



・台湾でいわれる、日本精神とはどんなものだろうか。

それは武士道だけではない。

それは、江戸時代までに熟成した日本文化であり、

開国維新後の明治人によって、

いっそう開花された精神である。



・近代台湾をつくった日本人の功労者のなかで、

まず挙げなければならないのは、学校教師、

医師と警察である。

また社会建設に貢献したのは技師である。



・日本の台湾経営は、侵略ではなかった。



・台湾の衛生環境を飛躍的に改善したのが、日本の医療なり。



・台湾は風土病の地だった。



・飢餓の島を豊かな産業国家に変えたのが日本人である。



・道路が整備されたのは、

児玉源太郎総督の時代である。

児玉・後藤の統治時代は、

まさに台湾近代化が大々的に推進された時代となった。

実際に辣腕をふるったのは、後藤新平である。



・上下水道整備により、毒水を飲み水に変えた。



・台湾人にとっての生活史・生存史の最大の課題は、

いかにして水の問題を処理して水資源を利用し、

さらに水体系の循環を理解するかであった。

台湾史を知るには、

絶対に欠かせない視点のひとつである。



・台湾の水道システムの確立は、

台湾の法治社会の成熟を前提としたものであった。



・台湾の医療衛生環境改善の最大の功労者は、後藤新平である。



・社会が安定しない限り、

経済の安定は望めないし、

近代化も絶対不可能である。

台湾近代化の守護役となったのが、日本の警察機構なり。



・「日本精神」という言葉は、

台湾では「誠実、勤勉、正義、清潔、責任感」

などを意味する。



・戦後、日本人が台湾から去り、

国民党軍として大量の中国人が流入したが、

商品を購入しても金を支払わず、

台湾人に対して平然と賄賂を要求する睾丸無恥な態度に、

台湾人はショックを受けたのである。



・日本人は礼儀や時間などに口うるさいが、

規律は守り、よく働く。

それが台湾人からの印象だ。



・当時の伊藤博文総理大臣は、台湾経営については、

樺山資紀初代台湾総督に「しっかりやれ」と激励したのみで、

「植民地経営」の方針や政策については

何一つ指示しなかった。



・やがて第4代総督・児玉源太郎の時代になると、

民政長官に後藤新平が就任したこともあって、

「植民地経営」的な色彩を帯びてくるようになる。



・無味乾燥なマクロ的経済社会構造分析からではなく、

日本の政治家、軍人、思想家、地理学者、医学者、

動植物学者、建築家、技師、さらには歴史文化人類学者、

教育家、言語学者、文芸・文化人など、

血と汗と涙で近代台湾の構築に献身した日本人一人ひとりの

ドラマを集めた。



・人柱となり台湾の土となった明石元二郎総督。



・明石総督と士官学校同期の安島大佐が

明石の台湾総督赴任に際して、

気候も風土も違う土地では食事には注意しろと

助言したところ、


「台湾に行けば台湾の食物を食し、

台湾で尋常の生活をすべきである。

台湾で死んで台湾の土になればむしろ本望だ」

と答えたという。



・それにより彼らが、いかに台湾の国土開発を計画し、

未開の山地を探検・探索し、

台湾を近代化に導いたか分析する。




・現在の民主国家としての台湾を築いたのも、

日本時代を経験した台湾人たちであった。

その代表的人物が先ごろ亡くなられた、

李登輝総統である。



・李登輝の教育改革により、

現在の台湾人は自分たちを

「中国人ではなく、台湾人である」

と考えるようになった。

台湾人としてのアイディンティティが確立されたのである。



・私は、李登輝総統が、台湾の教育改革に

全身全霊を打ち込んだのは、日本時代の旧制高校である

台北高校の出身だったからだと考えている。

台湾において旧制高校出身者は、

学識のみならず人格的にも、日本精神のシンボルとして

高く評価されている。




★コメント

台湾を知ることは、日本を知ることにつながる。

学びたい。






◆高野秀行『語学の天才まで1億光年』を読み解く



★要旨



・言語(外国語)は、

絶対に話したいことがあると話せるのだ。



・探検先のターゲット(辺境)を決めると

まずそこで話されている言語を学ぶ。



・スペイン語は音が日本語に近いので、

読んだり話したりしやすい。



・私ほど語学において連戦連敗をくり返し、

苦しんでいる人間はそうそういないはずだ。



・私が語学に精を出すのは、アジア・アフリカ・南米などの

辺境地帯で未知の巨大生物を探すとか謎の麻薬地帯に潜入するといった、

極度に風変りな探検的活動のためだ。



・要するに、

私にとって言語の学習と使用はあくまで

探検的活動の道具なのである。



・リンガラ語での会話はコミュニケーションを十全にとるには程遠いが、

地元の人たちと『親しくなれる』のである。



・コミュニケーションをとるための言語と仲良くなるための言語。



・外国へ行って現地の人と交わるとき、

この二種類の言語が使えれば最強なのだ。

いわば『語学の二刀流』、

これを使いこなす快感を知ってしまった。

私にとって『語学ビッグバン』である。



・まるっきり未知の言語体系を自分の心身に刷り込むには、

初期の授業(レッスン)の頻度は高いほどいい。



・できれば3カ月ぐらい。

難しければ最初の1カ月でいい。

そうすれば、『ロケットスタート』が見込める。

そう、アジア・アフリカ語学院の集中講座は、

私が熱望していたロケットスタート講座なのだ。



★コメント

語学の魅力と、手抜きの大切さを知った。

高野さんの本を読みまくりたい。





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