◆北川智子『世界基準で夢をかなえる私の勉強法』を読み解く
北川氏は、カナダのブリティッシュ・コロンビア大学で数学と生命科学を専攻。
同大学院でアジア研究の修士課程を修了。
プリンストン大学で博士号を取得。
専門は、日本中世史、中世数学史。
2009年より3年間ハーバード大学で教鞭をとり、ユニークな授業方法で人気を得る。
「思い出に残る教授」にも選出される。
著書『ハーバード白熱日本史教室』もベストセラーとなる。
※要旨
・高校の夏休みを利用した初の短期海外留学。
1ヶ月のホームステイ先は、カナダのノースバンクーバー。
トランク1つ、語学力ゼロの、日本から来た高校生。
怖いものがないというより、怖がる理由がなかった。
九州から突然飛び出してきて、目的という目的もなかった。
・ホームステイ先のご家族によくしてもらい、
「もっと英語を勉強して、こっちの大学に家から通えばいいじゃないか」と勧められ、
私はあっさりその気になった。
これはやってみないと後悔する、という直感が、いったん帰国した私を再び九州から飛び立たせるきっかけとなった。
・しかし実際は、すぐに大学に入れたわけではない。
私の高校までの英語は、カナダの大学に入学できるレベルからは程遠く、
ノースバンクーバーのホームステイ先からバンクバーの英語学校にしばらく通うことになった。
・英語学校での目標は、もちろんTOEFLの試験で高得点を取ること。
しかし、一から英語の勉強を始める私には、途方もなく長い道のりに見えた。
そこで、私は突然テストのための勉強をやめた。
・子供向けのテレビ番組で基礎の基礎を覚える。
英語を学ぶ留学生とのコーヒーショップのほうが会話がはずんだ。
間違ってもよいので気楽に英語が使えた。
その後、毎日5時半にホームステイ先の家に帰って、3歳のスティーブンとテレビを見た。
実は、これが英語上達の早道だった。
・スティーブンを寝かせるための絵本の読み聞かせと子守唄で反復学習をした。
これがまたいい英語の勉強になった。
・このような試験勉強ゼロの日常の学習6ヶ月でTOEFL基準点を突破できることができた。
・大学では覚えた内容を何度も思い出す時間をつくった。
ノートはほとんど取らなかった。
記憶の反芻という作業をしていると、一人でぼーっとしているような見かけになるので、
静かで安全なスポットを見つけておく必要がある。
・途方もない仕事量のこなし方。
プリンストン大学での博士号取得には、歴史の知識だけでなく、言語の習得が必要だった。
日本史専攻の私の場合は、英語のほかに、ヨーロッパの言語で文献が読めること、
中国語の文献が読めること、そして古文漢文の解読能力が要求された。
・専攻科目の歴史の勉強のほうはというと、言語のほかにも膨大な量の書籍との戦いが待ち構えている。
本読みをどうこなすかが、博士号取得にかかる時間を左右する。
図書館にはいっぱい本があり、それらを片っ端から読んでいくのは無謀である。
・論文はがむしゃらに書く、捨てる、書き直す。
・締め切りは絶対。
時間内にどれだけ成果を出すか。
ずるずる引き延ばしても、よい作品や仕事はできない。
・勉強に没頭、気づいたら5日経っていた。
本当にやりたいことをやっていると、人は時間が経つのを忘れる。
好きな本に没頭して、何時か分からなくなるような感覚で、5日経っていたことがあった。
とにかく集中して読み、書き、真剣に考え抜いた。
・教えることは最高の学び。
準備がすべて。
このことは、結局何事にも共通している。
※コメント
北川さんの話を聞くと、何でもやってやれないことはないと思える。
一見不可能と思えることも、細分化して地道にこなしていけば達成するものだ