◆高野秀行『辺境の怪書。ハードボイルド読書合戦』を読み解く



高野氏は、辺境冒険作家。

清水克行さんとの対談。


正式タイトルは、

『辺境の怪書、歴史の驚書、ハードボイルド読書合戦』



★要旨



・ディープな本を辺境作家と歴史家が読んで

語り合った読書会の記録。



・片や学問的な視点から、内容への考察が加えられ

対象の本の魅力が再発見されていく。



・だいたいが海賊にだって家族はいる。

女や子どもは海賊行為に参加しないわけ。



・輸送と移動のリアリティ。



・日本には、

お祭りのときに神輿を出す地域と、

山車(だし)を出す地域があって、

基本的には神輿を出すのは山間部の農村で、

山車を出すのは、平野部の都会なんだと教わったことがある。



・外交&通商のアウトソーシングを担う悪徳エージェント。



・中世に蝦夷地や奥州に勢力を張った安藤氏が、

自分たちは、朝廷に滅ぼされた蝦夷の血を引いている、

と言ったり、

前九年の合戦で負けて死んだ俘囚の安倍貞任の子孫だと

称していることが、面白い。



・そう名乗ることで、

地元からも中央政府からも、

辺境の地の代表者として認められる、

というメリットがだったみたい。

だから、あえて「自分たちは蝦夷の親分だ」

ということを前面に出す。

一種のハッタリとして。



・戦国大名だと、周防の大内氏なんかも、

百済王族の末裔だと言って、

対朝鮮貿易の利権を正当化しようとしている。



・中央政府の側にも、

異民族とか異世界とは直に接しない、

という一貫した方針があったみたい。

朝鮮外交なら対馬の宗氏をエージェントにして

任せたほうがいいと。



・そうすると交渉や翻訳のテクニックが

対馬に蓄積されるので、

政府が直に朝鮮とやりとりするよりも

効率的だという発想なり。

外交や通商をアウトソーシングするような感じ。



・倭寇みたいな辺境の人は、すごくバイタリティがある。



・源頼朝は、あえて関東の田舎者になったからこそ、

田舎者の世界でトップを張れた。



・世の中には、

力で片づけなくてはいけないことが必ずあって、

それを一手に引き受けてきたのが武士であり、

ヤクザであったという印象をもった。

中世までは、武士とヤクザは一体だった。



・当時、鎌倉にあった頼朝邸は、

御家人たちのたまり場みたいになっていて、

御家人同士が、すごろくをして遊んだり、

酒を飲んでドンチャン騒ぎしたりしていた。



・つまり幕府は、部活やサークルの部室とか、

居酒屋とかカラオケボックスみたいな場だったと、

細川さんは書いている。



・鎌倉武士は、かなりお行儀の悪い連中だった。

くだらないことで、すぐケンカしちゃう。



★コメント

歴史や読書には、新しい発見がたくさんあり、

やめられない面白さがある。