◆北川智子『ハーバード白熱日本史教室』を読む
北川智子さんは、カナダのブリティシュ・コロンビア大学出身。
数学を専攻していたが、教授のリサーチ・アルバイトをきっかけに、歴史の博士号を取得。
その後、ハーバード大学で講師に就任。
初年度は、16人だった受講生が、2年後には200人以上の人気講義となった。
※要旨
・最初の秋学期は、さっそく自前の日本史コースを2つ教えることになった。
その一つは、「レディ・サムライ」というタイトル。
アメリカでも、サムライや武士道といった講義が多いが、女性を主人公にしたのがこのコース。
1年目は、小さな教室に16人が集まった。
この数に驚いた教授がたくさんいた。
日本史は元々人気が無かったので、0人でも2人でもなく、10人を超えたのがニュースであった。
・2年目には、106人の登録があった。
歴史がみんなを強くする理由。
それは、2つあると繰り返した。
1.時には隠された意味を見つけること。
2.時の重力を感じること。
・「レディ・サムライ」で取り扱う人物の一人が、北政所ねい(ねね)だ。
豊臣秀吉の正妻である。
秀吉がいくさ、城の工事、鷹狩りなどで留守にしている間、
ねいは彼女個人の名でネットワークづくりをしていく。
男性のサムライと同じ書式で手紙を書き、他の大名と対等に会話をし、
時には彼らを諌める場面も出てくる。
・私の講義の核心は「自分の趣味をティーチングに生かすように工夫すること」
趣味はピアノ、絵画、身体表現。
そのため、聴覚を使ったレクチャーを多用してる。
元寇の話のときは、モンゴルの民謡をバックグランドで流す。
・中世以降より、日本人女性は「殺されない性」として扱われていたこと。
・戦国時代の大名とその本妻は「ペア・ルーラー(夫婦統治者)」として存在し、互いの立場を尊敬しあっていた。
・「日本とは何か、という質問に対してしっかりした答えを構築すること」をすべての読者に求めている
・証明などいらない。あなたの可能性は無限大。
・毎回、自分ができる最高のことをやる。
自己最高記録は、いつも更新されるべきもの。
準備がすべてなり。
・社会で輝ける人とは、他人と力を合わせられる人間、
自分のオリジナリティーを信じられる人間なり。
※コメント
教えるということには、いろいろ工夫があるようだ。
ただ単に語るだけでなく、面白い映像や画像、音響を使うと学生の中に残る。
また、そういった映像を学生に作らせることで、楽しく学ぶことができるようだ。