◆高野秀行『放っておいても明日は来る』を読み解く
高野氏は、辺境冒険作家。
★要旨
・僕は、アジア、アフリカ、南米の辺境地に行って、
未知の生物を探したり、
ゲリラと一緒に暮らしたりしてきた。
・今でも頭で解決しようとしているときは、
僕も調子が悪い時で、
なるべく現場に行って、人が知らないようなことを見て、
帰ってくるって方向にした。
・コンゴに幻獣ムベンベを探しに行こうとしたとき、
フランス人に手伝ってもらって、
フランス語で許可申請書のようなものを作って、
郵送で送った。
3か月後、コンゴ政府からOKの返事が来て驚いた。
→
言葉が多少下手でも、結果が出ればいいんだから。
ダメだって言われたら、どうしたらいいんだって訊く。
→
ある程度やりとりしていると
向こうもいい加減だし、
面倒くさくなったりしてきて、
「いいよ」と言ったりもする。
→
埒があかなくなったら、
もう遠く離れて交渉していても仕方ないから、
現地にいっちゃう。
→
それで、実際コンゴに行っちゃった。
そうすると話が早い。
顔を合わせて交渉できるから。
一緒にメシを食ったり酒を飲んだり、
ディスコに行ったりしていると人間関係ができてきて、
「じゃあ協力しようか」
となる。
・コンゴでは、
一緒に来ていた動物学者とは英語で話し、
他のコンゴ人の役人とかはフランス語、
村の人たちとは現地の共通語リンガラ語で話していたが、
全部できるのは僕だけだった。
僕が通訳となり、自然とリーダーとなった。
・大変なんだけど、おもしろい。
権力が集中していく。
僕が代表になって話すようになって、
結局全部僕が仕切ることになる。
言葉ができるというのは、大きい。
・やっている人間にどんどん仕事がくる。
社会のシステムとして。
日本でもコンゴでも一緒。
そいつは大変なんだけど、
そういう人間は鍛えられるからどんどんレベルアップしていく。
・興味というのは常に、2つ3つ持っている。
そういうものを持っていると、
ひとつがダメだと、こっちをやってみようか、
みたいに考えやすくなる。
・僕は大学に7年いたんでいろいろやって、
コンゴ文学の翻訳もやった。
怪獣探しのとき。
急遽、大学を卒業しなければいけなくなり、
卒論を書かなければならない。
→
フランス文学科だったので、
コンゴの小説の翻訳が卒論にならないか閃いた。
教授に相談して、教授会にかけて、3時間揉めたらしい。
全部翻訳しているし、一生懸命なのは間違いないので、
それを副卒論として提出させて、
その小説の背景などを卒論として提出するように言われた。
→
あとは簡単だった。
僕は実際にコンゴに4回行っているし、
資料も散々調べたからいくらでも書けた。
→
歴史も地理も民族も政治状況も全部ひととおり知っていた。
それを卒論として書いて出したら、
フランス文学科の最高得点になっちゃった。
やっぱりできるんだなと。
無理すれば通ると。
・無理だろうなと思うんだけど、
とにかくやってみると、
なんとかなることが実に多くて面白い。
・期待してもしなくても、
普通に生きてもドロップアウトしてしまっても、
いま楽しくても辛くても、
どっちにしても明日は来る。
・放っておいても明日は来るのだ。
★コメント
おもしろすぎる、高野さんの人生だ。
このようなエピソードを知るだけで、
生きるためのヒントを獲得できる。
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