◆高野秀行『アヘン王国潜入記』を読み解く
高野氏は、辺境冒険作家。
★要旨
・1995年10月から翌年5月にかけて
約7か月、私は中国との国境地帯にある、
ビルマの反政府ゲリラ・ワ州連合軍の支配区に滞在した。
・世界最大の「麻薬地帯」と呼ばれる、
当地の知られざる世界をまとめた。
・作家であれ、ライターであれ、ジャーナリストであれ、
およそ物書きであるなら誰でも
その人の「背骨」と呼ぶべき仕事があると思う。
・単行本でもいいし、
雑誌に書いた一本の記事でもいい。
世間で評価されまいが、売れまいが関係がない。
とにかく、
「自分はあれを書いたのだ」
と心の支えになるような仕事だ。
私の場合、それが本書である。
・「誰も行かないところへ行き、
誰もやらないことをやり、
それをおもしろく書く」
というのが最初の本を出して以来、
約20年変わらない私のスタンスであるが、
そのスタンスを最もハードに貫いたのがこの本だ。
・本書は、日本では評価されず、売れなかったが、
自分で動き回って、本書を英語に翻訳してもらい、
英語版の出版にこっぎつけた。
・本書を読んで真っ先にメールをよこしたのは、
当時、米タイム誌バンコク支局にいた、
イギリス人のジャーナリストだった。
→
バンコクで初めて会ったときに彼は、
「100年後、君はこの世にいないだろうが、
この本は古典として残っているだろう」
と言ってくれた。
欧米人は、褒めるときはとことん褒める。
・ワ州。
住民の9割以上は、
ワという少数民族が占めている。
面積は、岐阜県とほぼ同じくらいである。
・ゴールデン・トライアングル。
和訳は、「黄金の三角地帯」。
タイ、ラオス、ビルマの三国が境を接するあたりに広がる、
麻薬地帯である。
・今ではゴールデン・トライアングルの
全生産量の9割以上をビルマが担っているという。
事実上のゴールデン・トライアングルは、
ビルマだと極論してもいいのだ。
・ワ州は、
「現在はビルマ政府の管轄下にはない」
といったのは不正確で、
「有史以来、いかなる国家の管轄下にもあったことがない」
のであった。
・外部の人間でワ州に長期滞在した者もいない。
植民地時代にイギリスの役人や人類学者が訪れたこともあるが、
調査というより単なる視察行であった。
・私は種まきからアヘンの収穫まで、
ケシ栽培の全工程を体験しようと思っていたから、
どうしても4、5か月は滞在しなければならなかった。
・もう一つ、
ワに興味を示すジャーナリストたちの障害になっていたことに、
ワ州ではワ語以外に中国語が共通語で、
英語はまったく通じないというのがあった。
そのため偶然にも中国語で
なんとか意志の疎通がはかれる私には追い風となった。
★コメント
どこの文献にもかかれてない話が満載であり、
読む人を引き込む魅力がある。
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