◆上念司『経済で読み解く地政学』を読み解く
★要旨
・「ランドパワー」とは、
ロシア、中国、ドイツ、フランスといった大陸国家を指します。
これら大国は領地内で自給自足を完結させるために、
より広い領地、すなわち「生存圏」を得るために、国土を防衛し、
新たな領地を獲得するために強力な陸軍を必要とします。
・「シーパワー」は
アメリカ、イギリス、日本、オランダ、
スペインといった海洋国家が中心です。
分散的に存在する独立主体の国家が、ネットワークのように結びつき、「自由で開かれた交易」を重んじます。
海上の交易路を防衛するため、
強力な海軍を必要とします。
・「ランドパワー」と「シーパワー」は
常に対立するとしたマッキンダーの思想が、
ドイツ人の思想家であるカール・ハウスホーファーらの思想と融合し、
「ドイツ地政学」を生み出します。
・ハウスホーファーは、
完全に縄張り意識を重視した圏域思想でもって、
国家が自給自足するために必要な生存圏のために、
国家にとって必要なものは
すべて自分たちの勢力下に収めるべきであるという思想の持ち主でした。
・彼の地政学では、
国家を一つの有機体として捉え、
我々が食べ物を食べなければ死んでしまうように、
国家が生存するためには栄養を確保する必要があると考えます。
・そこで、国家が生きるために
必要な資源や土地(生存圏)を獲得しなければならないと考えました。
ただ、資源や土地を奪い合えば、当然争いが起きます。
・結果的に、
世界は地域ごとの強者が支配する圏域に分かれた、
多極化世界が、
バランス・オブ・パワーで話し合いをしながら国際秩序を決めていく
「パン・リージョン(統合地域)理論」を打ち出しました。
・ハウスホーファーの地政学は直接スターリンに伝わり、
長きにわたってソ連の国家戦略の下敷きにされてきました。
・ソ連が崩壊してロシアになったいまでも、
基本的にこの地政学はまだ生きています。
★コメント
今一度、地政学を復習したい。