石の上にも○○年~物書き志望女のひとりごと -15ページ目

石の上にも○○年~物書き志望女のひとりごと

日常で気になったことや、長い物書き志望歴で思ったことをランダムに綴ります。

中学生の頃だったと思う。

美術の授業で10×10×20センチくらいの木材に、自分の手首から先の像を彫ったことがある。

 

実寸大の、こぶしを握った手の形。

木材にどうやって下書きしてどういう手順でどっからどう彫ったのかはもう忘れてしまったが、出来上がったそれは、ちょっと気味悪いくらいリアルな、なかなかの傑作だったと自己満足。

 

そのときのことを今でも時々思い出す。

 

個人的に、物語を創っていることと似ている、と、折々に思うからである。

 

何もない真っ新なところからアイディアをストーリーに膨らませて構成、プロットを作る

=まっさらな木片への下書き。

 

プロットに沿った文章のベタ書き

=木片の下書きに沿ってざっと彫る。

 

読み直し、推敲

=粗削りな部分を深掘りしたりヤスリがけしたりで細かく整える。

 

そうして書きたい形(彫刻の場合は見本の「手」の形)に近づけていく。

 

まあ、こうした手順のようなことは後付け。

 

言いたいのは、書き上がった物語にちょっとした驚きを持つときがあるということ。どうしてこんな形で目の前に出現したのか、という。

 

アイディアの時点ではおぼろげだったその世界が、当初思い描いたものとは違った出来になったとしても、そういう物語が出来るべくして出来た。そう感じるときがたまにあって。

 

つまり、「手の彫刻」で言えば、ただの四角い木片を、自分自身が彫刻刀で彫って彫って指や手の甲なんかを作り出したわけなのだけど。

 

何というか、ただの直方体でしかなかった木片の中に、そのこぶしを握った手の形が元々内蔵されていて。それを掘り出した――「彫った」のではなく、「掘った」というだけのことなのではないか?

 

物語を創るときも、ときどきそういう感覚が起こる。

 

何もなかった真っ白な新規文書の中に、いろんな人のいろんな人生が展開し、事件が起こり、何らかの結末を迎える。

でも、そういう物語を創り出したつもりでいて、実はそれは元々そこに内蔵されていた。

それを、掘り出しただけなんじゃないんだろうか、と。

 

これは特に推敲をしているときに感じる。

 

この人の性格じゃこんなセリフ言わないはずだよね。

この段落のモタモタした感じ、文章の順序が違うからでは。

このエピソードがあるせいでテーマがボケちゃってるよね。

等々。

 

それらを一つ一つ直していくと、ああそう、これはそういう位置へそういう形で収まるのが正しいのだ、という気がしてくるのである。収めると安心して充足感に満たされる。

 

いつもいつもなわけではないが、そう感じるときは、楽しく創作ができているように思う。


(了)

 

↓↓ところでお知らせ↓↓

☆彡☆ 小説サイト、エブリスタのコンクールで「入賞」に選んでいただけました ☆彡☆彡 

      ↓↓↓

バラを育ててはいけません (ファンタジー) 

  「〇〇解禁」がお題の短編です。14分で読めます! よかったらお立ち寄りください!


***

 

↓「○○になりたい」がお題の新作短編書きました。13分で読めます。

たぬおくんとマリエさん (童話)

 

 

 

 

↓「特別な一日」がお題の短編です。12分で読めます。

親友開始の日 (ミステリー)

 

 

 

↓「忘れもの」がお題の短編です。14分で読めます。

正しい忘れ癖の治し方 (ヒューマンドラマ)

 

 

 

↓「染まる」がお題の短編です。12分で読めます。

きみはパッチワーク  (現代ファンタジー)

 

 

 


 

 

 

一昔前(もしかして二昔、三昔……? 汗)は、歌番組は誰もが必ず見る、見なくちゃならない必須番組だった。

 

流行歌を聴きたい。

歌手の振り付けや衣装やコメントが楽しみ。

その人気順位づけが知りたい。


そんな熱い思いでみんなが注目し、見ていない人間は話題に乗り遅れてしまう時代があった。

 

いつ頃からか、そういった番組に出たがらない歌手が増え、「歌手」ではなく「アーティスト」と呼ばれ、フューチャリングとかコラボとか卒業とかの言葉が飛び交うようになり。

 

「ベストテン」や「トップテン」が消えていき、今放送されている歌番組は、昭和平成の比較だとか冬の名曲とかゲストが選ぶ思い出の曲だとか……そんな無理クリ引っ張り出したような切り口のものが多くなった。

 

年末の恒例とされている「レコード大賞」も、何であんなに長時間、見たことも聴いたこともない(つまり流行っていたとはとても言えない)曲や大昔の受賞シーンを流すだけの番組になってしまったのだろう? 

 

更に年末風物詩の「紅白歌合戦」も、もはや流行は二の次。

 

昨年も、若者に人気があったっぽい歌手をそこそこ揃え、ジャニーズや坂のオンパレード、似たようなダンスミュージック多数。

 

昔にヒットした持ち歌を披露する人が多く、やたらある特別枠というものは「紅白に選ばれた歌手」とは別みたいで。

 

演歌になると、ガッツリそれを聴かすのではなく何かとセットでのアピール。

 

一体どの世代のどんな人に向けて発信したいのかよくわからなかった、というのが正直な感想。

「紅白とは家族全員で楽しむもの」といった縛りで、なべて散漫になった挙げ句、逆にどの世代にも不満を残してしまった印象。

紅白離れが進むのも仕方ないかなと思ってしまった。

 

私としては、決して歌に興味がなくなったわけじゃない。

かつてのヒット曲も懐かしみたいし、今流行っている歌も、ついていけなくたって聴いてみたい。

 

でもそれなら、テレビ限定とするならCS。

地上波で放送される物にはもうウンザリ。

 

大体が、多数ゲストがいていちいち曲にまつわる思い出を語ったり(→よく知らない人の思い出聞くより流す曲を増やしてほしい!)。

 

曲がかかってその映像が出ると、出演者それぞれの表情やノリなんかを端っこの枠で抜いている(→そのせいで見たい映像が隠れてるじゃん!)。

 

売り出し中の芸人なんかが目立とう精神でよくわからないギャグをやったり(→宣伝ならお笑い番組でお願いします!)。


久々に出演したかつての人気歌手が、聴くに耐えない下手くそさで生歌(→頼むから練習してきてください!)。

 

それから最近、年末特番の長時間歌番組で最後に必ずやるのが、3秒くらいずつの全出演者のダイジェスト。何歌ってるかわからないくらいの一瞬一瞬のつぎはぎ(→これ、要る?)。

 

歌番組を見るのは、歌を聴きたいから。

ちゃんと聴きたいしちゃんと見たい。

歌を。歌だけを。

だから余計な足し算ばかりの地上波番組にウンザリする。

 

対するCSは、プロモーションビデオをひたすらフルフル流すだけ。

他に何もない。

ただそれだけのCSが心地よく、慣れてしまうともう地上波に戻れない。

                        (了)

 

 


↓「特別な一日」がお題の短編書きました。12分で読めます。

ミステリーに挑戦……してみたら暗い話なってしまった。

親友開始の日

 

 

 

↓「忘れもの」がお題の短編です。14分で読めます。

正しい忘れ癖の治し方

 

 

 

↓「染まる」がお題の短編です。12分で読めます。

きみはパッチワーク 

 

 

 

 

↓「○○解禁」がお題の短編です。14分で読めます。

バラを育ててはいけません

 

 

 

 

 

 

 

 

 

昨年の秋ドラマ、密かに毎週楽しみにしていたのが「合コンに行ったら女がいなかった話」。

 

内容は、男子大学生3人が合コンに行ったら、待っていたのは男装バーで働くイケメンの3人だった(女子だけど)。


という、その後はこの6人でどこかへ遊びに行ったり、男装女子がイケメン過ぎてどうのこうの、みたいな、あんまりストーリーは気にしなくてよいドラマ。

 

原作はあるので(蒼川ななさん 未読)そう言っちゃ失礼なのかもしれないけど。

私としては、男装女子を見られるだけで毎度毎度楽しんでいた。

 

何せ、宝塚元星組スターの七海ひろきさん、元花組二番手スターの瀬戸かずやさん、元星組スターの如月蓮さん。このお三方が男装女子に扮しておられる。

 

いやあ、申し訳ないけど、男子大学生3人を覚える暇もなく、あまりにイケメンの彼女ら3人の一挙一動にへらへらしておったわけです。

 

私のタカラジェンヌさんイチ推しは、バリバリ現役なのだけど、その方を見られなくてもこんなに幸せになれるとは。


恐るべし、宝塚。

卒業されてもどんだけキラキラオーラがあるんでしょうか、ってくらい目の保養、栄養、ご馳走。

 

それで、七海さんについては、卒業公演の「霧深きエルベのほとり」や、それ以前の「ANOTHER WORLD」、ショーの「ENTERTAINMENT」とか、手元にある過去作を観まくってしまった。

 

これらを以前観た時は、七海さんのお名前は存じていたけれど注視はしていなかった。

改めて観ると、あまりにカッコよくて素敵でチャーミングで、心躍らずにはいられない。


これが「目が足りない」というやつで、当時は違う目線で観ていたから視界に100%は入ってこなかった。でも今はまた別の目線で全く新鮮。こんな風に何度観ても観直すたびに発見があるのが宝塚。

 

瀬戸さんは、私のイチ推しさんと何度も共演しているので、いつもどっしり、「アニキ」と呼ばれていたのがわかる気がするくらいのなじみはあった。


「カリスタの海に抱かれて」、「メサイア」、「元禄バロックロック」などを観直したけれど、一番好きなのは「はいからさんが通る」の青江冬星役。存在感と硬軟混ざった感じがさすがで、とってもよかったなあ(鳳月杏さんバージョンも好きだった)。

 

如月さんに関しては、このドラマでの画面アップの美しさと可憐さにため息。

で、「霧深きエルベのほとり」や「ANOTHER WORLD」、「GOD OF STARS」などを探したけど、「こ、この方かしら?」というお役で、なかなか認識できにくくて残念で。

 

舞台で衣装やパッドやメイク、それに仕草、動きで男らしく見せるのと、テレビドラマの身近な感じでの男性、というお芝居とは違うのだろうけど。

そういった評論を書いたブログも見かけるけど。

 

何かねえ、そんなのもうどうでもいいです。眺めているだけでキラキラ感をもらえる幸せなドラマだった。

 

サービスなのか、エンディングのダンスも楽しくて。

ドラマが終わってしまってかなり残念……ちょっとロスになってます。

 

(了)

 

 

 

↓「忘れもの」がお題の短編です。14分で読めます。

正しい忘れ癖の治し方

 

 

 

↓「染まる」がお題の短編です。12分で読めます。

きみはパッチワーク 

 

 

 

 

↓「○○解禁」がお題の短編です。14分で読めます。

バラを育ててはいけません

 

 

 

 

↓「あなたと離れた理由」がお題の短編です。14分で読めます。

ママの婚活

 

 

 

 

 

 

 

まだ年の瀬が押し迫った感が全然なく、悠長に構えていたら。

大河ドラマの最終回も、流行語大賞も今年の漢字の発表も終わってしまい、ついに大晦日……。


というわけで慌てて年末恒例の振り返り。今年はどれだけ書けただろうか、の備忘録。

 

シナリオ①55枚(焼き直し)

シナリオ②50枚(焼き直し)

シナリオ③50枚(焼き直し)

小説①~㉔ (8000字以内)

 

……といった具合で、小説24本、シナリオ3本(すべて落選小説の焼き直し)。他、このブログを週1更新(毎回2.5枚くらい)。

 

今年のコンクールでは、朗報も惜しかったものすら全くなかった。


でも、小説サイトにて、「この作品好きです」「いい話ですね」と私の書いたものを他に推薦してくださったり、きちんと最後まで読んで感想をくれるフォロワーさんが現れて、ことのほか嬉しかった。


なので落選にガッカリせず、今後もマイペースにぼちぼち創っていきたいと思う。

 

ちなみに去年はオール短編小説(8000字=20枚以下)が24本。

他、過去作焼き直しのシナリオ(55枚)、1本。

同じく過去作焼き直し小説(200枚程度)、1本

 

あまり変わり映えしないな。

 

去年も今年もだけど、最近長いものを書く気力がわかない。


長編は根気と体力が要る。

短編はまた違う難しさがあるけれど、いろんなジャンルに切り替えられるので自分をコントロールしやすい。

 

なので、おそらく来年も短編主体になると思う。


またエブリスタのコンクールを締め切り代わりにして、何とか書き続けていくつもり。何しろお題や締め切りがないとアイディアも書きたいことも全く湧いて出てこないので。

 

2週間に1度の周期で新しいものを書くのは結構大変だけど、そうやって四苦八苦した中で気に入ったものができればもっと手をかけたくもなる。掘り下げて長編に育つこともある。

 

取り敢えず数をたくさんこなしてカンを鈍らせないようにしたい。そうしているうちに「これは長編向き。丁寧に仕上げたい」とのめり込めるものが出てきてくれるかも、と思う。

 

……と、来年への抱負も、去年とあまり変わり映えしていない気がする。

 

(了)

 

 

↓「忘れもの」がお題の短編です。14分で読めます。

正しい忘れ癖の治し方

 

 

 

↓「染まる」がお題の短編です。12分で読めます。

きみはパッチワーク 

 

 

 

 

↓「○○解禁」がお題の短編です。14分で読めます。

バラを育ててはいけません

 

 

 

 

↓「あなたと離れた理由」がお題の短編です。14分で読めます。

ママの婚活

 

 

 


 

 

 

今日はクリスマス。


クリスマスといえば何を連想するだろうか、と考えてみて、

まあ、ツリーとかプレゼントとか靴下とかサンタさんをいつまで信じていたとか。

思いつくのはそんな普通のことばかり。

 

と、小学生の頃にもらった十字架のペンダントのことを思い出した。

クリスマスだったかどうかは覚えていないが、キリストつながりの連想。


それと、タイトルに「男の子」と入れたが、色っぽい要素は全くない話です。

 

子供会か何かの催しで、賞品だったのかどうか理由は覚えていないけれど、私は十字架のペンダントをもらった。


私は一応女子であり、「誕生日プレゼントに何が欲しい?」と聞かれれば「アッコちゃんのテクマクマヤコン」(=コンパクトミラー)と答える程度のお洒落欲はあった。

 

なので、そのキラキラとした十字架ペンダントは、もう本当に嬉しくて、大事な大事な宝物となった。

 

なのに。

 

学校へは持ち込み禁止だったろうから、どこかへ遊びに行ったときだろうか。

その十字架ペンダントをいたく気に入った男子がいた。確か学校で同じクラスだったと思う。

 

「もっと良く見せて」「いいなあ」「きれいだなあ」とかとか。

すごく羨ましそうだった。あんまり素直に欲しそうな顔をするので、ちょっと面倒くさくなってきたのだと思う。

 

で、私は「○○をしてくれたらこれあげる」とか言ってしまったのだ。

つまり、かぐや姫のごとく、無理難題を仕掛けてできなかったらじゃあこの話はおしまい、とばかりに。

 

ところがその子、あれをやって、あそこに来て、など何を言っても全部こなす(断っておくけれど、妙なひどいお願いはしていない)。

それでとうとうそのペンダントをあげることになってしまったのだった。

 

私だってすごく気に入っていたのに。

きれいで可愛くて大好きな(多分初めての)アクセサリーだったのに。

 

今思えば、私にはちょっと見せびらかしたい気分があったのかもしれない。

いいでしょ、羨ましいでしょ、といった優越感。

心からそれを「きれい」と思ってくれる子に、「でもそれは私のなんだからね」みたいに自慢げな。

 

スネ夫だな。

嫌な奴だわ、自分。

 

結局手放さざるを得ない状況を自分で作ってしまい、あとでどれだけ泣いたか。

バカな奴だわ、自分。

 

あの男の子は、まだ覚えているだろうか。まだ持っていたりするだろうか。

たぶんもうどちらもないだろう。それだけの月日が経った。

 

でも、ものすごく久しぶりに思い出したということは、これをネタに何かの物語にしてもいいということでは?

 

たとえば、仕掛けた無理難題のせいで事故死した男の子が仕返しに来るホラーとか。

 

という具合に、今の私は悔しさも後悔も、創作に転じることで折り合いつけてます。

 

(了)

 

 

↓「忘れもの」がお題の新作短編です。「イラつく人物」を書いてみました。14分で読めます。

正しい忘れ癖の治し方

 

 

 

↓「染まる」がお題の短編です。12分で読めます。

きみはパッチワーク 

 

 

 

 

↓「○○解禁」がお題の短編です。14分で読めます。

バラを育ててはいけません

 

 

 

 

↓「あなたと離れた理由」がお題の短編です。14分で読めます。

ママの婚活

 

 

 

 

 

 

 

記憶をたどれば、物語を創った最初は小学生の頃だったと思う。

 

仲の良かった同級生が物語を書いて担任に見せて感想をもらっていた。それで私も真似して先生に持って行くようになった。

大長編のつもりのやつ一本だけに終わったかと思うけど(当然未完)。

 

うろ覚えに覚えている限りでは、何かやたらに人が死んでいく話。それも結核で。

 

これは、その頃国語の教科書に載っていた小説かノンフィクションかの影響をもろに受けたもの。ストーリーになっていたかどうかも怪しい、結核が連打された話。

 

それくらい国語の勉強を一生懸命やっていた、という記憶はないので、物語とはそういうものだと思ったのだろう、10歳くらいの私。

 

その後で覚えているのは中学の時に描いた漫画もどき。

といってもやっぱり完結には程遠く、登場人物と大体の流れと、クライマックス場面のぶち抜き1ページイラストが出来たくらい。

 

え~、この頃私がハマっていたのは、刑事ドラマ「太陽にほえろ!」。

 

なので創った話は、何かの事件で刑事と知り合った女子高生が恋仲になり、その刑事の担当する別の事件に巻き込まれて撃たれる。


……という、またまたもろに影響受けまくりの、ストーリーはほぼほぼなかった物語だったかと思う。

 

それ以降はあまり印象に残っている創作もなく、シナリオ学校に通い始めた20代後半に飛ぶ。

 

お題に沿って20枚シナリオを書いて提出するシステムだったのだが、10回ほども書くとネタ切れ。


それで身の回りの出来事、誰かとの会話、経験したことなんかを頭の奥底から引っ張り出してアレンジするように。

 

でも、どうしても自分の手の届く範囲のことだらけになってしまう。リアリティはあっても、何というか、スケールの大きさとか目を引く斬新さなどがない。

 

それでいろいろ調べたり聞き回ったりするようになるわけだけど、調べたことは全部使いたくなる。でもそれらを全て並べるとストーリー的に何だか面白くなくなることに気づいたのは、ずいぶん後。取捨選択するのも大事かな、などと考えるようになった。


語り方とか構成とか他にもあれこれ教わったり気を使うようにもなり。

謎は小出しにして読者の気を引きながら進めるとか、こっちに目を向けさせといて実はというミスリードを狙おうとか。そんなふうにゴチャゴチャ考えながら創作する今。


たまに思い出す。子供の頃の、あの結核話や刑事話。

 

出来とか書き方とかストーリー運びとかはメチャクチャだっただろうけど、何も考えずに今自分の中にある何かをどーんと素直に打ち出していた。

 

多分、押し入れのどこかに残っているだろうそれらを見つけて読み返したら、きっと恥ずかしくて人には見せられない代物だとは思う。


けれど、今ではできない、きらめきのようなものがあった気がする。

 

なので、描き方とか語り方とかをあまり考えずに思いついたことをストーンと書いてみてもいいかもしれない、と、ときどき思う。

 

(了)

 

 

↓「染まる」がお題の新作短編書きました。12分で読めます。

きみはパッチワーク 

 

 

 

 

↓「○○解禁」がお題の短編です。14分で読めます。

バラを育ててはいけません

 

 

 

 

↓「あなたと離れた理由」がお題の短編です。14分で読めます。

ママの婚活

 

 

 

↓「演じる」がお題の超短編。2分で読めます。

葉っぱの季節

 

 

 

 

 

今クールドラマ、「クロサギ」に注目している。主演のKing&Prince平野くんの名前と顔がこの程ようやく一致したところ。

 

「クロサギ」は漫画が原作で、2006年に一度山P主演でドラマ化されている。「金田一少年の事件簿」と同じパターンで代々ジャニーズで繋げていくのかな?

 

で、山Pのを観ていた頃はなかったのだけど、今回は結構な違和感……を覚えている。

 

この「クロサギ」というのは、世の中に蔓延る「シロサギ」(普通の詐欺)や「アカサギ」(結婚詐欺)をだます詐欺師、という設定。目には目を、みたいな感じで悪いことしている奴らをやっつけるというドラマ。

 

毎度の決めゼリフが、そんな悪い奴らから大金を巻き上げた主人公の「ごちそうさん」。

その決めシーンに「はあ?」と思ってしまうのである。

 

「お前が振り込んだのは俺の口座なんだよ!」と平野くんがスマホを見せつけるのだ。通帳ではなく、スマホ。

 

うおー。

振込、スマホ。

振込、キャッシュレス。

残高、スマホで確認。

 

えええ。こういうのが一般的なんですか、今。

 

私的には、口座振込=CDから(大金なら窓口で)現金またはカードで送金。

残高確認=通帳記入してそこに印字されたものを見る、というものだったんですが。

 

恐るべし、時代の変化。

 

 

ところで最近、昔使っていた口座の通帳とキャッシュカードが見つかった。

これ使えるのかな? と、CDで試してみたら、案の定「お店に確認してください」のメッセージ。


しかたなく一番近い有人店舗へ出かけたら、いわゆる休眠という状態になっていた。何でも、10年入出金の動きがないとそうなってしまうのだとか。

 

それで、その口座はもう廃棄して新口座を作るしかない、とのこと。で、言われるがままに手続きに進むと……

 

何ですと? 通帳は年間500円かかるって? 

じゃあ要りません。


となると、なるほど。

こ、これがあの。「クロサギ」の平野くんが決めゼリフと共に出すスマホ確認パターン?

 

で、新口座開設は、アプリであれこれ自分で入力、免許証などの証明書類も自撮りで送信、そして印鑑は要らない、って。

 

ゲロゲロゲロ。

 

大丈夫なんでしょうか、それ。

大事な個人情報の最たるもの……不安でしかたないけどしかたない。

つまり、世の中的にはもう口座開設は銀行員の仕事じゃなくて自分でやれってこと? 

 

そんな口座、本当に大丈夫かいな、と、カードが届いてからはしばらくおっかなびっくりで少額をちびちび出したり入れたりの確認を繰り返した。

 

……大丈夫みたいです。


自分、ITに弱い方じゃないつもりだったのに、完全にアナログ人種側に取り残されている気がしております。

 

(了)



↓「染まる」がお題の新作短編書きました。12分で読めます。

きみはパッチワーク 


 

↓「○○解禁」がお題の短編です。14分で読めます。

バラを育ててはいけません

 

 

 

 

↓「あなたと離れた理由」がお題の短編です。14分で読めます。

ママの婚活

 

 

 

 

もう3年も前になるが、宝塚の「壬生義士伝」を観劇した(雪組2019)。

 

同じ原作の映画版(2002)があると知り、気になった。ちょうどそのタイミングでテレビ放送されたので録画。それをこのほどようやく視聴。

 

で、最初の感想は、「あれ? 観たことあったわ、これ」だった。

 

浅田次郎さん原作の、新選組の一人の武士のお話。


家族を愛し、南部という故郷を愛した男が、貧しい暮らしゆえに脱藩という大罪を犯して剣の腕で稼ぐ。家族への仕送りのため、ちょっと異様なくらいの金への執着も、周りを和ませる仁徳があるゆえに可愛らしくすら見え、悲劇へ向かうしかない流れは涙ものだった。

 

映画も宝塚も、そんな大筋は同じ。でも宝塚を観た時に、映画版を既に観ていたこと、全然全くひとかけらも思い出さなかった。なぜだろう?

 

映画版は、明治ももう時代が進み、歳を取った斎藤一が孫を医者に連れてくるところから始まる。この医者が、実は主人公の吉村の縁の者で、斎藤とかわす会話が幕末の回想につながってくる構成。引越し間際の貧乏医者らしく、ボロ屋と言ってもいい「場」。

 

でも、そこが宝塚版はタカラヅカ。鹿鳴館で踊る貴婦人たちの中、警備の職に就く制服キリリのカッコイイ斎藤一が登場し、華やかに当時を回想していくのである。故郷への強い思いが歌で表現されるのも効果的だった。

 

映画の斎藤は年を取り、怪我の後遺症で足も悪く、いかにも老いぼれ。でも宝塚の斎藤はどこまでもキラキラに素敵である。

 

だから同じ話だと気づかなかったのか……? そして「観たことあった」と気づいたのは、斎藤が佐藤浩市、縁のある貧乏医者が村田雄浩、と私の大好きな俳優さんだったから。何かこのシーン覚えがあるわ、と、途切れ途切れに思い出したわけで。

 

ざっと並べると、主人公吉村=中井貴一、大野(吉村の幼なじみ)=三宅裕司、近藤=塩見三省、土方=野村祐人、沖田=堺雅人、息子ら=伊藤淳史、藤間宇宙等、めちゃくちゃ見たくなる配役。つまり自分、まずは俳優さんありきで映画選んでたな、という傾向がクッキリわかった。

 

もちろん宝塚版も、吉村=望海風斗、大野=彩風咲奈、土方=彩凪翔、斎藤=朝美絢、沖田=永久輝せあ、と、そうそうたる顔ぶれ。映画の後にもう一度宝塚の録画を観直して惚れ惚れした。

 

映画版で前回なかった感想が一つ。

佐助という使用人がとてもいい味を出している。忠実で仕事が出来て非情な目もするが実際は温かい。そんな脇を締めた佐助を演じたのは山田辰夫さんという俳優さんだと初めて認識。検索したら、2009年にもう亡くなってらした。とても残念。

 

(了)

 

↓「○○解禁」がお題の短編です。14分で読めます。

バラを育ててはいけません

 

 

 

 

↓「あなたと離れた理由」がお題の短編です。14分で読めます。

ママの婚活

 

 

 

 

↓「泥棒」がお題の短編です。11分で読めます。以前書いたもののシリーズにしてみました。

マダムの戯言2

 

(マダムの第1話はこちら→ マダムの戯言 )

 

 

 

いつの頃からか、洋物の話を読むのが苦手になってきた。

登場人物の名前がカタカナだから(当たり前だ)、というのが一番の理由かと思う。

 

元々記憶力が悪いのに、近年忘却力も加速、この2人がガッチリ手を組んでくるから、「この登場人物誰だっけ?」となってしまうのだ。

 

都度都度そうなってはページを戻して確認(本によっては見返しに人物紹介があったりするのがありがたい)。で、ちっとも物語が進まなくて結局放り出す羽目になるのである。

 

映画や漫画なら別。演じている俳優さんに馴染みがあったり、絵の描き分けで見分けがつくので、そういう障害は少ない。

 

でも、文字だけしかない本になると、すぐわからなくなってしまう。何なら男女の区別さえしばらく気づかなかったり(泣)。

 

そういう自覚が年々強くなってきたせいか、自分が書く物語も、洋物はほとんどない。

書いているうちに自分でも「この人誰だっけ?」となってしまいそうで、そんな話は読み手側だって訳わからん、となるのは必然だから。

 

で、洋物というだけで、手を出すべきじゃないブラックホール的な苦手分野になっていた。

 

が、挑戦している定期的なコンクールで最近、「○○解禁」というお題が出た。

 

私の場合、まずお題から連想する物をどんどん列挙することから始めるのだが、「解禁」についてはどうしても「禁酒法」しか出てこない。

 

となると、洋物にするしかない……?

と追い詰められて、ついに挑戦してみることにした。

 

ただし、8000文字という制限があるので、1930年代のアメリカという背景をどーんとリアルに添えるにはいささかキツイ。

で、考えた挙げ句、大人向けメルヘン、若しくはファンタジーという形にしようと決めた。

 

それで、この分野はほとんど初心者なので、雰囲気とか目指すイメージを得るためにいろいろと観たり読んだりした。

 

宝塚の「Once Upon a Time」、映画「アンタッチャブル」。

主人公の少女のイメージとしてジャンヌ・ダルク関連の偉人伝。

薄幸感が欲しくてロザリーを思い出すために「ベルばら」。

 

それから、和田慎二漫画。

私は大昔から和田さんのファンであり、その作品には洋物の大作を下敷きにしたと思われるものがいくつかある。それを日本の、それもティーンエイジャーの物語に換骨奪胎している技に、改めて感心しながら読み直した。

私も真似て、日本のティーンに置き換えて創ろうかとも思ったが、どうしてもうまくいかず、断念。

 

ちなみに鬼門の「登場人物名」は、作者が把握や区別がクッキリできるようハリウッド俳優名を拝借。

 

とまあ、いろいろ妥協しながらだけど書き始めてみたら、面白くなってしまい、一気に書き終わった。

 

そういえば、子供の頃は洋物の本を読むのが大好きだった。そんなことを思い出せただけでも、良い挑戦をしたと思っている。

                    (了)

 


↓洋物挑戦した「○○解禁」がお題の短編はこちら。14分で読めます。

バラを育ててはいけません 

 

 

 

 

↓「あなたと離れた理由」がお題の短編です。14分で読めます。

ママの婚活

 

 

↓「泥棒」がお題の短編です。11分で読めます。以前書いたもののシリーズにしてみました。

マダムの戯言2

 

(マダムの第1話はこちら→ マダムの戯言 )

 

 

 

子供の頃から忘れん坊だった。


といっても忘れ物が多いという意味じゃなく、記憶するのが苦手ということ。すぐに別の何かに上書きされてしまう。要するに脳のキャパが小さい。

 

勉強したはずのことを後輩に教えてと言われるたびに「覚えてない」とばかり答えていたら、意地悪だと言われた。

思い出話をされて「何だっけ?」みたいな顔をし、友人を不機嫌にさせたこともある。軽んじられたと感じたらしい。

 

いや、意地悪とか軽んじるとかじゃなく、本気で思い出せないのに。

 

人との会話でも、盛り上がってあれよあれよという間に話が展開してゆくと、前半部分の内容が記憶されてないことがしょっちゅう。


私的なことならまだいい。けれど、例えば仕事でマスト事項を一度にいくつも言われると最後だけしか認識できてない、という経験も何度もある。

 

セミナーで同時多発的な質問に答える人や、複数の仲間同士で軽快に会話する人を見ると、自分の短時間しか記憶できないっていう現象、他の人にはなさそうだと感じる。


自分はごくごく普通の平凡な人間だと思っていたが、普通の人なら平然とできることができない、要するに欠陥品なのでは、と落ち込むことも多かった。

 

そういった歴史を繰り返しているので、忘れないためにメモを取ること、覚えておくために同じことを何度も繰り返し見直しやり直して体に刷り込むこと、などの習慣がついた(偉いねえと褒められたりするけど、結構必死なだけです)。

 

友だちとの会話という楽しい次元でも忘れん坊現象は年中起こるのであるが、お芝居やドラマという大好きな趣味でもこれはある。


一度しか観なかったものは、大概忘れてしまう。もう一度観直すと「あれ、こんな話だっけ? この俳優さん、こんな演技してたんだっけ」などと新鮮に観られる(!)。

 

たとえば最近、かなり前に入手したDVD(宝塚)を再度観て、そのエンディングに猛烈に感動した。


ストーリーはそこそこ覚えていたけれど、そのラストシーンはあまり記憶に残っていなかった。


物哀しい音楽とダンスがテンポアップして畳みかける2分ほどに今更熱狂、それから毎日10回以上リピートするのが日課になり、だから今も頭の中をその曲と映像がグルグル回っている。

 

入手した数年前もかなりしっかり観たつもりなのに、私の頭からはそのシーン、見事に消え去っていた。たまたま先日観直して発見したが、もし忘れたままでいたら人生大損していたとこだった。いやマジで。

 

そんな具合なので、生の舞台を観に行ってその空気を感じることにワクワクすれど、DVDを手に入れて何度も復習することも不可欠。でないとお気に入り候補のはずのシーンをポロポロこぼれ落としてしまう私。

 

生舞台を一度観ただけで丸ごと心に映せる人が、心底うらやましい。

 

(了)


↓「○○解禁」がお題の新作短編書きました。14分で読めます。

バラを育ててはいけません 


 

↓「あなたと離れた理由」がお題の短編です。14分で読めます。

ママの婚活

 

 

↓「泥棒」がお題の短編です。11分で読めます。以前書いたもののシリーズにしてみました。

マダムの戯言2

 

(マダムの第1話はこちら→ マダムの戯言 )