もう3年も前になるが、宝塚の「壬生義士伝」を観劇した(雪組2019)。
同じ原作の映画版(2002)があると知り、気になった。ちょうどそのタイミングでテレビ放送されたので録画。それをこのほどようやく視聴。
で、最初の感想は、「あれ? 観たことあったわ、これ」だった。
浅田次郎さん原作の、新選組の一人の武士のお話。
家族を愛し、南部という故郷を愛した男が、貧しい暮らしゆえに脱藩という大罪を犯して剣の腕で稼ぐ。家族への仕送りのため、ちょっと異様なくらいの金への執着も、周りを和ませる仁徳があるゆえに可愛らしくすら見え、悲劇へ向かうしかない流れは涙ものだった。
映画も宝塚も、そんな大筋は同じ。でも宝塚を観た時に、映画版を既に観ていたこと、全然全くひとかけらも思い出さなかった。なぜだろう?
映画版は、明治ももう時代が進み、歳を取った斎藤一が孫を医者に連れてくるところから始まる。この医者が、実は主人公の吉村の縁の者で、斎藤とかわす会話が幕末の回想につながってくる構成。引越し間際の貧乏医者らしく、ボロ屋と言ってもいい「場」。
でも、そこが宝塚版はタカラヅカ。鹿鳴館で踊る貴婦人たちの中、警備の職に就く制服キリリのカッコイイ斎藤一が登場し、華やかに当時を回想していくのである。故郷への強い思いが歌で表現されるのも効果的だった。
映画の斎藤は年を取り、怪我の後遺症で足も悪く、いかにも老いぼれ。でも宝塚の斎藤はどこまでもキラキラに素敵である。
だから同じ話だと気づかなかったのか……? そして「観たことあった」と気づいたのは、斎藤が佐藤浩市、縁のある貧乏医者が村田雄浩、と私の大好きな俳優さんだったから。何かこのシーン覚えがあるわ、と、途切れ途切れに思い出したわけで。
ざっと並べると、主人公吉村=中井貴一、大野(吉村の幼なじみ)=三宅裕司、近藤=塩見三省、土方=野村祐人、沖田=堺雅人、息子ら=伊藤淳史、藤間宇宙等、めちゃくちゃ見たくなる配役。つまり自分、まずは俳優さんありきで映画選んでたな、という傾向がクッキリわかった。
もちろん宝塚版も、吉村=望海風斗、大野=彩風咲奈、土方=彩凪翔、斎藤=朝美絢、沖田=永久輝せあ、と、そうそうたる顔ぶれ。映画の後にもう一度宝塚の録画を観直して惚れ惚れした。
映画版で前回なかった感想が一つ。
佐助という使用人がとてもいい味を出している。忠実で仕事が出来て非情な目もするが実際は温かい。そんな脇を締めた佐助を演じたのは山田辰夫さんという俳優さんだと初めて認識。検索したら、2009年にもう亡くなってらした。とても残念。
(了)
↓「○○解禁」がお題の短編です。14分で読めます。
↓「あなたと離れた理由」がお題の短編です。14分で読めます。
↓「泥棒」がお題の短編です。11分で読めます。以前書いたもののシリーズにしてみました。
(マダムの第1話はこちら→ マダムの戯言 )



