いつの頃からか、洋物の話を読むのが苦手になってきた。
登場人物の名前がカタカナだから(当たり前だ)、というのが一番の理由かと思う。
元々記憶力が悪いのに、近年忘却力も加速、この2人がガッチリ手を組んでくるから、「この登場人物誰だっけ?」となってしまうのだ。
都度都度そうなってはページを戻して確認(本によっては見返しに人物紹介があったりするのがありがたい)。で、ちっとも物語が進まなくて結局放り出す羽目になるのである。
映画や漫画なら別。演じている俳優さんに馴染みがあったり、絵の描き分けで見分けがつくので、そういう障害は少ない。
でも、文字だけしかない本になると、すぐわからなくなってしまう。何なら男女の区別さえしばらく気づかなかったり(泣)。
そういう自覚が年々強くなってきたせいか、自分が書く物語も、洋物はほとんどない。
書いているうちに自分でも「この人誰だっけ?」となってしまいそうで、そんな話は読み手側だって訳わからん、となるのは必然だから。
で、洋物というだけで、手を出すべきじゃないブラックホール的な苦手分野になっていた。
が、挑戦している定期的なコンクールで最近、「○○解禁」というお題が出た。
私の場合、まずお題から連想する物をどんどん列挙することから始めるのだが、「解禁」についてはどうしても「禁酒法」しか出てこない。
となると、洋物にするしかない……?
と追い詰められて、ついに挑戦してみることにした。
ただし、8000文字という制限があるので、1930年代のアメリカという背景をどーんとリアルに添えるにはいささかキツイ。
で、考えた挙げ句、大人向けメルヘン、若しくはファンタジーという形にしようと決めた。
それで、この分野はほとんど初心者なので、雰囲気とか目指すイメージを得るためにいろいろと観たり読んだりした。
宝塚の「Once Upon a Time」、映画「アンタッチャブル」。
主人公の少女のイメージとしてジャンヌ・ダルク関連の偉人伝。
薄幸感が欲しくてロザリーを思い出すために「ベルばら」。
それから、和田慎二漫画。
私は大昔から和田さんのファンであり、その作品には洋物の大作を下敷きにしたと思われるものがいくつかある。それを日本の、それもティーンエイジャーの物語に換骨奪胎している技に、改めて感心しながら読み直した。
私も真似て、日本のティーンに置き換えて創ろうかとも思ったが、どうしてもうまくいかず、断念。
ちなみに鬼門の「登場人物名」は、作者が把握や区別がクッキリできるようハリウッド俳優名を拝借。
とまあ、いろいろ妥協しながらだけど書き始めてみたら、面白くなってしまい、一気に書き終わった。
そういえば、子供の頃は洋物の本を読むのが大好きだった。そんなことを思い出せただけでも、良い挑戦をしたと思っている。
(了)
↓洋物挑戦した「○○解禁」がお題の短編はこちら。14分で読めます。
↓「あなたと離れた理由」がお題の短編です。14分で読めます。
↓「泥棒」がお題の短編です。11分で読めます。以前書いたもののシリーズにしてみました。
(マダムの第1話はこちら→ マダムの戯言 )