一昔前(もしかして二昔、三昔……? 汗)は、歌番組は誰もが必ず見る、見なくちゃならない必須番組だった。
流行歌を聴きたい。
歌手の振り付けや衣装やコメントが楽しみ。
その人気順位づけが知りたい。
そんな熱い思いでみんなが注目し、見ていない人間は話題に乗り遅れてしまう時代があった。
いつ頃からか、そういった番組に出たがらない歌手が増え、「歌手」ではなく「アーティスト」と呼ばれ、フューチャリングとかコラボとか卒業とかの言葉が飛び交うようになり。
「ベストテン」や「トップテン」が消えていき、今放送されている歌番組は、昭和平成の比較だとか冬の名曲とかゲストが選ぶ思い出の曲だとか……そんな無理クリ引っ張り出したような切り口のものが多くなった。
年末の恒例とされている「レコード大賞」も、何であんなに長時間、見たことも聴いたこともない(つまり流行っていたとはとても言えない)曲や大昔の受賞シーンを流すだけの番組になってしまったのだろう?
更に年末風物詩の「紅白歌合戦」も、もはや流行は二の次。
昨年も、若者に人気があったっぽい歌手をそこそこ揃え、ジャニーズや坂のオンパレード、似たようなダンスミュージック多数。
昔にヒットした持ち歌を披露する人が多く、やたらある特別枠というものは「紅白に選ばれた歌手」とは別みたいで。
演歌になると、ガッツリそれを聴かすのではなく何かとセットでのアピール。
一体どの世代のどんな人に向けて発信したいのかよくわからなかった、というのが正直な感想。
「紅白とは家族全員で楽しむもの」といった縛りで、なべて散漫になった挙げ句、逆にどの世代にも不満を残してしまった印象。
紅白離れが進むのも仕方ないかなと思ってしまった。
私としては、決して歌に興味がなくなったわけじゃない。
かつてのヒット曲も懐かしみたいし、今流行っている歌も、ついていけなくたって聴いてみたい。
でもそれなら、テレビ限定とするならCS。
地上波で放送される物にはもうウンザリ。
大体が、多数ゲストがいていちいち曲にまつわる思い出を語ったり(→よく知らない人の思い出聞くより流す曲を増やしてほしい!)。
曲がかかってその映像が出ると、出演者それぞれの表情やノリなんかを端っこの枠で抜いている(→そのせいで見たい映像が隠れてるじゃん!)。
売り出し中の芸人なんかが目立とう精神でよくわからないギャグをやったり(→宣伝ならお笑い番組でお願いします!)。
久々に出演したかつての人気歌手が、聴くに耐えない下手くそさで生歌(→頼むから練習してきてください!)。
それから最近、年末特番の長時間歌番組で最後に必ずやるのが、3秒くらいずつの全出演者のダイジェスト。何歌ってるかわからないくらいの一瞬一瞬のつぎはぎ(→これ、要る?)。
歌番組を見るのは、歌を聴きたいから。
ちゃんと聴きたいしちゃんと見たい。
歌を。歌だけを。
だから余計な足し算ばかりの地上波番組にウンザリする。
対するCSは、プロモーションビデオをひたすらフルフル流すだけ。
他に何もない。
ただそれだけのCSが心地よく、慣れてしまうともう地上波に戻れない。
(了)
↓「特別な一日」がお題の短編書きました。12分で読めます。
ミステリーに挑戦……してみたら暗い話なってしまった。
↓「忘れもの」がお題の短編です。14分で読めます。
↓「染まる」がお題の短編です。12分で読めます。
↓「○○解禁」がお題の短編です。14分で読めます。




