記憶をたどれば、物語を創った最初は小学生の頃だったと思う。
仲の良かった同級生が物語を書いて担任に見せて感想をもらっていた。それで私も真似して先生に持って行くようになった。
大長編のつもりのやつ一本だけに終わったかと思うけど(当然未完)。
うろ覚えに覚えている限りでは、何かやたらに人が死んでいく話。それも結核で。
これは、その頃国語の教科書に載っていた小説かノンフィクションかの影響をもろに受けたもの。ストーリーになっていたかどうかも怪しい、結核が連打された話。
それくらい国語の勉強を一生懸命やっていた、という記憶はないので、物語とはそういうものだと思ったのだろう、10歳くらいの私。
その後で覚えているのは中学の時に描いた漫画もどき。
といってもやっぱり完結には程遠く、登場人物と大体の流れと、クライマックス場面のぶち抜き1ページイラストが出来たくらい。
え~、この頃私がハマっていたのは、刑事ドラマ「太陽にほえろ!」。
なので創った話は、何かの事件で刑事と知り合った女子高生が恋仲になり、その刑事の担当する別の事件に巻き込まれて撃たれる。
……という、またまたもろに影響受けまくりの、ストーリーはほぼほぼなかった物語だったかと思う。
それ以降はあまり印象に残っている創作もなく、シナリオ学校に通い始めた20代後半に飛ぶ。
お題に沿って20枚シナリオを書いて提出するシステムだったのだが、10回ほども書くとネタ切れ。
それで身の回りの出来事、誰かとの会話、経験したことなんかを頭の奥底から引っ張り出してアレンジするように。
でも、どうしても自分の手の届く範囲のことだらけになってしまう。リアリティはあっても、何というか、スケールの大きさとか目を引く斬新さなどがない。
それでいろいろ調べたり聞き回ったりするようになるわけだけど、調べたことは全部使いたくなる。でもそれらを全て並べるとストーリー的に何だか面白くなくなることに気づいたのは、ずいぶん後。取捨選択するのも大事かな、などと考えるようになった。
語り方とか構成とか他にもあれこれ教わったり気を使うようにもなり。
謎は小出しにして読者の気を引きながら進めるとか、こっちに目を向けさせといて実はというミスリードを狙おうとか。そんなふうにゴチャゴチャ考えながら創作する今。
たまに思い出す。子供の頃の、あの結核話や刑事話。
出来とか書き方とかストーリー運びとかはメチャクチャだっただろうけど、何も考えずに今自分の中にある何かをどーんと素直に打ち出していた。
多分、押し入れのどこかに残っているだろうそれらを見つけて読み返したら、きっと恥ずかしくて人には見せられない代物だとは思う。
けれど、今ではできない、きらめきのようなものがあった気がする。
なので、描き方とか語り方とかをあまり考えずに思いついたことをストーンと書いてみてもいいかもしれない、と、ときどき思う。
(了)
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