初・感謝状
もう終わろうとしている5月。
私にとって今年の5月は、ちょっとした変節点になっています。
(というよりも、今年はとにかく全部変節点なんですが…)
これまで関わってきた人材業界。
諸先輩から「自社視点だけでなく、業界視点で仕事をすべし」とご指導を頂いて、少しづつ日本人材派遣協会の活動に関与させてもらいようになりました。
それが7年ほど前だったでしょうか。
協会に出入りをさせてもらった当初は、評論家的に勝手な発言をしているだけでしたが、やがて、副理事長、理事長として執行に関与させてもらうようになり、昨年から会長という大役を頂いていました。
ところが、色々あって、インテリジェンスの社長を辞めることにしたために、業界の皆さんにご迷惑をおかけすることになってしまいました。
会長の任期は2年です。
昨年5月に会長を拝命したわけで、任期を全うするには来年5月まで務めねばなりません。
ただ、事業会社の社長ではない人間が、そんなに長く業界団体の長を務めるのも不自然。
そうしたことで、迷惑をお掛けすることは承知しつつも、任期途中で会長を退任させていただきました。
業界の皆様には、本当に申し訳なく思っております。
そんな私に、先日の総会の際、協会から感謝状を頂きました。
(ちなみに、一定の役職にて協会活動をお手伝いすると、退任する際に、誰でも感謝状はもらえるようになっています。)
考えてみると、感謝状というのは生まれて初めて。
そして、賞状を頂くというのも久々のことです。
会社として表彰してもらうことはあっても、個人として表彰されたというのは、恥ずかしながら、記憶にない…
そんなことで、初・感謝状。
ありがたいお話です。
そして、どうやら、このフロクもそろそろ”お別れ”が近づいてきています。
あと少し、がんばります。
GW中
GW中
今年のGWは一部の方々にとって、長い長い連休であったようですが、私は暦通りに動いておりました。
しかも、暦上の休みの日も特定的な予定もほぼなく過ごしました。
記憶の中で、ここまでノープランのGWはありません。
敢えてノープランで臨んだGWなので、問題はありませんが…
そんな中、突然思い立って牛久のゴルフ場に行くことにしました。
いつでも空いているゴルフ場なので、一応「9時30分くらいには着くと思います」とだけ伝え、向かったのですが、例のETC1000円の影響で高速が渋滞。
それで、早めに高速を諦めて、国道4号線を北上しました。
いつもの倍はかかるだろうと覚悟しつつ、そこは少しでも早く着きたいというのが人間の心理。
しかも、ゴルフ場には9時半という期限を示しています。
そんなことで、カーナビ表示で「残り19km」まで来たところで、国道4号線上に常磐自動車道が「さも近くに走っている」ような表示を発見しました。
さすがに渋滞も和らいでいるであろうという甘い観測のもと、ついフラフラと再度高速に乗ることを選択したのですが、これがいけなかった。
ビジネスの世界でもそうですが、目先の欲目というのはロクな結果を生み出しません。
国道4号で行くならずっと4号線で行く、高速で行くならずっと高速で行く。
そういう一貫性こそ、最終的に安定した成果を生み出すもの。
ちょっとうまみがありそうだから右に行き、ちょっとショートカットできそうだから左に行き…
つまらない欲をかいても結局損をする。
どうやら、いくら渋滞してはいても、我慢して高速を走り続けるのが、一番早道だったようです。
急がば回れということでしょう。
引越と2つの教訓
引越と2つの教訓
今日、インテリジェンスにあるオフィスを引き払ったのですが、教訓2つ。
まず、ひとつは20年間ため続けてきた書類やら物品というのは、相当なもので、これまでも(周辺スタッフに手伝ってもらって)整理はしてきたつもりでも、背の高さのストレージにして2本分くらいの書類になっていました。
さらに、本。サイドボードというか書棚いっぱいに本を溜め込んでいました。
これらの書類や物品、本をどうしたか?
結局ほとんど全部捨てました。
オフィスの引き払いを準備する中で、最初に捨てることを躊躇したのは、本でした。
どうも昔から本を捨てるということに抵抗があって、全部運び出そうと思ったのでしたが、「もう一度、読むことがあるのか?」ということを自分に問い直すと、それは「否」。
「これは、見直すかもしれない」と思える本も含め「えいや!」とばかり全部処分してもらいました。
となると、今まで読んだ本を溜め込んでいたのは、「なんだったんだろう」と考えます。
何となく捨てられなかっただけで、捨てても何も困ることはない。
教訓のひとつ目は、ただ何となく惜しいと思って取っておくというのは無意味だということ。
いや、この教訓、私は結構実践してきたつもりです。
いらないものはどんどん捨てる。
それでも、本だけは心理的にどうしても捨てられなかった。
この書棚に溜め込んでいた本、ほしい人に持って行ってもらったのですが、中に「この本、是非読んでみたかった」という人もいて、なるほど溜め込むよりも処分したほうが、よほど役に立つというわけです。
それからもう一つの教訓は、人間、なんでも器の大きさで入れるものを決めてしまうものだということ。
よく「自社ビルを持つと、自社ビルの容量でやることを決めてしまうからダメなんだ」ということを言います。
身近な個人的体験でいえば、旅行の時、「大は小兼ねる」ということで大きめのカバンを用意すると不思議とそれに合わせて余計なものまで持っていくことになる。「ちょっと小さめかな?」と思えるカバンのほうが無駄なものを持っていかないですむということがある。
私が愛用してきた机やそれと基調を同じくしたサイドボード類。
今更、こんなものを残しておいても、会社としては無用の長物です。
したがって、私が買い取るのが一番いいだろうと考えたわけですが、いざ、これをどこかに運ぼうと思うと、意外にデカイ。
最初、私の個人事務所に運び込もうと考えたわけですが、この机一式を運び込むといかんせん手狭になってしまいます。
つまり、まさに器が決まっているために、それに合わせて何を”捨て”、何を”残すか”考えることなる。
そんなことで、随分とスリム化できました。
人間、新しい制約が生まれることによって、それに合わせてどうにかするということができるものです。
結局、机一式は新プロジェクトを遂行するオフィスに運び込むことにしました。
人生の曲がり角で
12月にインテリジェンス社長を退任した段階で、先行きをどうするかを定める余裕などありませんでした。
さらに言えば、そんな心境でもありませんでした。
どんなことでも、いつでも、物事は急です。
前もって入念に告知があったり、じっくりと準備したりということではなくて、物事というのは突然起こり、
流れ始めたら止まりません。
そういう意味で、社長をやめることをよくよく準備していたわけでもなく、伝統的な大企業のように2期4年と
規定されていたわけでもなく、急な形で事を進めることになったわけです。
もちろん、以前から漠然とやめることは考えていましたし、社長就任から10年という節目は意識していました
が、いざ辞める段では、やはり急な形になったわけです。
そんなことで、突然迎えた人生の曲がり角に、正直、戸惑いがありました。
「どうしていこうか」
先行きのプランがない。
表面的には、プランがないことを楽しんでいるように見せていたように思います。
これまで自分が築いてきたキャリアというかバックグラウンドというか、それに対する自負心がありますから
、先行きに戸惑いや不安を抱えていると捉えられたくないという、心理作用が働いたんだろうと思います。
実際、確かにノープランの自分を楽しんでいた部分もありますが、そこそこ会社を成長させたベンチャー経営
者などといっても、世界大不況の大波をかぶったら経済的にはひとたまりもないわけで、やはり、ノープラン
を楽しむよりも不安のほうが大きかったというのが本音になります。
インテリジェンス創業からの約20年間で、不安を抱えていなかった時期を探すほうが難しいですし、不安をエ
ネルギーに転換する方法が自然に養われていたのはよかった。
それから、大きな先行きは楽観視すべきという自分なりの人生方針を思い出そうと心掛けもしました。
さて、創業から約20年で得たものは何だろうかと立ち止まって考える機会をもらえたことは、本当に貴重でし
た。
あのままやり続けていたら、気付かなかったことをたくさん気付かされました。
私が20年間で得たものは、経済的には大したものではなかったと思います。
もちろん、普通との比較であるならば、充分以上のものであったでしょうが…
お金というのは使えば簡単になくなってしまいますし、いろいろな事情で”奪われてしまう”ものだと実感し
ます。
市場環境一つで、資産の価値は簡単に劣化してしまうわけですし、絶対に劣化しない資産というものも存在し
ません。
それでは、私が20年間で得たものは何か。
それは、これまでの様々な方々との人間関係であり、自分自身で実践的に学び身につけてきた経験だと実感し
ています。
人ととのつながり、実践的な経験、学習し身につけたこと…
これらは、いかなる状況であったとしても”奪われる”ことはありません。
”身について”どのような状況でも”奪われない”経験こそ、私にとって最高に貴重な財産だと、43歳で迎え
た人生の曲がり角で身に沁みて感じています。
最近、何してるの?(1)
12月1日にインテリジェンスの社長を退任して”相談役”になってから、4ヶ月ちょっとが過ぎました。
この4ヶ月というもの、一番聞かれたことは「最近、何してるの?」。
確かに、43歳で相談役。というより浪人生活。
「一体、何をしてんだよ」という問いは当然と思います。
明かす場所もなかなかないので、フロクを通じて近況をお伝えしていこうと思います。
端的に言うと、色んなことをやっておりました。
そして、これは風向きなんでしょうが、そろそろ軸を定める決意をしております。
で、どんな4ヶ月であったか。
繰り返しになりますが、これまでインテリジェンス創業から20年間、走り続ける中でなかなかできなかったことをやっておりました。
どんな色々であったかは、今後、機会があれば書きたいと思いますが、
今日は、いくつか進めているプロジェクトの一つをご紹介しようと思います。
ちょうど、2年ほど前から、個人会社で丸の内の「新丸ビル」にてベイカリーをやっています。
それまで経年的に三菱地所さんにお世話になってきたご縁といくつかのご縁が重なって、どういうわけかパン屋さんをやるようになった次第です。
お店の名前は「ポワンエリーニュ」といいます。
フランス語でもって「点と線」=Point et Ligneです。
新丸ビルが開業されると同時にスタートしまして、パンがお好きな方々を中心にかなり認知して頂いております。
ありがたい限りです。平素ご利用いただいている皆様には、このフロクを通じまして、心から御礼申し上げます。
このお店、インテリジェンス社長時代には、「お金は出しても、全く口を出さない」、完全なオーナーでした。
(全く余裕がないので当然と言えば当然ですが…)
しかし、12月以降、余裕ができたこともあって、徐々に変革デザインに手を入れるようになってきました。
しかし、何事も簡単に変革はできないということを再認識します。
「あれがおかしい」「こうしたほうがいい」という評論家としてのコメントは簡単に出せますが、それを実際化するには相当の準備が必要になります。
ベイカリーのプロジェクトも、私自身のビジネス経験からすると、とっても小さいサイズなのですが、何らかの変革を加えようとすると障害の大きさを実感します。
そんなことで、ポワンエリーニュは、この春以降、少しづつ変化していくことになっています。
このフロクで明かしてしまったので、パン屋さんの変化についても、機会があればこの場でご紹介したい考えです。
ポワンエリーニュのWEBページはこちらです。
http://www.point-et-ligne.com/
それにしても、去年の夏以降、勉強の連続でした。
色々と勉強になりました。
43歳で、いきなり路線転換するというのも、なかなか大変だということを身をもって実感しました…
そんなことも含め、少しづつツラツラご案内していこうと思います。
というか、それくらいしか昨今書くこともないので、このフロクはそっちの方向に振っていきます。
(無題)
心と体はつながっていますね。
体力が落ちるというと、元気もなくなってくる。
先日、某先輩とやや季節外れのふぐを食しながら、ついつい焼酎(!)を飲みすぎてしまいました。
今後の私の”身のふり”なんぞをつまみにガブガブ呑んでしまった…
つまみがつまみだったせいか、前向きなエネルギーが出まくって、焼酎のストレートを水みたいに飲んだのがいけなかった。
翌日は完全に二日酔い…
こうなると、頭は回らないし、眠いし(飲みすぎの夜は眠りが浅い…とりわけ40代になってますます眠りが浅くなっているように感じます)、気持ち悪いし。
考え方までネガティブになってしまう。
折角楽しく呑んでも、翌日二日酔いでは、ポジティブサイクルがきれいに回りません。
やっぱり、深酒は禁物。自分のリズムを崩さず体調を整えてこそ、気持ちも健やかに維持できます。
そんな当たり前の教訓を再認識した次第。
やっぱり、元気の維持が何よりですので。
ところ変われば
海外の知人から会社に電話が入ったという知らせが2-3日遅延して届きました。
折り返し電話をしてほしいということで連絡先の電話番号が残されていたので、時差を気にしながら電話しました。
何回かコールするものの電話に出ない。
この電話は会社のものなのか、それとも自宅なのか、携帯電話なのか定かではなく…
この電話番号が会社のものなら向こうがやってそうな時間に改めたほうがいいし、自宅ならむしろ就寝前のほうがつかまりやすいはず…
などと思案していて、以前にも同じようなことがあったことを思い出しました。
(因みに、相手先はアメリカ合衆国です。)
ひとまず、グーグルでもって、その電話番号を検索。
するというと、この番号を含むウェブページが出てきます。
それで、一等上に表示されているページをクリックすると(一人のユーザーとして、やっぱり一番上をクリックするわけでSEOっていうのは大事だと思います)、やや怪しげなページが展開されます。
要は、電話番号から情報を特定するサイト。
無料でもってどこのエリアの番号か、通信会社はどこなのかを見ることができます。
(グーグルマップでもって、だいたいどこら辺なのか円で示してくれる。)
それでもって、少なくとも固定電話なのか携帯電話なのかは判断できるわけです。
これは便利。
その一方で、こんなこと成り立っていいのか(?)という疑問が浮かびます。
当然このサービス・プロバイダーは何らかを課金することで成り立っているわけで、予想通り、有料で所有者の名前、住所、世帯員数といった情報が買えるということになっています(実際に買っていないので本当かどうかは未確認)。
更に、プレミアム会員になると、所有者の全てのバックグラウンド(何を持って全てかはわかりません)情報と犯罪歴が1年間何本でも見たい放題に見られるそうです。
しかも、プレミアム会員には、たったの40ドルでなれる。
一つの電話番号を調べるのに15ドル掛かるので、プレミアム会員は相当お得です。
注意書きには、「この情報は公のものではなく、無料ではアクセスできません。この情報の購入は適法であり守秘されます。」とある。
公じゃない情報を誰にも知られずに買って違法じゃない…信用していいかどうか微妙ではあります。
しかも、5ドルほど払うと、自分の情報を売られないようにすることもできる…
凄いサービスがあったもんです。
日本でこんなことやったら(そもそもビジネスモデルを成立させる条件が整わないと思いますが)すぐに捕まってしまうでしょう。
ところ変われば、事情が異なるということですね…
NYの上昇して
ちょっと古い話ですが、3月11日に友人と飲みました。
その前日だったと記憶していますが、日経平均が7000円を割り込みそうな水準まで落ちていて、なんとなくそんな話題で時間を過ごしました。
で、その7000円ちょっとの水準を今年の残りの期間で、さらに下回るようなことになるかどうか(?)を賭けようではないかという話になりました。
私は、何とか景気浮揚しようという今の世の中のムードからすると「不謹慎」とお叱りを受けかねないですが、「年内にもう一度、安い水準に落ちる」ほうに賭けました。
私個人、景気の先行きには楽観的です。素人の予想にすぎませんから、根拠など薄弱ですが、シャープに落ちたら、シャープに立ち上がるだろうという、そんな次元です。
しかし、株価が合理的に形成されないということは言うまでもなく、また、長期的には実体経済を反映したとしても短期的には(特に1日のレベルでは)予想もつかないような値段をつけたりするわけなんで、市場が現在のように不安定な状態だと、もう一度7000円を切ることは十分想定されると踏んだわけです。
ところがところが、もしかしたら私は間違っていたかもしれません。
かの有名なウォーレン・バフェットさんのようなバリュー投資家の方々というのは、現在のように全ての銘柄が安くなっている状態というのは最高の買い場なんであって、日々底値を探っているんでしょう。
というか、もう底値を通り過ぎたのかもしれない…
上手な市場参加者というのは、いつの間にか(周辺に気づかれないうちに)やってきて、気づかれないうちに去っていく。
「一番賢いバリュー投資家は上昇局面では早すぎるくらいで売ってしまい、下降局面では早すぎるくらいで買いに入る」ものだそうです。
あるコラムを読んでいたら、グラハムさんというバリュー投資家(どんな人か全く知りません)のコメントが載っていました。
「市場の変化というものは、”トンネルの向こうに明かりが見える”というようなものではない。全面真っ暗に見えるときに、”昨日よりもほんのわずかに明るくなった”というようなものだ」そうです。
今、市場は、よく目を凝らすと少しだけ明るくなっているのかもしれません。
時代の風雨に負けない…の続き
あくまで自己体験に基づく見解だけれども、会社経営で10年以上の先行きを常に考えているということは稀であろう。
経営者の中には中期的計画などには意味が無いと言い切る人もいる。
そして、それは実際的な考え方だとも思われる。
成長志向の会社であればあるほど、長期視点で経営を考えることは困難になる。
というのは、そもそも成長志向というのは、他者よりも短時間で規模を拡大するということに他ならないからだ。
スピード経営というけれども、これは「短時間に規模を拡大することこそ価値である」ということを手短に表現したものだ。
私も、経営にあたってはまさにスピード経営を志向してきた。
しかし、世の中がこれほどに変化している状況を眺めていると「短時間に規模を拡大することこそ価値である」という考え方は単に流行に過ぎないのではないかと思うことがある。
そして、本当に価値が高い経営というのは、実は、「どれだけの時を経たとしても継続し続けることができる」ことだと思えてくる。
つまり、短時間に規模拡大することよりも、長期間存続し続けるほうが難易度が高いのではないかということだ。
従来、企業の寿命は30年などと言われてきた。
それが今は20年という説もあるそうだ。
実際、日本の名だたる会社の中で100年以上存続している会社がどれほどあるだろうか。
トヨタにせよ、ソニーにせよ100年という単位で過ごした実績を持っていない。
ましてや、現在ベンチャーといわれるような会社のうち100年間生き残る存在がどれほど生まれるのか…
それほど時代変化の荒波というものがものすごいということであると同時に、企業経営が短期的成長に傾倒しすぎているということもあるはずだ。
さて、私の提案だが、経営における”軸”を「100年単位での存続」に据えたらどうだろうか。
私のつたない経験からの推測だが、これをやると経営は大幅に変わってくるはずだ。
たとえば、100年単位での経営ならば、なにも成長を急ぐ必要はなくなるだろう。
1ヶ月、四半期などという短期的な業績把握は短期的にモノを考えている表れであって、そんなことに従う理由はない。
全ての管理単位を通常の10倍の10年で考える。
通常の会社が四半期で考えるところを2.5年で考える。それが最短のモノサシだ。
同時に、10年単位だからこそ、短期的な赤字は禁物になる。
短期で取り返すという発想がなく、とにかく100年以上存続することが最大の目標だから赤字などありえなくなる。
ということは、冒険はとにかくしない。
存続を軸に据えるから、世の中で忌み嫌われる世襲を大事にする。
代々受け継ぐことこそ最大命題だから、「なんとしても自分の代で潰してはならない」というコミットメントになる。
どうも世の中を眺めていると、今のこの時代だけが極端に特殊なのではないかと思えてきて、全く逆に張るということを考えたくなるという次第。
時代の風雨に負けぬこと
先だって、久方ぶりに生まれ故郷の神奈川県小田原市に立ち寄った。
小田原で生活していたのは、もう30年も前のことだけれども、幼少時代を過ごしたせいか、何年かに一度ひきつけられるように立ち寄ることになってしまう。
箱根の山の手前という地理上の特性からか、やはり小田原は関東経済圏なので、東京から行きやすいということもあるだろう。
たまに行く小田原をつぶさに見て歩くということはない。
というか、わざわざ見るべきものもない。
けれども、明らかに30年前とは違う街になっている。
印象で言えば、街から活気が失われている。(こんなことを言うのは、地元の皆さんには大変恐縮です。あくまで私の印象です。)
勿論、子どもの頃の純粋でくもりのない網膜に映る景色は常に繊細に物事を捉えたことだろうし、目にするものの全てが新鮮で活き活きとしていたのであろうと思う。
しかし、そうした子どもらしい純粋さを差し引いて比較しても、やはり、街の中にあるエネルギーのレベルが格段に低下しているように思われる。
考えてみれば当然。私が育った時代は末期とは言え高度経済成長期であり、日本全国先行きへの成長を期待し、右肩上がりを実現していた。
そして実際、新たな投資が盛んに行われることで街には常に活気があったように記憶している。
これは日本全体に共通して言えることであろうが、今日、地方都市において開発投資といえば郊外型モール開発くらいであって、駅前に新たな商業施設の開業など滅多にない。
30年前は、小田原のような関東の西のはずれの駅前にも、いわゆる百貨店が数店あった。
ところが、そうした商業街の中心的存在が完全に消え去って、駅前はどんどんくすんでいくし、錆付いていくというわけだ。
ところが、そういう町並みの変化を無視するように、私の小学生時代から変わらない営みを続けている店がある。
それは、駅前から少し外れた場所にある「守屋」というパン屋で、昔から変わらないあんパンやら甘食やらを売っている。
「まだ、ある」と聞いていたので、立ち寄ってみると、そこだけ昭和30年の状態で店はしっかり存在していた。
しかも、細々とやっているという具合ではなく、狭い店から溢れるように人がたかっている。
”行列ができる店”というような整然さ、スマートさはなく”人がたかっている”。
なんせ秩序なく人が集まっているために、どうやって注文していいか外部者(小田原人以外)にはよくわからない。
ただ間違いないのは、30年前と変わらず、今も人気を維持している。
守屋のような存在は、日本じゅうたくさんあるんであろうが、彼らのような存在のすごさは、大きな時代の変化に一切動じることなく生き抜き存在し続けているということだ。
世の中では、今もスピード経営ということが言われているが、そのコンセプトと逆側の存在がある。
時代という強烈な風雨に晒せれながらも時間に打ち勝つ経営のスタイルというのは、長い歴史に照らすと、スピード経営の逆の考え方こそスタンダードであったんではないかと気付く。
(時間がなくなったので、続きは今度にします。)