人生の曲がり角で
12月にインテリジェンス社長を退任した段階で、先行きをどうするかを定める余裕などありませんでした。
さらに言えば、そんな心境でもありませんでした。
どんなことでも、いつでも、物事は急です。
前もって入念に告知があったり、じっくりと準備したりということではなくて、物事というのは突然起こり、
流れ始めたら止まりません。
そういう意味で、社長をやめることをよくよく準備していたわけでもなく、伝統的な大企業のように2期4年と
規定されていたわけでもなく、急な形で事を進めることになったわけです。
もちろん、以前から漠然とやめることは考えていましたし、社長就任から10年という節目は意識していました
が、いざ辞める段では、やはり急な形になったわけです。
そんなことで、突然迎えた人生の曲がり角に、正直、戸惑いがありました。
「どうしていこうか」
先行きのプランがない。
表面的には、プランがないことを楽しんでいるように見せていたように思います。
これまで自分が築いてきたキャリアというかバックグラウンドというか、それに対する自負心がありますから
、先行きに戸惑いや不安を抱えていると捉えられたくないという、心理作用が働いたんだろうと思います。
実際、確かにノープランの自分を楽しんでいた部分もありますが、そこそこ会社を成長させたベンチャー経営
者などといっても、世界大不況の大波をかぶったら経済的にはひとたまりもないわけで、やはり、ノープラン
を楽しむよりも不安のほうが大きかったというのが本音になります。
インテリジェンス創業からの約20年間で、不安を抱えていなかった時期を探すほうが難しいですし、不安をエ
ネルギーに転換する方法が自然に養われていたのはよかった。
それから、大きな先行きは楽観視すべきという自分なりの人生方針を思い出そうと心掛けもしました。
さて、創業から約20年で得たものは何だろうかと立ち止まって考える機会をもらえたことは、本当に貴重でし
た。
あのままやり続けていたら、気付かなかったことをたくさん気付かされました。
私が20年間で得たものは、経済的には大したものではなかったと思います。
もちろん、普通との比較であるならば、充分以上のものであったでしょうが…
お金というのは使えば簡単になくなってしまいますし、いろいろな事情で”奪われてしまう”ものだと実感し
ます。
市場環境一つで、資産の価値は簡単に劣化してしまうわけですし、絶対に劣化しない資産というものも存在し
ません。
それでは、私が20年間で得たものは何か。
それは、これまでの様々な方々との人間関係であり、自分自身で実践的に学び身につけてきた経験だと実感し
ています。
人ととのつながり、実践的な経験、学習し身につけたこと…
これらは、いかなる状況であったとしても”奪われる”ことはありません。
”身について”どのような状況でも”奪われない”経験こそ、私にとって最高に貴重な財産だと、43歳で迎え
た人生の曲がり角で身に沁みて感じています。