サルコペニアとは、加齢によって筋肉量や筋力が低下する症状です。
サルコペニアが進行すると、握力が落ちたり、歩行や嚥下機能も低下し、
転倒したり、寝たきりになってしまうこともあります。
一般的な予防法は、食事と運動の面からアプローチするもので、
食事ではタンパク質をしっかりと食べること。
運動では負荷の少ない運動を数多く行なうことや、軽い筋トレを行なうことが推奨されているようです。
しかし、ここで注意したいのが、
闇雲にこの二つの方法を行なっても、うまくいかないかも知れないということです。
今回は、二つのうちのひとつ、
タンパク質をしっかり食べることについての弊害を紹介します。
高タンパク質食は危険!?
筋肉を付けたいというとき、必ずと言っていいほど言われているのがタンパク質をしっかりと食べなさい。という指導です。
しかしながら、タンパク質の食べ過ぎも危険で、
高タンパク質食ではあらゆる病態の死亡率が高まる事が示唆されています。[1]
そこで問題になるのが、エネルギー不足(ATP不足)です。
タンパク質をたくさん食べても、エネルギー不足では筋力が低下することが分かっています。[2][3]
それは、ATP不足でタンパク質の合成が低下するからです。[4]
タンパク質を食べ過ぎると、低血糖が起こりやすくなり、
それによってエネルギー確保のためにタンパク質分解が起こりやすくなります。[5]
ちなみに長寿食として有名な沖縄の伝統食での三大栄養素の割合は、
タンパク質が9%、糖質が85%、脂質が6%です。[6]
糖質がかなり多めですよね。
タンパク質を食べ過ぎないこと、エネルギーを作りにくい脂質よりも、
エネルギーを作りやすい糖質をしっかりと食べることが、
実は長寿へとにつながるのです。
【参考文献】
[1] The impact of dietary protein intake on longevity and metabolic health
EBioMedicine.2019 May:43:632-640.
[2] Pronounced energy restriction with elevated protein intake results in no change in proteolysis and reductions in skeletal muscle protein synthesis that are mitigated by resistance exercise
FASEB J . 2018 Jan;32(1):265-275.
[3] Hypoenergetic diet-induced reductions in myofibrillar protein synthesis are restored with resistance training and balanced daily protein ingestion in older men
Am J Physiol Endocrinol Metab . 2015 May 1;308(9):E734-43.
[4] A hierarchy of ATP-consuming processes in mammalian cells.
Biochem J . 1995 Nov 15;312 ( Pt 1)(Pt 1):163-7.
[5] Insulin Regulation of Proteostasis and Clinical Implications
Cel Metab . 2017 Aug 1;26(2):310-323.
[6] New Horizons: Dietary protein, ageing and the Okinawan ratio
Age Ageing. 2016 Jul; 45(4): 443–447.
食材や健康全般についてのご質問フォーム(無料)
復活しました。
記事について
すべての記事の内容は、日々学びを重ね、新しい発見や見地があれば更新しています。 各記事に内容に関しましては、より最新に近い記事をご覧ください。 よろしくお願い申し上げます。