小説老人と性 里坊さくら苑 2002年タクシーの規制緩和は悪質なタクシー会社を増やすだけ・さくら高校へ

 さくらは市立朱雀高校に入学して部活はパソコン部と陸上部でやはり一年生ながらパソコン部ではリーダー的存在になっていた。さくらが企画立案した「満点タクシー」の企画相談役も辞退して無報酬の顧問で会に一応籍を置いていた。一方の静香は京大法学部を卒業して京大大学院に進学して在学中に司法試験を受ける予定だった。この静香も会の法律顧問を辞退して会の無報酬の顧問として籍を置いていた。

 さくらの祖父の和博は個人タクシーの定年2年前の73歳で「NPO法人 満点タクシー」の理事長及び専従役員として会を運営に専念していた。この会も正会員50名、准会員40名の大所帯になり事務所も国交省京都陸運支局内の自動車会館に移転していた。この自動車会館には京都タクシー協会、京都トラック協会、京都バス協会、タクシートラックの業界紙などの事務所が入り、いわばこの場所は京都府の自動車関係の総本部になっていた。

 和博は京都福祉関係や京都観光関連の公共団体の理事にも選ばれて京都の交通運輸社会福祉関係者として活躍していたのでやはり知名度はMKタクシーの青木会長の次に有名で交通福祉関係の新聞記事やテレビのゲストにも度々呼ばれる人気者になっていた。しかしながら京都個人タクシー連合会や京都タクシー協会とはなんら接点がないばかりか、タクシー協会や個人タクシー連合会は里井和博理事長と満点タクシーはMKタクシー同様に京都のタクシー業界の敵だとしてタクシー運転手ともども強烈な批判を展開してきた。

 たしかに彼らが指摘するようにMKタクシーと満点タクシーには共通点がかなりあった。それは「タクシーはサービス業だからお客様に愛されるサービスの提供」を旗印にしていることだった。この件では京都陸運支局の堀内支局長と里井はもう何回も話し合っていた。堀内は里井に、
「陸運支局の自動車旅客部には年間約1000件のタクシー運転手への苦情が来ているが、これは増えることがあっても減ることはない。これを改善するために国交省は悪質なタクシー会社を排除するためにタクシーの規制緩和を2002年10月から始めるが、里井理事長の意見を聞きたい」

 里井はすでにこのタクシーの規制緩和のことを会の理事や法律顧問の静香、それに孫の企画顧問のさくらとかなり研究していた。政府がいうタクシーの規制緩和とはタクシー事業の認可制から許可制にしてまともな新規のタクシー会社経営者を増やして悪質なタクシー会社をトコロテンのごとく上から優良なタクシー会社を入れて悪質なタクシー会社を下から押し出すという政策だと静香もさくらも理解していた。

 里井は堀内支局長に、
「たしかにトコロテンの箱が一定量しか入らなければ上から押し付ければ下から悪質なタクシー会社は押し出される。しかし、タクシーの台数そのものが規制緩和で増えれば悪質なタクシー会社はなんら損害は無い。むしろタクシーの台数が増えれば増えるはど1台当たりの売上げは減少するが、オール歩合、累進歩合、リース制の労働基準法違反の賃金体系では会社はそんなに損をしない。運転手は売上げを上げるためにさらなる長時間労働の過労運転で重大な事故が起きます」

 「しかし、里井理事長、今までタクシーの台数が制限されていたから京都のタクシー会社は認可制にあぐらをかいてサービス精神を忘れたという政府が委託している学者の意見になる。この認可制から許可制と規制緩和になれば優良な企業の新規参入がありサービスが悪いタクシー会社が淘汰されるということになると国交省からの通達にも書いてある」
「堀内支局長、その学者とは政府の御用学者の竹内か?、あの学者は大企業本位で中小零細企業の現実は何も知らないで独特の理論に酔っている学者です」

 この堀内京都支局長は国交省のエリートで最近仙台陸運支局から赴任してきたが、MKタクシーの自分さえ良ければいいという青木イズムには批判的だが、里井の満点タクシーの今までの運動を高く評価していたからこそ自動車会館への事務所貸し出を応援してくれた人物で里井とも仲が良かった。里井はさらに、
「これは孫のさくらの考えだが、タクシー車両1台と運転手1名、それにIT機器を組み合わせるとなんでも出来るし、アイデアは無限に広がり新たな商売が生まれればタクシー運転手の収入も上がり社会的にもレベルがアップする。そういうタクシーの使い方に認可や許可を出す規制緩和こそが必要で誰でも金さえあればタクシー会社を経営できる規制緩和では暴力団のフロント企業でも新規参入ができる」
「たしかに、現在京都支局に提出されているいわゆる一流企業のJRや佐川急便などの運輸産業、外国資本のホテルチェーンなどのサービス産業からの新規参入を期待していたが、残念ながらない!。提出されているタクシー会社はタクシー運転手専門の消費者金融や元暴力団の組長で前科のある人物、それに運転手を十数人集めたニワカ会社しかない。これではタクシーの台数だけ増えて今までとなんら変わらないが、これは政府の方針で我々はこれに従うしかない」

 里井理事長はこの堀内支局長の立場を分かった上で、
「しかし、タクシー運転手を食い物にしている消費者金融や元暴力団の組長が新規参入の許可申請書を提出しても受理するのか?。しかも、タクシー車両は10年オチで走行距離も100万キロを越えているが?」
「それは書類が揃って入れば受理はするしかない、それにポンコツタクシーでもこの陸運支局で車検が通っているので年式や走行距離は問題がないとしなければならないが、一応私の権限で書類が受理されてから概ね3ヶ月で許可するが…それを半年ほど遅らして私なりに抵抗しているが…」
「そうでしたか~」

 こうして里井は支局長の堀内と親しく意見交換しているが、3年前までは個人タクシーの運転手の身分で里井が所属している末端個人タクシー支部の理事にもなれない人間で当初孫のさくらがいつも指摘していただらしないタクシー運転手でしかなかった。そのさくらに教育されていなかったら今まで通りに京都駅などの客待ちで個人タクシーや法人タクシーの運転手らとたむろしながら柄の悪い会話でMKタクシーの悪口三昧でタバコの吸い殻をポイポイ捨てながら近距離客には愛想もクソもない接客を恥じだとも知らずに75歳の定年まで個人タクシーの運転手を続けていたであろうと思うと孫のさくらに感謝しかなかった。

 そのさくらはさくらで生まれる前に父親に捨てられ4歳で母親にも捨てられて爺ちゃんに今まで育てられたことに感謝しかなかった。そのさくらと爺ちゃんはもうさくらが高校一年にもなったのにやはり風呂にはほぼ毎日一緒に入っていた。これは4歳の時からの二人の習慣だが、さすがの爺ちゃんもさくらの小学6年の時に生理が始まったことを機会にさくらに風呂は一人で入れと言い聞かせてはいたがさくらはこれを拒否して中学を卒業するまでの約束で爺ちゃんはさくらと一緒に風呂に入っていた。

 そしてさくらが高校に進学と同時に爺ちゃんはさくらに、
「お前ももう16歳、昔なら嫁にいく年ごろでどこから見ても立派な大人になった…だから爺ちゃん一人で風呂に入らしてくれ…さくら」
「昔って、それ江戸時代なの?、爺ちゃん、なんで私とお風呂に入るのがそんなに嫌なの!、私が大きくなってお風呂が狭くなるからなの?」
「いゃいゃ、7歳で男女同席してはならないという法律もある?」
「爺ちゃん、血圧なんぼあるの?それに糖尿病でお医者さんからお酒もタバコも止められているのにそれを無視して毎晩毎晩飲んでパカパカ吸って、血圧180以上もあるのに爺ちゃん一人でお風呂に入って血管が破裂したら死ぬのよ!、私は爺ちゃんに育てられた恩を返せません!」
「さくら、そんなものは返さなくても良い!」
「なら、せめて私が看護学校を卒業してどっかの老人専門病院に就職するまでは爺ちゃんとお風呂に入るのを許して」
「許すとか許さないという問題ではない!」
「そう、そしたらたった今からお酒もタバコも禁止しますよ~爺ちゃん、分かりましたか!」
 爺ちゃん、左手に焼酎のお湯割り、右手にタバコの手をピタリと止めて、
「そんな~~~無茶苦茶やん~」
と、こんな会話の後は爺ちゃん、さくらはいつも通り仲良くお風呂に入り、さくらは爺ちゃんの背中を流していた。
                         (16話に続く)

 

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