小説老人と性 里坊さくら苑 10話 MKタクシー値下げの陰 3・さくら13歳でNPO法人設立へ

 さくらは爺ちゃんからディスクパソコンと複合コピー器を買って貰って大手旅行会社の京都観光案内のホームページをくまなく閲覧していた。そして京都のタクシー会社のホームページを探したが、まだMKタクシーのホームページしかなかった。そのホームページにはおそらくプロのカメラマンが撮影したと思われる京都観光スポットの四季の写真が溢れていた。そして京都観光案内をするドライバーは社内の京都観光の講習会で優秀な成績ばかりのドライバーを集めたMK観光部のドライバーが京都観光案内をいたします。貸切りタクシーを予約されたお客様はガイド料無料で貸切り料金も京都のタクシーより10%安いとあった。

 さくらはこのMKタクシーのホームページを見て正直京都の90%のタクシーがわずか10%のMKタクシーに負けた理由はMKタクシーが運賃10%安いだけではないということを悟っていた。さくらは個人タクシーの爺ちゃんをもう何年も見ている。爺ちゃんは普段はラフな私服で街を流している。たまに年に数回はネクタイにスーツ姿だが、黒いネクタイの時はお葬式での焼き場への貸切りタクシー、色のネクタイの時は観光客の貸切りで葬式は葬儀会社と個人タクシー協組から観光貸切りは旅行会社と個人タクシー協組から正規運賃の20%~25%を斡旋料を取られると爺ちゃんはいつもグチっていたのを知っていたからだ。

 まだある、さくらは友達らと四条河原町や京都駅に遊びに行くが、その先々には必ずタクシー乗り場があり、さくらは爺ちゃんのタクシーをいつも探していた。そのタクシー乗り場でたむろしている個人タクシーの運転手のほとんどが、だらしない私服のノーネクタイでタクシー社内でも外でもタバコをプカプカふかして吸い殻を道路にポイ捨てしているのを何回も目撃している。そして爺ちゃんのタクシーもタバコ臭かった。さくらはホームページよりもまず爺ちゃんを接客業としての教育が必要だと思った。

 夕方の7時に爺ちゃんが家に帰ってきた。さくらはパソコンの前に座ったままで爺ちゃんに、
「爺ちゃん~パソコンがつながったから見て~」
 爺ちゃんはパソコンの前に座り画面を見るとそこは「MKタクシー」のホームページで爺ちゃんの顔が少し曇ったが、さくらはそれを無視して、
「爺ちゃん、これからはインターネットの時代なのに京都のタクシー会社でまともなホームページを作っているのはMKタクシーだけです。予約のページを見ると3ヶ月先の10月、11月の予約はほぼ80%は埋まっているよ~爺ちゃんは予約の一つでも入っているの?」

 爺ちゃんはこのさくらの言葉にある光景を思い出しいた。この春の観光シーズンではどのホテルでも早朝からMKタクシーの観光貸切りタクシーが宿泊客の出てくるのを待っている。その台数も平日なら1~2台、土日なら6~8台だが、京都には一流と言われるホテルか約10数軒あるが、どのホテルも同じでこの光景はまだMKがこんなに人気がない時はここに個人タクシーがずらりと並んでいた。爺ちゃんが個人タクシーを営業し始めたころは市民からは個人タクシーが絶対的な信頼と支持があったが、それが今まではMKに取り変わっていた。

 さらに爺ちゃんは今日のことを振り返っていた。今日は10時間働いて水揚げは1万1千円だがこれでもいい方だった。走っても走ってもMKタクシーを待ってる客は多いが、個人タクシーや法人タクシーを待つ客はいない。やむなく京都駅で並ぶが、京都駅に客を乗せて入って来るタクシーの10台のうち、5台はMKタクシーだった。つまり、たった10%のタクシー台数しかない会社が乗客の50%を輸送している現実を改善しょうとしている我が孫のさくらを爺ちゃんはまじまじ見ながらここはさくらに素直になろうと決心していた。

 さくらは爺ちゃんをパソコンの前に座らして爺ちゃんの右手をマウスに置いてその上からさくらの手の指でポイントを動かしながらポイントを画面左の窓の一番上に合わして「秋の観光スポットモデルコース」を左クリックでポチリと押すと画面が一瞬に変わっていた。そこには4時間コース、6時間コース、8時間コースと料金まである。その下には「観光ドライバー紹介」や「お薦め昼の京懐石、夜の料亭懐石」「お薦め京土産」まであった。爺ちゃんはパソコンの画面を見たのは数回あるが、マウスを触ったのは生まれて初めてでかなり興奮していたが、爺ちゃんは約5分で自力でポイントを窓に誘導出来るようになっていた。

 さくらは爺ちゃんをパソコンの前に座らしたままあらかじめ作ってあった料理を温めたり、爺ちゃんの焼酎のお湯割りを作ってから二人の夕食か始まった。さくらは、
「今日はパソコンが開通した記念に爺ちゃんが大好きな若狭の笹カレイにしたけど骨に気をつけてネ」
「ほう、これは大きいが、高かっただろう?」
「まぁ~ネ、それよりMKタクシーのホームページを見ての感想は?」
「う~ん…なんともいえない気分だが、腹も立たなくなった、もう、京都のタクシーはMKに完全に負けている」
「そう?でもね~私がMKよりもっとおもしろい爺ちゃんのホームページを作ったげるから安心してネ」
「まさか、さくらがパソコン部だとは知っていたが、あんなものを作れるなんて夢にも思っていなかった」
「それでね、京都観光貸切りタクシーで検索してもMKタクシーと旅行会社しか出ないから私が作るホームページはたぶんMKの下に掲載されると思うは、そうなると爺ちゃんのホームページにアクセスと観光貸切りの予約が集中しても爺ちゃん一人では話にならないから、爺ちゃんの友達を数人誘って見たら?」
「おう、それは簡単だが、個人タクシーの支部はバラバラになるが…」
「それはいいの、でも、MKに取られた客を取り返すという気概とMKよりサービス満点出来る紳士的な運転手さんを探してよ!、ホームページには「サービス満点京都観光個人タクシーグループ」を宣伝コピーにするつもりですから!分かった、爺ちゃん」
「はい、さくら社長、分かっています」
「それと明日からはネクタイとスーツで運転して、それにタクシー車内では絶対に禁煙して、それに道路には絶対に吸い殻のポイ捨てはしない。それと明日の日曜日に洋服の青山でスーツとワイシャツ、ネクタイと靴を買いに行きます」
「はい、さくら社長…!」
 こうしてさくらと爺ちゃんとの楽しい夕食はお開きとなり爺ちゃんは先に風呂に入っていた。

 爺ちゃんが湯につかり体を洗うタイミングでさくらが真っ裸で前も隠さず入って来た。さくらはシャワーを浴びてから湯船に浸かるが、これは家庭の風呂では爺ちゃんと二人は入れないためにさくらが小学校6年ごろからこの時間差になったが、どちらかが先に入るかは臨機応変になっていた。その小学6年ごろ生理が始まり爺ちゃんの姉二人から「さくらはもう大人だから爺ちゃんと風呂に入るのをやめなさい」と禁止されていたが、中学生になっても爺ちゃんと風呂に入るのが楽しみだった。

 さくらは背が高くパソコン部の他にも陸上部で走っているので贅肉はないが、もう完全な女性になっていた。爺ちゃんも当初は目のやり場に困って姉二人に相談をしていたが、これが不思議なもので毎日二人で入っているうちに自然になにも感じなくなり爺ちゃんの目にはさくらのすべてが入っているはずだが見ているようで見ていない。非科学的な現象だが、これは人間以外の動物はパンツを履いていないが、動物同士は気にならないのと同じかと爺ちゃんは思っていた。これはさくらも同じで爺ちゃんの裸を気にもしていなかった。

 爺ちゃんは交代で湯船に入っているとさくらが、
「観光クラブの運転手さんが5名ほど集まったら去年(1998年)から始まったNPO法人というのがあるの、私は個人タクシー救済ボランティアのNPO法人を設立して爺ちゃんを代表にしますからネ。もう爺ちゃんも5年後には個人タクシーの定年でしょう、私は高校を卒業して看護学校に入るけどお金もいるし、NPO法人は定年もないし代表として給料も貰えますから爺ちゃん、授業料は安心して」
 爺ちゃんは13歳のさくらが、パソコンでホームページが作ることにはビックリしたが、それ以上にわしの定年後から看護学校の授業料までの計画をしていることにビックリするより涙か溢れてきた。
                                 (11話につづく)

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