小説老人ホーム 里坊さくら苑 3話 女のパンツ屋が女かぶれしたと京都経済会から批判

 さくらはフラワー本社の玄関で京都商工会議所新頭取が出てくるのを待つ間に塚山誠一を最初にさくらのタクシーに乗せた12年前のことを思い出していた。その塚山は30名ほどの会社幹部とともに正面玄関を出てきたが、そこにはテレビ局のカメラクルーが一斉にカメラを回している。これは塚山が悲願をしていた京都商工会議所の会頭に12年前に立候補していたが、京都経済界からの猛烈なパッシングから諦めた経緯から12年振りに京都経済界からの満場一致で推薦されたことをドラマチックに放送するための取材でこの後、カメラクルーはフラワー本社から京都商工会議所に入り、議場で塚山誠一が会頭として選ばれるまでを取材する予定になっていた。

 カメラクルーは当然ながら玄関で待機している会長専用車の国産高級車に乗るとは思っていたが、なぜか塚山会長はその前に停まっているピンクの小型個人タクシーの前で女性運転手と挨拶をしている。
 その運転手のさくらは、タクシーのドアを空けてドアサービスをしながら笑顔て、
「塚ちゃん、会頭就任おめでとうございます」
「いゃいゃ、もうこんなものはどうでも良くなっていたが、経済界から会頭に成り手がないからどうしても会頭に推挙されて断われなかった。それより、さくら2台目のタクシーおめでとう」

 と言いながら、ピンクのタクシーの前からもデザインを確かめていたが、塚山は若くて超美人の秘書に商品企画開発部長をここに呼ぶように告げると秘書は見送りの前列にいたこれまた若くて美人の部長を呼んだ。塚山会長はその部長に、
「このさくらタクシーのデザインを参考に新しいランジェリーの企画及び商品化をしなさい」
「はい、会長…素敵な桜ゴールド色に白いさくらの花びらとハートの花吹雪のデザインはフランスの有名なデザイナーで今年の金鹿賞を受賞されたスリーブさんの作品だとデザイン専門誌で拝見して私も素敵だと思いフランスのスリーブさんのの事務所に連絡したところこのデザインの著作権はすでに日本国の里井さくら様に譲渡されていましたが、会長、早速、里井さくら様の事務所を探して著作権の交渉をいたします」
「おぃおぃ、部長、その里井さくらというのはこのさくらのことだ!」
「ひえ~…………」

 さくらの小型タクシーにフラワー会長の塚山会長一人だけ乗せたピンクのタクシーを先頭に会長専用車、役員専用車の2台、それにマスコミ各社がチャーターしたハイヤーが後に続き20数台の車列となった。車内でさくらが、
「あの企画商品開発部の部長さんも秘書課長も若くて綺麗な方ですね~塚ちゃん」
「あの二人を含めて若手の女性社員を積極的に幹部に引き上げている。あの二人も大学を卒業してフラワーに入社してから恋愛を経験して結婚して子供もいるが、それまでの女性幹部は恋愛も結婚も犠牲にして会社一筋で幹部というより出世競争の勝ち組としてのプライドだけで生きているお局様になってしまった。いわば、我が社発展の犠牲者に創業者の私がしてしまった。それに気がついたのは私がさくらと初めて会ったころからさくらは私に間接的に教えてくれたからだ!」

 「そうだったの~私は一般的な話として女性社員が結婚すれば寿退社とか子供が出来れば退社を促す経営者は女性の敵だとは今も思っています。だって誰でも人を好きになりデートもしたいが、深夜まで会社が社員を働かせれば出会いのチャンスもまた、デートの時間もない。そして結婚すれば、子供が出来ればそのキャリアを捨て去ることになり会社が大損害したことということが分からない経営者が多いといったことですか、塚ちゃん」
「そうだ!、そのことを私は京都経済同友会の会合で口を酸っぱくして訴えたが、そのころは女性はどうせ退社するからと幹部教育は無駄としていなかったばかりか私の考えは「どうせ女のパンツ屋の女かぶれ」と揶揄されたが、私はさくらかぶれを信じて寿退社のルールの廃止、恋愛出来る時間の確保のために全社員の20時以後の残業禁止、そうなれば結婚する男女の社員が増えて社内ベビーブームになり、さらに育児休暇、子育て中の社員の残業禁止、そして本社近くに保育所を作った。そうしたところ女性社員も目覚めたのか出世競争ではなく自分の生活を守るための愛社精神を発揮して業績はうなぎ登りになった」

 それで、そのお局様はどうなったの?塚ちゃん」
「課長以上のお局様35名を集めて私が直接意見を聞いたが、皆さん、着ている物は良いものを着ているが、肌には艶がなく疲れ果てた顔で年齢よりは老けていた。結婚して子供を授かったお局様はたった8組で残りのお局様は恋愛どころかまだ男を経験していないと私は感じたがそれはセクハラで聞かなかったが、それもこれも私の経営理念の犠牲者だと私は率直に謝った」
「それでお局様は?」
「まだ、私の経営理念のマインドコントロールが消えていないのか、まだまだ、定年までは仕事がしたいというお局様がすべてで私の気持ちが理解していないようだった」
「そうなの~入社して30年以上のお局様は会社が命でそれが生き甲斐だったことが会社を大きくしたことになるのね~女というより男の猛烈社員になるよね~」
「そこで私はこのお局様に今まで誰よりも早く出勤して退社は誰よりも遅い管理職に今後は定時出勤、定時退社を命じた。その名目は幹部を育てるために管理職の仕事を覚えさすことだった」
「一般社員には残業8時まで、管理職は早出残業は禁止で仕事は上手く行ったの?」
「それがなんのトラブルも支障もないばかりか業績が上がったことに大きなショックを受けたのはお局様だった。私は気の毒なことをしたと後悔したが、そのお局様たちは時間が余りに余って仲の良いお局様たちとスナックやカラオケのヒマつぶしをしていたが、その間に見る見る内にお肌に艶が戻って若くなったことをお局様仲間で意識したのかさらにお化粧からファッションまで競争するようになったそうな。そして異性にも興味が湧いたのかホストクラブにもハマルお局様も出現したらしい?、それらがきっかけで我社のというより、これらのお局様が企画開発したランジェリーまで着るようになってやっと女性の気持ちが芽生えて女性が求めるランジェリーが分かったという意見が大勢が占めた事から時間を与えたくれた私に感謝することになり、各お局様が独占していたポストを若手に引き継ぐことを認めていただき今の若手の幹部になった」
「それでお局様は退職?」
「いゃいゃ、新たにシニアランジェリー企画開発部を作り、年収はそのままに定年まで働いてもらうことで納得して貰った。そうそう、たった2組だが、その間に恋愛して寿退社する強者もいたからまずは目出度い出来事だった」

 その塚山新会頭を乗せたさくらのピンクのタクシーは烏丸二条の京都商工会議所の玄関に着いたが、出迎えの花束を持った会議所理事や職員、それに塚山新会頭を待ち受けていたテレビカメラもさくらのタクシーの後ろに止まった国産高級車の会長専用車から会長が出てくるのは当然でそこにピントを合わしていた。さくらのタクシーの車内では、塚ちゃんが、
「さくら、会頭就任のお祝いに何をプレゼントしてくれる?」
「そうね…それならフラワーで一番セクシーなランジェリーを数着選んでファッションショーをして差し上げます」
「そか、さくらありがとう」
 こうして塚ちゃんはさくらのドアサービスを受けてタクシーを降りた瞬間にマスコミからのお祝いのフラッシュを浴びていた。
                                                                                (4話に続く)

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