Tue 190416 ノートルダムが燃えてしまった/数々の思ひ出/浪人生諸君!! 3827回
今朝から、いや正確には深夜早朝3時ごろから、ワタクシは茫然として天を仰ぎ、あまりの悲嘆に口をしっかりと閉じることさえできず、お風呂に入っても入浴に集中できなかった。午後3時からの授業収録でも、問題番号を言い間違えるなど初歩的なミスを連発して、スタッフの皆様にずいぶん迷惑をかけた。
だって、パリのノートルダムが燃えてしまったのだ。1000年近い歴史を誇るパリの大聖堂だ。その真ん中の尖塔に紅蓮の炎が絡みつくと、あれよあれよと見守る間に、尖塔は脆くも燃え落ちてしまった。
(2005年9月、ニースの旅の帰りにパリに立ち寄った)
かつて金閣寺が紅蓮の炎に包まれて全焼した時も、きっと世界中の人々が同じように驚愕したのである。やがて炎は北側の塔にも燃え移って、見守る人々の悲鳴と祈りの声も虚しく、懸命の消火活動も激しい炎の前ではちっとも進捗しないように思われた。
このブログの中でも、何度もノートルダムの勇姿を掲載してきた。2005年3月、8年務めた代々木ゼミ4天王をやめた記念の「ヨーロッパ40日の旅」の時から、少なくとも7回はノートルダムの写真を載せてきた。
(2005年3月、セーヌ川のお船からノートルダムを見上げた)
諸君、今夜は言わば「ノートルダムのお通夜」なのかもしれない。もちろん、何とか鎮火した後に、スピーディーな再建の仕事が始まるだろう。しかし何と言ってもあの精巧なステンドグラスのバラ窓だ。火災の影響をすっかり振り払うまで、40年も50年もかかるんじゃないか。
だとすれば、今井君の人生の残り時間を計算するに、「もうあのノートルダムには会えない」と考えるのが妥当と思われる。諸君、「もうノートルダムに会えない」「あの美しいバラ窓が見られない」、そういう結論に至ってしまっては、なかなか授業収録に集中できなかったとしても、今日だけは許してもらいたい。
「フランスすみずみ」の旅に夢中になっていたのは、ちょうど昨年の今頃だ。トゥールーズ、アルビ、ルルド、ポー、そういう南西部のすみずみを旅してからパリに戻って、サン・マロやレンヌなどを回った。
(2018年4月、トゥールーズからパリに回って、セーヌ左岸からノートルダムを眺めた 1)
あの旅のほぼ最終日近く、連日のカレーうどんで自分がパリにいるのか東京にいるのか分からなくなった暖かい春の1日、汗びっしょりになってセーヌ左岸を丸1日歩き回った。ノートルダムとの最後の遭遇は、どうやらあの日になってしまったようである。
今から15年前、2005年のパリは、3月10日から3月20日までの滞在だった。代ゼミでの8年の仕事に疲れ果て、2月8日に最後の授業を終えて、2月9日にはもうコペンハーゲンに到着していた。今井の驚くべき神出鬼没ぶりは、どうやらあの時から始まったのである。
ベルリン・ミュンヘン・ウィーン・ヴェネツィア・フィレンツェ・ローマ・ジェノヴァ・マルセイユと、それぞれ4泊から5泊ずつしながら時計回りに進み、旅の締めくくりをパリとする計画を作成した。
パリから東京に戻れば、すぐに東進での仕事が始まる。手始めに「C組」と「B組」の収録、その合間を縫って、松山と熊谷と大阪京橋での特別公開授業。そういうスケジュールになっていて、あの時のパリの10日は、何となく連休の最終日の悲しい夕暮れの気分を拭いきれなかった。
(2018年4月、トゥールーズからパリに回って、セーヌ左岸からノートルダムを眺めた 2)
ノートルダムに入った時には、ちょうど大きなミサの最中で、大聖堂の中は超満員。ヨーロッパのどの寺院のミサもガラガラで、ベルリンでもウィーンでもフィレンツェでも、あの広大な空間に数十人の出席者しかいない悲しい光景を見てきていたから、ノートルダムの超満員には熱く心が躍った。
知らず知らずのうちに、ワタクシはどんどん大聖堂の前方に押し出されていた。気がつくと、大聖堂を埋め尽くした群衆の最前列に出て、パリ大司教のお説教をこんな間近で聴ける感激に震えていたのである。
ちょうどダン・ブラウンの「ダヴィンチ・コード」や「天使と悪魔」がベストセラーになり、トム・ハンクス主演の映画化も進んでいた頃で、大司教はハッキリご機嫌ナナメ。ノートルダムを埋め尽くした群衆に、小説や映画でのキリストの描き方について苦言を呈していらっしゃった。
(ブラジルから大西洋を東に横断してパリへ。やっぱりノートルダムに挨拶した)
大司教の長いお説教ののすぐ後に、聖体拝領の儀式が始まった。ノートルダム大聖堂を満員にした群衆が一列に並び、大司教の手から薄いパンを一切れずつ口に入れていただく。本当は赤ワインも飲むことになっているが、ラテン式ではこれを省略するらしい。
何しろあの時の今井君は、大群衆の最前列にいたのだ。もしも思い切って一歩進み出れば、大司教の手から直接パンをいただくことができた。しかし何しろワタクシは、子供の時から一貫して引っ込み思案。覚悟の一歩が踏み出せず、今も「woulda, coulda, shoulda」の後悔の中に沈んでいる。
「woulda, coulda, shoulda」とは、仮定法過去完了の世界。正確には
would have p.p.
could have p.p.
should have p.p.
であって、「していただろうに」「できていただろうに」「すべきだったのに」、何のクスリにもならないダラしない後悔の心理を集めた秀逸な表現である。
ワタクシはこの言葉をかつて「受験生激励メッセージ」の中で使用。「ダラしない後悔をしないようにしようぜ」とカッコよく呼びかけたメッセージは、例年の大人気を誇っている。
(2005年夏、ニースの帰りのノートルダム)
しかしモトはと言えば、あの2005年3月のノートルダムで一歩を踏み出せなかった自らを深く反省したのがキッカケ。いやはやノートルダムにはホントにお世話になってきた。
だからこそ、事あるごとに今井君は、ノートルダム詣を続けてきた。
① 2005年、ニースの夏休みの締めくくり
② 2012年「パリ速攻滞在記」
③ 2013年「第2次ンラゼマ地球一周記」
④ 2014年「またパリ」
⑤ 2015年「またまたパリ」
そして昨年2018年4月の最後の邂逅に至る。
③の時なんか、東京 → シカゴ → サンパウロ → リオデジャネイロ → パリと地球を東周りにクルリと回って、それでも意地でもノートルダムに挨拶してきたのだから、自分の律儀さにはまさに恐れ入る。
以上のような有様だ。興味のある方は以下の記事をクリックしてくれたまえ。この15年にわたるノートルダムの勇姿が次から次へと画面に現れる。
Thu 180419 すみずみに熱中/ルンバ的行動/セーヌ左岸ウォーク(フランスすみずみ27)
Wed 140430 覚えてますか ヤマトナデシコ 弁慶スッチ(ヨーロッパ40日の旅34)
Mon 121203 エッフェル→穴場と定番 6号線 世界で一番高いビア(パリ速攻滞在記3)
Wed 131009 クルクル美術館 シテ島 サン・ルイ島 マレ(第2次ンラゼマ地球一周記46)
Fri 131227 センターの宴 ノロ跋扈で生牡蠣をあきらめる パリの休日(マタパリ23)
Tue 150407 祝2500回 今日まで☞そして明日から(2500回 またまたパリ最終回)
こんなふうに、パリとノートルダムを懐かしんで過去の自分のブログの記事を次から次へと読み返していたら、「おや、そういえばそろそろ浪人生向け予備校の授業が始まりますな」と気がついた。
「うちの高校は4年制なんだ」
「4年目は浪人生として予備校に通うんだ」
「だからこそ、高校生活3年間は受験勉強なんかしないで、高校生活を満喫するべし」
そういう恐るべき先生がたのアドバイスをマトモに受け取って、見事に輝かしい浪人の座を獲得した浪人生の皆様、おそらく予備校での生活は、アナタを深い絶望の淵に追い込むのである。
(ノートルダム、バラ窓。修復に何年かかるだろう)
授業がつまらなすぎる。全然進んでくれない。「テキストだけやっていれば大丈夫」と教務課のヒトに太鼓判を押されたのに、そのテキストが極めて心もとない。というか、「大丈夫!!」のはずのテキストが全く先に進まない。それどころか、そのテキストを口を極めて批判する講師さえ少なくない。
そのせいで一気に絶望の淵に沈む浪人生は多い。ならば、以下の記事をクリックして読んでくれたまえ。すでに浪人の危機が迫っていると感じる高3生もどうぞ。浪人なんか、しないほうがいいに決まっているのだ。
Sun090419 浪人生の授業がいよいよ開始「高校の延長線上」が心配「授業を切っちゃえ」の話
Tue 090421 浪人を決めたヒトビトの3月と4月 予備校の授業にもう失望したヒトへ
Wed 090422 「オレについてくれば大丈夫」「テキストさえやっていれば大丈夫」について
Thu 090423 再び「テキストだけやっていれば大丈夫だ」について 0.8の累乗の恐ろしさ
Fri 090424 若手情熱派講師の予備校ライフと奇妙な授業 中堅不人気講師の予備校ライフ
Sat 090425 「もう連休に入るのに、授業は全然進んでくれない、ムカつく」人への処方箋
Sun 090426 失望した受験生への処方箋1 得意科目は現状維持で 苦手科目を肉食獣的に
1E(Cd) Haydon Trio Eisenstadt:JOSEPH HAYDN:SCOTTISH SONGS 6/18
2E(Cd) Haydon Trio Eisenstadt:JOSEPH HAYDN:SCOTTISH SONGS 7/18
3E(Cd) Haydon Trio Eisenstadt:JOSEPH HAYDN:SCOTTISH SONGS 8/18
4E(Cd) 村治佳織・山下一史&新日本フィル:アランフェス交響曲
5E(Cd) Akiko Suwanai, Dutoit & NHK響:武満徹”FAR CALLS” ”REQUIEM FOR STRINGS”etc
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