Sat 090425 「もう連休に入るのに、授業は全然進んでくれない、ムカつく」人への処方箋 | 今井宏オフィシャルブログ「風吹かば倒るの記」Powered by Ameba

Sat 090425 「もう連休に入るのに、授業は全然進んでくれない、ムカつく」人への処方箋

 おそらく連休に入る前から、予備校の授業の多くは「夏期講習の内容紹介」になってしまったはずである。講師の生き残りがかかっているのだから、授業の進行なんかほぼ無視してでも、どの講座で何をやるか、どの講座のウリは何か、自分の講座からどんな奇跡や伝説や大逆転劇が起こったか、授業の半分以上を費やし、鉄板ネタ大サービスで宣伝広告活動に努めるのは当然。かくて「第2講」または「LESSON2」が終わっても、テキストの方は「まだ1問しかやっていない」「第1講の途中だ」「LESSON1に少しだけ入ったところ」だったりする。

 

 こうして、「こんなんで、ちゃんと合格できるの?」という漠然とした不安は「豚インフルエンザは大丈夫なの?」という余りに具体的不安と抱き合わせになって、そのまま本格的大型連休に突入してしまった。ほとんどの予備校は「連休はカレンダー通り」。昭和の日・憲法記念日・みどりの日・子どもの日、もちろん日曜日も「振替休日」も全部休みである。

 

 つまり、今年の場合、月曜日・火曜日は第1講と第2講があったあとは2週間休み。水曜日なんか、第1講で講師の自己紹介と「授業の受け方」の話があっただけで、その後まるまる3週間完全に放っておかれる。連休が終われば、すでに5月中旬、「センター試験まで残り8ヶ月、残り35週間」という切羽詰まった状況に立たされることになる。


 4月下旬になってもまだ授業の進捗状況が思わしくない授業の場合、このあと突然にスピードアップして「7月上旬の1学期終了までにテキストをキチンと終わる」ということは期待しないほうがいい。おそらく半分ちょっと消化して1学期はあえなく終了、最後の授業でプリントを配布する。

 

「プリントに正解を印刷して配布したんだから、問題ないだろう」という態度をとられて終わりである。そもそも最初から、ちゃんとテキストを消化しようという気もないし、テキストを最大限活用して成績を伸ばしてあげたいという熱意も大して大きくはない。むしろ、チヤホヤされて、笑いをとって、人気を確保して、夏期講習を出来る限り盛況にしたい、そういう欲求が優先するのである。


 そうやって「テキストを半分しか終わらない」くせに「テキストさえやっていればOK」などというのが最大の矛盾なのだ。「テキストだけやればいい」という発言は「授業でテキストは100%終わる」ということが前提のはず。たった400行の英文しか掲載されていないテキストがそもそも問題なのに、それをまた半分しか消化できない講師がきわめて多く、しかも最後に「量より質だ」と捨て台詞を残して教室を去っていく。「テキストだけやっていればいい」と言っておいて、「テキストさえ終われない」。予備校の多くが、そういうことをやって30年も40年も繁栄し続けたのである。

 

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(ヘッドスライディング)


 浪人して、予備校に入って、1週間が経過した段階での浪人生諸君が何となく感じはじめている違和感について、この1週間書き続けてきた。当事者である浪人生は、話が身近すぎてハッキリ事態が把握できないだろうから、もう20年近く教える側に立っていたオジサンが、詳しく具体的に浪人生の(高3生も同じことだが)置かれた状況を解説してあげたわけである。

 

 一言で言えば、よほど慎重に予備校選びをして、よほど恵まれた予備校(それがどこかは我田引水になるから割愛)に入学しなかった限り、もしこのまま「予備校を信じて」「テキストだけ」「授業だけ」などという他力本願を続けていくと、残念ながら「捲土重来」どころの話ではなくなるよ、ということになる。


 しかも、よせばいいのにこの時期には最初の模擬試験があり、余りの出来の悪さに愕然とすることにもなる。なぜこのタイミングで模擬試験を実施しなければならないのかわからないが、むかしむかしのそのむかしから「連休明け」または「連休まっただなか」に「第一回全国模擬試験」を実施というのが、予備校の定番だ。

 

 連休明けの予備校の教室は、連休ボケと(それ以前に1ヶ月以上も放っておかれた「春休みボケ」なのだが)第1回模試のショックとで、ホントにイヤな空気が漂っている。「漂っている」ぐらいならまだいいので、実際には空気は完全に固まってしまって、すでに慰めようも解きほぐしようもない状態になっていることが多い。


 過去問を寄せ集めただけのテキスト、全然進まない雑談ばかりの授業、テキストを半分しか終わらないのに「テキストだけやりなさい」と言い続ける教務課、上がらない模擬試験、下がり続ける成績表、「夢はかなう」と甘いことを言っていたはずなのに模試が返ってくるたびに次第にキツいことばかり言うようになる担任、親との衝突、何故か成績がどんどん上がっていく友人、苛立ち、ムカつき、電車の混雑、梅雨の雨と蒸し暑い教室、効きすぎるクーラー、「こんなことやってていいのか?」、成績は上がらないのにド派手なルックスの熱血講師、うきゅしゅてゅにゅ、どんどんガラガラになっていく教室、もう6月なのに「まだ第4講、SVOC」、また模擬試験、また下がる偏差値。真綿で首を絞められるように、地獄がどんどん迫ってくる。

 

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(ヘッドスライディング、別アングルより)


 ただ、誤解してもらっては困るので、一応言っておく。この状況は、一方的に予備校が悪いというのではない。「浪人生が(高3生が)予備校に求めるものが高すぎたせいだ」というのが真相である。宣伝広告で目にした予備校のメリットは、予備校側が見せたい、開示したいと思った部分に限定されているのだ。まさか「うちの予備校の困った点」「うちの欠点は、ここだ」みたいな広告があるはずはないのだ(逆にそれが広告作成のヒントにもなるかもしれない)。


 先輩の「合格体験記」には、もちろんニッコリ微笑んだ先輩の満足げな顔写真とともに「予備校を信じて、テキストの予習復習に励み、理解度がいつも100%になるようにしました」の言葉が添えられているだろうが、もちろんその裏には、それ以外の方法でラクラク合格した先輩がウヨウヨしている。「東大合格生のノートは必ず美しい」はずが、ノートなんか全く取らない東大生や、誰がみても殴り書きのノートしかもっていない東大生がいくらでも存在するのと同じことである。
 
 だから「向き、不向き」ということを考えなければならない。「予備校の授業だけで成績が上がる」という幸福な人もいるだろうが、「全くダメだ、マジメに通えば通うほどどんどん成績が下がっていく」というヒトもまたたくさん存在するのである。まあ、確認テストさえやらないでほったらかしの予備校では、若い生徒諸君が自己管理出来るはずがないのである。いつのまにかダウンスパイラルの中にいるのはむしろ当然なのだ。

 そういうときには、暗くなっているより「どんどんやろう」「ばりばりやろう」という決意を固めて、しかも本当に今すぐに「どんどん」「ばりばり」やるほうがいい。「明日から」「来週から」などと言っていると、多くの場合失敗する。「計画の立て直し」も感心しない。
 
「計画表の作り直し」ばかりしているうちにあっという間に時間が流れ、あっという間に1ヶ月が過ぎ、あっという間に1学期が終わり、夏期講習も2学期も終わってしまう。そのタイプのヒトを「ツベコベ君」という。
 
 拙著「今度こそ、英語は大丈夫。」の中でも、このタイプの人間については言及したが、この病気はそう簡単には治らない。治療方法は実に簡単で「いますぐに」「きわめて単純な計画のもとに」バリバリ始めてしまうということ以外にないのだが、これがなかなかうまくいかないのが実情だ。

 というわけで、浪人して、あるいは高3になって、予備校にあれほどの大金を支払ったのに、4月下旬ですでにガッカリしてしまったヒトたちの状況分析を1週間もかけて、詳細に行ってみた。昨年の生徒で、第1志望を諦めきれずに浪人し、大手予備校に入り、すぐに失望し、早速SOSの手紙を送ってきた人たちがいるからである。

 明日はいよいよ、その結論として、絶望しかけている受験生への処方箋を示そうと思う。ムカついて、ガッカリして、壁を殴ってコブシを傷めているだけでは何にもならない。事態を解決するのに、どう行動しなければならないか、それを示したいと思う。

1E(Cd) Richter & Münchener:BACH/BRANDENBURGISCHE KONZERTE 2/2
2E(Cd) Muti & Berlin:VERDI/FOUR SACRED PIECES
3E(Cd) Hilary Hahn:BACH/PARTITAS No.2&3 SONATA No.3
4E(Cd) Kirk Whalum:COLORS
5E(Cd) George Benson:IRREPLACEABLE
6E(Cd) Deni Hines:IMAGINATION
7E(Cd) DRIVETIME
10D(DvMv) BASIC INSTINCT 2
total m155 y543 d2786