今井宏オフィシャルブログ「風吹かば倒るの記」Powered by Ameba
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Sun 260419 初夏が早すぎる/子供部屋には何歳までいるか/井の中の蛙、されど 4961回

 昼間ちょっと外を散歩してきたら、すでに東京ではツツジがほぼ満開になっている。ハナミズキもキレイなピンクに染まっている。古い邸宅の壁に絡まったツタの葉の緑は、新緑というよりすでに深緑であって、大きく成長したアゲハがマコトに楽しそうに飛び交っている。

 

 つまり、すでに晩春から初夏に季節は移りつつある。天気予報のオジサマも嬉しそう、初夏の陽気のニュースを読み上げるキャスターのオネーサマたちも嬉しそう、日曜日の朝はみんな浮かれた様子なのだが諸君、こんな異様な気温の上昇、もちろん喜んでばかりはいられない。

 

 サツキとは、本来5月に咲くからサツキなのであって、しかもその皐月とは「旧暦の5月」のことである。だからサツキの花の盛りは新暦なら5月中旬から6月中旬のはず。そんなもんが4月19日にあっちでもこっちでも満開になっていたら、誰がどう考えても季節外れ、異常気象の結果としか思えない。

(4月1日は、冷たい雨。傘を差して東京・(旧)国立劇場前の桜を見に行った 1)

 

 40年前に購入したガイドブック「京都」を開くと、有名な仁和寺の御室桜の見頃を「4月下旬から5月上旬」と書いている。「40年前のガイドブック」をいまだに書斎の一角に保存している今井センセもまた異様かもしれないが、しかし諸君、その仁和寺の御室桜も、4月10日過ぎにはもう満開になっていた(らしい)。

 

 だからワタクシは本日、滅多やたらにスピードを増して暖かく&暑くなっていく季節に抗うつもりで、今から20日も前の4月1日、冷たい雨の中でカメラに収めた桜の写真を掲載したい。急激に暑苦しくなっていく日本を、いや世界を、この寒々とした桜の写真で少しでも冷たくひんやり爽快に冷やしたいと思うのだ。

 

 猛暑の夏、いやきっと「酷暑日」さえ連続するだろう2026年の夏、もし万が一まだイラン情勢がちっとも改善しておらず、そのせいで電力需給がググッと切迫し、ホントに万万万が一「節電をお願いします」「クーラーの設定温度をもう2℃上げてください」「計画停電」などということになったら、そりゃそれこそ死活問題だ。

 

 日本のことだけ考えていればいいわけではない。国家非常事態宣言の出る国だってきっと続出する。4月上旬に仁和寺や吉野山で桜が満開になり、4月19日にツツジやサツキやハナミズキが盛りを迎えて、大きなアゲハがたくさん飛び交っているようじゃ、とても喜んでなんかいられない。

(4月1日は、冷たい雨。傘を差して東京・(旧)国立劇場前の桜を見に行った 2)

 

 部屋のクーラーは、大丈夫そうですか? そろそろ試運転してみた方がよくないですか? 万が一うまく動かないようなら、今のうちに何とかしないと、修理用の資材も不足、新しいクーラーを買うにも品薄ないし値上がり、それどころか爆上がり、それだけで生活に支障を来たしますぞ。

 

 18歳から22歳までの今井君は、「クーラーなし」のお部屋で首都圏の猛暑の夏を4回も乗り切った。しかしあの頃はまだ首都圏でも、35℃を超える日なんかそんなに多くなかったし、ましてや40℃超えの新ワード「酷暑日」なんてのは、関東平野のフライパンのド真ん中でもまずありえない時代だった。

 

 だから普通のオウチでも「子供部屋」にはクーラーなし。暑ければ、家でたった1台のクーラーがブンブン唸っている居間なり茶の間なり、テレビのあるお部屋に家族が集まれば、他はみんな扇風機で我慢した。

(4月1日は、冷たい雨。傘を差して東京・(旧)国立劇場前の桜を見に行った 3)

 

 諸君、ワタクシは時々知りたくなるんだけれども、日本の子供たちは普通は何歳ぐらいまで、あの狭い「子供部屋」に逼塞して過ごすんだろうか。

 

 ワタクシは18歳で一人暮らしを始めたから、18歳の3月には子供部屋を卒業したのであるが、それはあくまで田舎育ちで、東京で大学学部に通うには、どうしても子供部屋を卒業する必要があったのだ。

 

 しかし、都会人はどうなのか。首都圏の親の家の子供部屋で育ち、高校を卒業して首都圏の大学に進学する場合、おそらくそのまま22歳で学部を卒業するまで、まあ余程のことがない限り、ずっと子供部屋に逼塞し続けることになる。

 

 それは関西圏で成長して関西圏の大学に進学する場合も同じだろうし、札幌圏でも中京圏でも福岡圏でも事情は同じ、18歳で子供部屋卒業と思っても、結局そのまま22歳まで、いやその後の就職状況によっては、あるいは大学院に進んだとしても、生活の拠点はあくまで子供部屋のままになるんじゃないか。

(4月1日は、冷たい雨。傘を差して東京・(旧)国立劇場前の桜を見に行った 4)

 

 するとワタクシなんかは、202122歳ぐらいの大っきな大人が、おそらく小学生時代に与えられた子供部屋で、大きな肉体と精神をギュッと圧迫されたまま過ごす様子を考えて、何だかエラく可哀そうになってしまうのだ。

 

 今はどうか分からないが、昔は小学校に入学すると本棚付きの大きな「学習机」と言ふものを、お祝いに買ってもらう人が多かった。お気に入りのマンガのヒーローやヒロインのイラストが入った回転椅子つき。その学習机と回転椅子の部屋が、中学受験でも高校受験でも大学受験でも、その主要な舞台となった。

 

 その部屋でそのまま、学部生として、就活生として、大学院生として、新入社員として、生活し続けるとすれば、こりゃなかなか厳しい生活じゃないか。もちろん酷暑日の連続ともなれば、子供部屋にもクーラーぐらい導入してもらえるだろうが、みんなどうしているんだろう。

(4月1日は、冷たい雨。傘を差して東京・(旧)国立劇場前の桜を見に行った 5)

 

 今井君が初めて自分だけの部屋を与えられたのは、11歳の春である。それまでは4歳上の姉上と同じ部屋で生活した。机は別々だったが、本棚は「共同で」という日々だった。

 

 姉上の方は「少年少女世界文学全集」をいつの間にか(ほぼ)全巻、お小遣いで揃えるほどのフィクション好き。今井君は「架空の作り話なんか読んだって何にもならない」とマコトに可愛くないことを言い続け、父上が出張のたびに1冊ずつお土産に買ってきてくれた「小学館の学習図鑑シリーズ」26冊、こちらもいつの間にか(ほぼ)全巻そろって、来る日も来る日もそれを眺めて過ごした。

 

 そういうのを11歳までに26冊、いったい何度繰り返して眺めたか分からないほどだが、いつの間にかほとんど全巻丸暗記してしまって、その知識で大学受験も何とかなったし、ここまでの人生もほぼその知識で何とかなった。いやはや子供部屋というのは、クーラーぐらいなくても大した力を発揮するものだ。

 

 11歳の春、父上がちょっとだけ出世したので、8畳と6畳の2間だけの余りに小さな国鉄職員宿舎から、8畳と6畳に4畳半と3畳の小さな部屋がついた少し大きな宿舎に引っ越した。大正末期か昭和初期に建てられた恐ろしく古い宿舎だった。

 

 そこで姉上は4畳半、11歳の今井君は3畳、自分だけの部屋をもらえることになった。ホッとしたのは姉上のほうだったに違いない。今井君みたいなとんでもない弟が常に同じ部屋の中をうろうろしていたら、高校受験の勉強だってマトモにやっていられない。もちろん今井君もホックホクで、3畳の狭い部屋を自分なりに改造しまくったのである。

(4月1日は、冷たい雨。傘を差して東京・(旧)国立劇場前の桜を見に行った 6)

 

 その3年後、姉上が早稲田大学に合格して東京で下宿ということになったから、14歳の春に今井君は4畳半のほうに引っ越した。たった畳1枚半ぶん広くなっただけでも、あの時の嬉しさは忘れられない。

 

 しかもその翌夏に、父上が異様に頑張って自分のオウチを新築した。今井君のお部屋は、また畳1枚半増えて6畳間になった。その6畳の子供部屋が我が子供部屋ヒストリーの最後であって、18歳、とうとう「松和荘」での1人暮らしが始まった。4畳半と4畳の2部屋、さすがに子供部屋とは訣別したわけである。

 

「夢のクーラー付き」に到達したのは、25歳の7月、人生で初めてクレジットカードを使用して初クーラーを購入した。やっぱり6畳ひと間の「セザール松戸」ではあったが、クーラー付きがどれほど夢のようだったか、あれから長い長い年月が経過しても、あの夏の晩のクーラーの風の爽やかな音を、ワタクシ今でも忘れていない。

(4月1日は、冷たい雨。傘を差して東京・(旧)国立劇場前の桜を見に行った 7)

 

 さて、際限なく話が逸れていってマコトに申し訳ないが、こうして今井君は長くクーラーのない子供部屋やら「松和荘」やらに逼塞し、図鑑やら文庫本やらを延々と眺めて過ごしたタイプ。颯爽と部屋を飛び出して、颯爽と都会を歩き回り、颯爽と海外を渡り歩くタイプの快男児にはやっぱり憧れるが、なかなかそういうふうには生きられない。

 

 すると多くの人は「井の中のカワズ、大海を知らず」と言って、狭い薄暗い部屋に逼塞系の生き方を、褒めてくれる人はマコトに少ないのである。

 

 しかし、多くの方はとっくにご存じと思うが「井の中のカワズ、大海を知らず」にはその後に続きが存在するのであって、「井の中のカワズ大海を知らず、されど空の深さを知る」と言ふ。

 

「されど」を「しかし」「ただ」に言い換えて言う人もいる。「空の深さ」ではなくて「空の青さを知る」という表現もある。颯爽と部屋を飛び出し世界を渡り歩いて「大海を知る」という快男児タイプにも言及して、「大海のクジラ、井の底を知らず」とも言ふ。

 

「狭い自分だけの世界に逼塞してじっと思索を重ねるからこそ、知識も思索も人間味も深まっていくのだ」「颯爽と世界を飛び回っているようでも、そのせいで人間として浅薄な存在に終わることもある」みたいな、要するに逼塞派からの切り返しである。

(4月1日は、冷たい雨。傘を差して東京・(旧)国立劇場前の桜を見に行った 8)

 

 まあ逼塞系の諸君、別に焦って無理する必要はないのだ。子供部屋で学部卒や院卒まで逼塞するもヨシ。若き今井君みたいに4畳半や4畳や3畳の空間で逼塞しても、今井君自身は残念ながら深さも思索も人間味も何もなかったが、何かの弾みで突如として地球の中心までギュッと到達するかもしれないじゃないか。

 

 4月も20日が過ぎれば、人の悩みや苦しみも次第に大きくなる。せっかくデビューした会社に行きたくない。入学した大学がどうも自分の期待したものではない。予備校に入学したが、授業もセンセもちっとも面白くない。しかもどんどん花は咲き、花は散り、蝶が舞い、もうホントの夏が始まりそうだ。

 

 そういう焦りの真っただ中にいらっしゃる諸君は、まあとにかく休日ぐらいは懐かしい子供部屋かアパートの一室に逼塞して、声をひそめてシクシク泣いてみるのもいい。

 

 しかしそれでも、翌日には立ち直りたまえよ。次の逼塞は、次の休日まで待ちたまえ。今すぐ何か思い切った行動に出なきゃいけないほど、まだ悩みも苦しみもそんなに絶望的な大きさにはなっていないはずだ。

 

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