Wed 140430 覚えてますか ヤマトナデシコ 弁慶スッチ(ヨーロッパ40日の旅34) | 今井宏オフィシャルブログ「風吹かば倒るの記」Powered by Ameba

Wed 140430 覚えてますか ヤマトナデシコ 弁慶スッチ(ヨーロッパ40日の旅34)

 それにしても諸君、今年の夏もクマ蔵はヒコーキにタップリ乗ることになる。この冬から春にかけても「ほぼ毎日1回の割合でヒコーキ」だったが、この夏のスケジュールを見ると、またまたマイルやポイントが思う存分たまりそう。また来年も、ANAのダイアモンド・ステイタスが確保できそうである。
 こんなにヒコーキにばかり乗っていると、CAの皆さんとも次第に顔見知りになってくる。CAオネーサマたちには今井君の元生徒も多いから、「あ、今井センセーだ!!」という出会いも珍しくない。クマどんはマコトにコソばゆい。
夜のノートルダム
(ライトアップされたノートルダム)

 しかし、CAにもいろんなヒトがいる。どこの航空会社のCAとは言わないでおくが、沖縄出張で空港からホテルまでタクシーに乗ったとき、運転手さんに「○○○のCAです」と名乗るヒトから電話がかかってきたことがあった。運転手さんがスピーカーフォンにしていたので、今井君も偶然その中身を聞き取ることになってしまった。
 スピーカーから流れてくる声は、驚くべきウルトラ♡アニメ声。異様なほど鼻にかかった声で、いきなり彼女は「覚えてますかぁ♡」とおっしゃった。諸君、電話の第一声が「覚えてますかぁ♡」などというのは、とても尋常な事態とは思われない。
 いや、そのヒトコトはもっとはるかに強烈であって、マンガのフキダシにするなら、「お・ぼ・え・て・ま・す・かぁー♡」というレベル。後部座席の今井君は、それだけでもうひっくり返ってしまった。
よこそう
(ノートルダムのエントランス。おそらく「ようこそ」であろう「よこそう」に感激する)

 運転手さんも少なからず慌てた様子だったが、きっと今さらスピーカーを切るわけにもいかなかったのだろう。会話はそのままタクシー車内に響きわたりつづけた。
「覚えてますかぁー♡ ○○○でCAをやってるぅ、△△ですぅ♡ また沖縄に来たんでぇ、またどこかに連れてってもらおうと思ってぇ。友達もいっしょですけどぉ、いいですかぁ?」
 と、ま、こんな感じ。何しろ今井君独特の恐るべき記憶力だ。ほぼ一点一画にいたるまで正確な記憶である。空港から、当時よく宿泊していた沖縄ハーバービューホテルまで、延々とこの調子の会話を聞かされた。
 沖縄ハーバービューホテルについては、「シャワーカーテンがヒドく臭いますよ」といくらフロントに指摘しても一向に改善の様子が見えないので、この数年は敬遠している。だからあの恐るべきCAの電話を聞いたのは、すでに数年前のことになる。甲子園の予選で糸満高校の宮国投手が活躍していたころの話である。
ルーブル付近
(ルーブル付近の風景)

 今はもう「CA」「キャビンアテンダント」「客室乗務員」という呼び方が定着して、20世紀女子の憧れの職業だった「スチュワーデス」の呼称を耳にすることは少なくなった。しかし1990年代まではスチュワーデスのほうが一般的で、より下世話には「スッチー」と言った。
 昔のオジサマたちはみんなスッチーが大好き。バブル時代のオジサマ、特に医者や弁護士やヤンエグが合コンの相手に択ぶのは、何と言ってもスッチー集団であった。
 「は、『ヤンエグ』って何ですか?」という諸君、早速グーグル先生に質問して、「ヤンエグ」「スッチー」について熟知したほうがいい。今の受験生世代のパパやママと話をあわせる努力をするなら、どうしてもこの2語は欠かすことが出来ない。
 15年も昔の2000年、まだ肩で風を切る勢いだったフジテレビが、満を持して放映した月曜9時のドラマが「ヤマトナデシコ」。「愛は年収」をキャッチフレーズに、元スッチーの合コン女王・神野桜子(松嶋菜々子)が、東十条病院の御曹司を狙って強烈なアタックを繰り返した。
 いやはや、そんなんで視聴率25%超えが出来るんだから、マコトにお気楽極楽な世界であるが、あのころのスッチーって、果てしないほど強烈な存在だったのである。
 その「東十条さん」のパパを演じたのが、その後「アイフル」の広告でチワワと共演して一世を風靡した清水章吾。清水章吾と言えば、今井君なんかはNHK朝の連続テレビ小説「北の家族」(1973年)を思い出す。主役・高橋洋子の兄の役が印象的であるが、「ヤマトナデシコ」では東幹久のパパの役。55歳という設定だった。
ステンドグラス
(ノートルダム。ステンドグラスに見とれて過ごした)

 閑話休題。も何も、今日の話のほとんど全てが閑話なのであるが、これでようやく「ヨーロッパ40日の旅」終盤に話を戻せそうである。3月10日、マルセイユでの危機一髪からパリの危機一髪へ、激しい綱渡りの移動を続けてついにパリのホテルに到着したクマ蔵は、ヘトヘトになって和食レストランに転がり込んだ。
 これから10連泊するのは、NOVOTEL PARIS TOUR EIFFEL。つい最近まで「ホテル日航パリ」だったホテルなので、2階には本格的和食屋「弁慶」がJALホテル時代から続けて営業している。危機一髪の連続でこんなに疲労が蓄積したんだ、今日ぐらい和食が食べたいじゃないか。
 今井君が選択したのは、焼き鳥重。うな重もあれば、職人が目の前で焼いてくれる鉄板焼きもあるけれども、諸君、目が飛び出るほど高い。ホテル日航熊本の「弁慶」なら1500円で飲める日本酒が、パリ店では1合30ユーロもする。うな重ならまだしも、鉄板焼きなんてのはモッテノホカ。和食で心を落ち着けるだけが目的なら、焼き鳥重で十分だ。
シャルルミシェル
(ホテル最寄りのメトロ「シャルルミシェル」駅構内。連日この駅から観光に出かけた)

 今井君が日本のスッチーの存在に気づいたのは、まさにその時である。どこの航空会社のヒトか分からないが、何しろむかしの「ホテル日航パリ」だ。きっとスッチーもたくさん宿泊するんだろう。今井君のナナメ前のテーブルに陣取って、楽しそうな様子でいろいろ注文しはじめた。
 彼女は、欧米の中年男性といっしょ。会話の中身を聞いてみるに、要するに彼をマコトに積極的に口説いていらっしゃるところであった。まさにヤマトナデシコ。彼女の英語もいかにもスッチー的発音で面白かったが、オズオズ和食を口に運ぶ欧米オジサマを相手に、ほぼ全ての発言が「In Japan…」で始まる。日本のマナーを欧米オジサマに教えるというスタンスだ
 こうなると、クマどんとしてももう焼き鳥重なんかどうだって構わない。2人の成り行きがどうなるのか、興味のあるのはそこだけである。行け、ヤマトナデシコ。フレーフレー、ヤマトナデシコ。ファイト。燃えろ。うぉー、うぉー、うぉーうぉーうぉー。今井君の心は激しく踊ったのであった。
 しかし諸君、ビールもお酒も焼き鳥重もあっという間にカラッポになって、クマ蔵はヤムを得ずお部屋に退散することになった。その後のヤマトナデシコの行方は、もちろん誰も知らないのである。

1E(Cd) Holliger:BACH/3 OBOENKONZERTE
2E(Cd) Brendel:BACH/ITALIENISCHES KONZERT
3E(Cd) Bernstein:HAYDN/PAUKENMESSE
153 Stay15 Amsterdam 140415-140430
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