世界一うつくしい昆虫図鑑3 | 蝶に魅せられた旅人

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その3・男はフォルムに耽溺する


  『発作的台湾蝶紀行』のつづきを書かねばならないのに、どうにも書く気が起こらない。
だから、一回で終わらせるつもりの文章がこんなに長ったらしくなっているのである。逃亡である。ようするに、こういう本の解説モドキでもして、お茶を濁したいのだ。

  閑話休題。

  話を「世界一うつくしい昆虫図鑑」に戻そう。

  ↓下の写真はインドネシア・スマトラ産のメタリフェルホソアカクワガタ。



  ゾクゾクくるカッコ良さだ。
体調の半分を占める程の大アゴ、緑色を帯びた金色の鈍い金属光沢が萌え~ラブ


作品名「Finae」


  女性が色に反応するのに対して、男性はそのフォルム、形に感応するらしい。
だから、男は車やメカが好きなのだ。
男の子がクワガタやカブトムシが好きなのも、多分同じ理由からだろう。
そして、女性の体もまた男性にとってはフォルムなのだ。凹凸(おうとつ)のある流線形の肢体に惹かれるのは、これはもう自明の理なのである。


ニジイロクワガタ


  オーストラリアなどオセアニアに生息するニジイロクワガタは「世界一美しいクワガタ」とも呼ばれ、色に目を奪われがちだが、形もカッコいい。クワガタなのに、まるで武将の兜みたいだ。


さまざまなカブトムシ
(マレーシア、メキシコ、タイ、ペルー、インドネシア、エクアドル)

  カブトムシの萌えは角のフォルムだね。
日本のは2本だけだけど、世界には5本角なんてのもいる。それだけでo(^o^)oワクワクする。
角は強さの象徴でもあるから、男の子は自然と憧れるのだ。


  人気があるのは、何もクワガタやカブトムシだけではない。カミキリムシも虫好きの間では人気が高い。


オオキバウスバカミキリ


  南米ペルーに生息する世界最大級のカミキリムシだ。大きいものは18㎝もあるという。
そのフォルムは、もう悪魔的ですらある。
ヒーローものだったら、絶対に悪の首領だ。

  実をいうと、こういう悪の権化みたいなのに男の子は密かに魅いられている。
ゆえにヒーローもんでも、敵のドンがカッコ悪いと全然人気が出ないらしい。
敵役(かたきやく)が凶悪かつカッコ良くないとダメなんである。そういう相手に勝つからこそ、ヒーローはカッコ良く見えるのだ。

  しっかし、こんなのを現地で見たら、さぞかしポーンブッたまげるだろうなあ…。
もし、大事なところなんかを挟まれたりしたら、確実にチョン切られるがな。そう想像するだけで、オチ○チ○がメリ込むね。


テナガカミキリ


  コレもペルー産である。そして、やっぱり大型なのだ。
ペルー、恐るべしだガーン

  男の子は、こういう異形のフォルムにも惹かれるところがある。
変なバイクが存在するのも、そのせいだ。
フロントフォークが異様に長いバイク、あれって何だっけ?
あっ、確かチョッパーだ。
ちゃうかったら、御免。


ウォーレスシロスジカミキリ
(インドネシア:イリアンジャヤ)

  コレは世界最長の触角を持つカミキリムシだと言われている。
シロスジカミキリの仲間だから、コイツも当然大型だろう。
あっ、コヤツも前足が長いぞ。

  一般的には、カミキリムシの魅力はズバリその触角の長さだろう。
アンテナが長いことにより、フォルムが美しく見えるのだ。

  でもカミキリ収集家は、変な凡(およ)そカミキリらしくないのが好きな傾向があるような気がする。
  オオトラカミキリは触角が短いし、ギガンティアとかのホソコバネカミキリは鞘翅が以上に短い。いえば、長身短ランのダザダサシャツ出し野郎なのだ。
コブヤバズカミキリは触角は普通だが、ボコボコの岩みたいな形だ。
突き抜けてしまって、より異形の方に魅力を感じちゃうのかな❓
オオトラもギガンティアもコブヤバズも一般の人が見ても、カッコいいと思うかどうかは疑問だもん。


作品名「Gilded Longhorn Beetles」
(カミキリムシの仲間:インドネシア・スラウェシ島)

  著者クリストファー・マーレーのカミキリムシの展足は独特だ。普通は触角を前ではなく後ろに流す。
コレは、そもそもが学術的な標本ではなく、あくまでも標本を使ったアート作品なのである。そう思えば納得はいく。
だが、ちよっと目から鱗だ。美しければ、そういうのも有りかなと思ったのだ。
こうあるべきだと云う概念に拘らず、その虫が最も美しく見える形に整えるのが、本当は正しいのではないかと思う。

  実際、テナガカミキリなんかは触角が後ろ向きだもんな。しかも、真っ直ぐでないところがよろし。前足とのバランスを考えれば、コレがベストだよね。


ゴライアスオオツノハナムグリ
(アフリカ・コンゴ民主共和国。)

  旧約聖書に登場する巨人ゴリアテからその名がつけられた大型のハナムグリ(コガネムシの仲間)。
その胴体は甲虫最大だとも言われている。

  コレはゴツさの魅力だろう。いかにも力が有りそうな前足が、頑健なイメージをより強固にしている。
嗚呼、強いアナタの腕でギュッと抱かれた~いちゅー

  あと、白黒とゆうのもいい。
見方によっては、ウルトラセブンに出てくる怪獣エレキングみたいだ。自分はより色に反応するタイプだから、そんなにエレキングは特別じゃないけど、エレキングは常に好きな怪獣の人気ランキングの上位にランクされているようだ。


クルサルギレアプラチナコガネ


  コスタリカのコガネムシである。
鈎爪のカッコ良さはあるが、コレはどちらかというとその質感に魅力がある。
このシルバーメタリック具合は、マシーンを彷彿とさせるではないか。男は機械やロボット的なモノに堪らない魅力を感じる性質があるのである。
特に剥き出しの金属的なモノは堪らんだろう。飾り気の無いシンプルさに、洗練された機能美を感じてしまうのである。
この辺の感覚は、あまり女性には理解できのかもしれないなあ…。


さまざまなオサムシ(カブリモドキ)
(中国、北朝鮮、韓国に棲むカブリモドキの仲間。本では本来横向きのデザインだが、わかりにくいので、あえて縦にした)

  オサムシは羽が退化して飛べない甲虫で、「歩く宝石」とも言われる。
だが、色やその彫刻のような鞘だけが魅力的なワケではない。

   画像ではわからないが、実をいうと手足が長くて、とてもスタイルがいいのである。
スプリンターの肉食昆虫ゆえ、自然と手足が長く進化したのであろう。

  動物でも鳥でも魚でも、肉食に振り切って進化した生物はカッコいい。
シルエットに無駄が無いのである。無駄なモノがあったら、獲物は捕らえられないのだ。つまり、進化の過程で削ぎ落とされた上での美なのだ。オサムシの仲間も、その進化の果てが今の形なのだろう。

  オサムシの標本は足を縮めて整形するのが現代の主流だが、あれってそのキレイなおみ足が隠されちやって、何だか勿体無いような気がするなあ…。
縮めてるのは、アレはアレでカッコいいんだけどね。


キネンシスハンミョウ


  ハンミョウだね。
写真は韓国のモノだが、日本にもほぼ同じようなのがいる。

  山道を歩いていると、道案内するかのように前へ前へと飛ぶので、「道教え」などとも呼ばれている。
因みにハンミョウは漢字で「斑猫」と書く。

  これぞ、一つの究極の形と色だと思う。
凶悪そうな牙、長い手足。七色の如き色。
フォルムと色は非の打ち所がない。
わりと日本では普通に会えるとはいえ、もうちょっと評価がされてもいいんじゃないかと思う。

  敢えて言うなら、大きさか❓
ハンミョウは、胴体が2センチくらいしかないのである。
それとて、虫としては決して小さくはないんだけど、人の目には入りにくい。
多分、一般の人ならばハエ程度の認識で、見てもスルーされるのがオチだろう。
現代人にとっては、そんなもんは微小で認識出来ないのだろう。


  最後に鱗翅類も。
蝶はどちらかと云うと色なのだが、中にはフォルムが素晴らしいものもいる。
自分は形も色も両法ともに感応するタイプなのだが、今のところは蝶で満足している。蝶でもフォルムが堪まんないのはいないワケではない。
  でも、本書では特別な形の蝶は紹介されていないので、仕方ないから蛾を紹介しよう。



  コレはインドネシア・セラム島の蛾。
ツバメガの仲間で、昼行性の蛾だそうだ。ならば、行動パターンは蝶と変わらないではないか。
昼間に活動する蛾は結構いて、こんなのを見ると蝶と蛾の境界線って、どうよえー?とは思う。

  でもラグライスアゲハとか、多分コレに擬態した蝶がこの辺だといる筈だ。そんな事を思うと、ワケがわからなくなる。

   話が逸れた。
言いたいのは、その形である。
後翅のギザギザなんかは、完全にフォルムの美しさだろう。

  ラストにもう一つ紹介する。


マダガスカルオナガヤママユ


  マダガスカルに棲む蛾で、鱗翅目の中では後翅の尾状突起が最も長い。

 普通は、下翅をもっと上げて左右に開いて展翅するのだが、著者独特の美意識があるのだろう。わざと下翅を下げて交差させていると思われる。

  こんなのはキリスト教徒やなくとも、頭に浮かぶではないか。
まるで、ゴルゴダの丘に磔りつけにされた十字架のキリストだ。

  この形は、人によっては天使降臨にも見えるかもね。或いはニルバーナか❓
『デッビール、ウィングッ!

  とにかく、ある意味、展翅の概念を破壊されたよ。

  zzz眠いから、もう寝る。
こういう文章は、書いてて疲れる。