『オッサンとジジイ2人と桃尻青年』
第1話 『波乱のプロローグ』前編
2025年 9月26日(金)
朝6時10分の関空ゆきのバスに乗る。
OCAT(JR難波駅)のバスターミナルは家から5分と掛からないのでコレが一番楽チンなのだ。
見覚えのある風景が車窓を流れてゆく。考えてみれば海外に蝶を採りに行くのは8年振りだ。たぶん最後に行ったのは台湾だった筈だ。となると、ラオスに行くのは9年振りと云うことになる。たしか北部に珍品ビャッコイナズマとキヤニパルダスオオイナズマを採りに行った。けれど結局ビャッコには会えずじまい。キヤニも♂を一瞬見ただけ。そうだ、ノーチャンス。あの時はバナナトラップには見向きもせず、目にも止まらぬハイスピードで右横5m程を前から後ろへとマッハで一直線に通り過ぎてったっけ。それを呆然と見送ったんだよなあ…。その場に悄然と立ち竦したのをよく覚えている。頭の中で、その映像を何度も反芻して、どう考えてもキヤニの♂だったよなと思った記憶が甦る。キヤニの♂は他のオオイナズマ類の♂よりも圧倒的にデカい。チョータローさん(註1)曰く、車で例えると「クラウンとロールス・ロイスくらいの差がある」と云うくらいだから、アレは絶対にキャニ♂だったと思う。
どんどん記憶が甦ってくる。そういや前哨戦のバンビエンで近縁のアルボプンクタータオオイナズマ♀(註2)を仕留めて、気分アゲアゲで北部に乗り込んで来たんだよねー。結局、ビャッコにもキヤニにも縁が無かったけど、 そのかわりに其処ではテンジクゴマダラ(註3)、ミスジコムラサキ(註4)やアンビカコムラサキの♀(註5)が採れたんだよね。アンビカは♂も沢山いたし、キゴマダラ(註6)もタコ採りしてやったな。そういやナライナズマやパタライナズマ(註6)も採れたわ。
【ミスジコムラサキ♂】
【ナライナズマ♂】
【パタライナズマ♂】
キヤニやビャッコには及ばないとはいえ、コレらも簡単には採れない佳い蝶ばかりだ。まだ相変わらずの抜群の引きの強さを発揮してたって事だな。あの頃はまだまだ絶好調で、当たり前に快進撃を続けていたんだよね。この年の夏と翌年の台湾でだって珍品採りまくりだったな。それが、この二年後にマホロバキシタバ(註7)を発見してからオカシクなった。
【マホロバキシタバ♂】
秋田さんの『五十嵐くん、コレで運を全部使い果たしちゃったねー。』と云う呪いの言葉で絶不調に陥ったのだった。以来、普通の虫屋レベルに成り下がってしまい、長年低飛行が続いている。今回の旅は、それを払拭する旅でもあるのだ。だから、密かに期するところがある。
モノローグにも飽き、時間潰しにポイ活(トリマ)でもやる事にする。最近、万歩計替わりにと始めたのだ。
しかし空港まであと半分と云うところで、突然のサドンデス。まさかのスマホ画面がブラックアウトした。まあ、しょっちゅうバグって接続が切れる糞トリマのことだ、そのうち回復するだろうと暫く放置する。
だが5分経っても画面は意地悪な魔女の呪いにかかったかのように暗黒のままだ。画面にタッチしまくるも、うんともすんとも言わない。バッドタイミング、よりによってこんな時に…。スマホにはフライトの詳細が入っている。もしもそれが表示できないとあらば、飛行機に乗れないのでは❓と思い、😱💦急激に焦りだす。
自分に言い聞かせる。落ち着け❗こんな時こそパニクってはならない。先ずは冷静に再起動を試みる。💢しかーし、一瞬正常な画面が出てホッとしかけたら、また真っ黒になりよった。一挙に心がドス黒く染まる。
OVER&OVER。何度も何度も試みるが、同じ事の繰り返し。このままでは埒が開かない。
ならば別なアプローチをしよう。画面をゆっくりなぞると、微かな反応がある。どうやら起動はしているらしい。でも何とかならないかと指先をアッチャコッチャに動かすが、反応はあるものの、画面が明るくなる気配はない。
やれやれである。まあ事情を説明すれば、飛行機に乗れない事はないだろうが、にしても憂鬱だ。旅の初日に、のっけからトラブルだなんて不吉過ぎだ。現在、ベトナムからラオスに向かって大型台風が2個も向かってるし、もしかしてコレは最低最悪の事態を未来する前触れなのかぁ❓そもそも飛行機が飛ぶのかどうかも危ういし、たとえ飛んだとしても天候不順で空港には降りれないかもしれない。徒労の生き地獄関空引き返しだって有り得るのだ、。それどころか最悪の場合は台風の暴風に巻き込まれて哀れ墜落、我が生涯ジ・エンド。皆さん👋サイナラーって事だって無きにしもあらずなのだ。
画面を半ば諦めがちに色々触っているうちに、かろうじて画面が薄っすらと見えるようになる。もうすぐ空港に到着する。それまでには何とかせねばならぬ。勘でメールのボタンがあるらしきところを静かに押す。
やった❗極めて薄っすらだが、画面が見える。慎重に操作し、フライトの予約画面を探す。
😆シャァー❗着く直前に、らしき画面が出た。さすが俺様だ、ギリギリで何とかする男なのだ。よし、このまま画面をキープして今回乗るベトジェット航空のカウンターまで行こう。
ベトジェットのブースまで辿り着いたが、そこそこの人だかりだった。列に並んでいる間も、そのまま画面をキープする事に腐心する。
やや冷静になったところで、どうしてこうなったのかと云う原因に思い至る。おそらく色々触っているうちに画面をマックスに暗くするボタンに触れてしまったのだろう。けれど何処をどう押せば回復するか分からないのでアンタッチャブルだ。下手に触れて又ブラックアウトしたら、元も子もない。画面をキープする事に集中する。
10分程でカウンターの前へ。ベトナム人の若い女性スタッフに事情を説明してスマホを渡す。
すると彼女は、ものの数十秒で一発で問題を解決した。『ハイ、出来ましたー。』と言って笑顔で見せられた画面は、何と通常通りのブライトライト、目映いばかりの明るさに戻っているではないか。
救世主、🗽女神様だ。彼女から天使のような後光さえ射して見えた。
瞬間的に、
『I LOVE YOU😍♥️❗』
と声に出して言ってしまう。
そんなアホ乗客に彼女がニッコリと笑う。😍素敵過ぎ。貴方、プロフェッショナルです❗
荷物も無事預けられたし、問題オールクリアー。
さぁ、旅の始まりだ。コレで乗ってイケる。
パスポートチェックを終えて歩き出して暫くすると、目の前の視界がパッと開けた。と同時に化粧品やフレグランスの華やかな香りが鼻腔をくすぐる。それで一挙にテンションが上がった。いよいよ虫採りの旅に出るのである。もう気分は御機嫌の
アゲアゲである。
免税の煙草を買おうとしたがやめる。考えてみれば、ラオスの雑貨屋で売ってる現地やタイ産の煙草の方が圧倒的に安いのだ。たしか100円とか150円、そんなもんだった筈だ。ここでイタズラに荷物を増やす事もなかろう。日本の煙草は帰りにでも買えばいいのだ。
スマホに立て続けに連絡が入った。片石くんと樫尾さんからだった。今回の旅は実を云うと、いつものような一人旅ではない。人生初の同行者がいる海外採集行なのだ。
事の発端は去年の秋遅くだった。ラオス帰りの長谷さんが飲み会でキヤニパルダスオオイナズマを採ったと話された。雌雄共にゲットされ、確実に採れるようなニュアンスだったので俄然行く気になった。
キヤニパルダスは大型で美しく、しかも分布は極めて局所的で個体数も少ないとされるマニア垂涎の蝶だ。実を言うと、自分も過去にキャニパルダスの♀を採った事はある。たしか当時、誰かに「日本人では一桁台の何番目だ」とか聞かされた記憶がある。けれども残念ながら完品ではなかったし、♂は未だ網に入れた事はないのである。ゆえにまだまだモチベーションは高いのだ。確実に採れるのであれば、行くっきゃない。
【キヤニパルダスオオイナズマ♀】
樫尾さんも、その場に同席していた。彼はバンビエンで一度だけキヤニらしきチョウを見掛けたらしいが、網を被せたけど横から逃げられて採れなかったそうだ。ゆえに同じくキヤニに対するモチベーションは高く、一緒に行こうと云う事になったのだった。樫尾さん曰く、その長谷さんが採った詳しい場所を、いつもラオスで使っているガイドが知っていると云うのも心強い。ガイド料は高額だが、最後のラオス旅から10年近くも経っており、その間にオラの気力も体力も相当に落ちているから渡りに船なのかもしれないと考えたのも決め手になった。過去に当ブログでさんざん書いてきたが、ガイド無しの一人での海外採集は過酷なのだ。移動は主にローカルおんぼろバスで、クーラーが無くてクソ暑いし、乗車時間は10数時間くらいはザラで苦痛の極みだし、宿も自分で探して交渉しなくてはならない(当時は未だネット予約は主流ではなかった)。1から採集ポイントを探すのも大変だし、そこへ行く移動手段も己で確保せねばならない。ラオスではレンタルバイク屋なんて滅多と無いのだ。バイク屋、或いは個人と交渉して借りるのはホネなのだ。オマケに大概はボロで、スピードメーターやガソリン計がブッ壊れているのが常だ。ホント、何から何まで自分一人で決めねばならないのはシンドいし、常に不安に押し潰されそうになる。目的地に本当に辿り着けるかどうかもワカラナイのだ。加えて話し相手もいないから孤独だし、局面、局面の相談もできない。もう、そんなの想像しただけで今やウンザリなのだ。ようするに、もはやオジサンは楽して虫採りをしたいのである。バーロー
、認めようじゃないか。オラはもはや根性なしの日和った低レベルおっさん蝶屋なのだ。
今回の旅は、この二人の他に石川さんと片石くんが加わった。石川さんは樫尾さんが、片石くんは自分が引き入れた。ガイド料は頭割りなので、少しでも安くあげようと云う算段なのである。
軽くメンバー紹介をしておく。
ジジイその1の樫尾さんは、今は引退されておられるが、元々の職業はお医者さん。ラオスには10回以上も採集に行かれているベテラン蝶屋だ。紳士然で性格は控えめの、おっとりやさんである。ちなみに今回の旅のリーダーでもある。
ジジイその2の石川さんは、現役の植木職人。飲み会などで何度かお会いした事があり、一度だけオサムシ掘りで御一緒した事もある。皆が手鍬の中、一人だけ大型の鍬で崖をガンガンに崩しまくり、オサムシを沢山採っていやはった。だから、てっきりオサムシ屋だとばかり思っていたが、元来は蝶屋なんだそうである。オサ掘りを見た限りでは、虫採りは上手いと云う印象がある。虫採りが上手い人は、基本的に何を採らしても上手いからね。
補足すると、飄々したところがあり、どこか憎めない人でもある。
片石くんはオラと最近つるむ事が多い若手虫屋だ。今年は二人して遠征も2度している。一度目は群馬・長野方面へムモンアカシジミ、ケンモンキシタバ、オオシロシタバ、ヤンコウスキーキリガ狙いで行った。ムモンアカは着いてすぐ地権者に追い払われ撤退。ケンモンは姿さえ見られずの惨敗。オオシロとヤンコウスキーは大当たりの爆採りだった。二度目は長野方面にムラサキシタバとヤマキチョウ目当てで行った。ヤマキは片石くんが辛うじて採ったが、ムラサキはタコ採りでありんした。この二度の遠征は何かとあって面白かったので、久々にブログを書く気になった。けんど、未だ1行も書いてないっす。
彼は環境コンサルタント会社に勤めており、準国家資格とも言われる生物分類技能検定の1級を最年少にして取得したらしい。ゆえに昆虫全般に詳しい。だが秀才タイプを思い描いた人は💀✖です。基本、脳天気のアホなのである。しばしばそのアホ言動と突飛な行動に笑かされる。虫採りの実力はまだまだだが、独特のセンスがあり、体力と根性と行動力もある。好奇心も強い。そして何よりも目がいい。虫を見つける能力が極めて高いのだ。特に動体視力が抜群に高い。車を運転している最中でも、視界に入った蝶を見逃さないし、種も素早く特定出来る。オマケに男前だ(但し服装のセンスは、あんま無いけど(笑))。そうゆうワケで今一番可愛いがってる後輩でもある。ゆえに彼には細かい技術も惜しまずに教え込んでいる。つまり、ただいま急成長中の若手有望株ってところかな。
樫尾さんが『今、何処にいるぅ❓』と暢気な声で言ってきた。
おのれー、あれだけ空港へは早く来いと言っておいて、今、空港に着いただとー💢 既に出発時間の1時間半を優に切っておるではないか。2時間前までには来いと言ったのはアンタだぞー。
片石くんからも『今、着きましたよー』と、コレまた暢気そうなLINEが入ってきた。テメェ、人生初の海外旅行だろうがっ❗もっと緊張しろよ。フツー、不安だから早めに家を出るだろうに#■@☆●$¢…ブツブツ。
まあいい。コッチはピンチを脱して心に余裕があるのだ。かまへん、かまへん。許してつかわす。
JTの喫煙ルームでアイスコーヒーなんぞを御馳走になり、電子煙草の試供品を試しながら店のお姉さんとダベる。益々、御機嫌の絶好調である。
全員、無事集合。皆さん、これからの旅にワクワクした感じで、笑顔が絶えない。
台風18号、20号の動向が気になるところだが、取り敢えず飛行機は飛びそうだ。無事、着陸できる事を祈るのみである。
搭乗時刻になった。
一番しんがりで片石くんとゲートに向かう。
その途中で彼が自分のTシャツの胸を指し、『アレっ❓五十嵐さん、トランスファーのシールを貼って貰ってないんですねー。』と言ってきた。
えっ❓、そんなの貰ってないぞ。貰ってないけど、特に問題ないっしょと思う。
搭乗口には、あの女神が笑顔で微笑んでいた。益々、幸先がいいぞー。その節のお礼を言いがてらシールを貰ってない旨を伝えたら、急転直下、彼女の笑顔が一瞬にして消えた。
『えっ❗❓ホーチミンで降りるのでは❓』
『えっ
、それって、どゆこと〜❗❓』
つづく 追伸&註釈
何と約2年半振りのブログ復活である。
何故にこんなにも長い間隔が開いたのかと云うと、単に邪魔くさくなったからである。文章を書くには、それ相応の労力が要るのだ。なのに一銭にもならないし、アホくさくなったのだ。あとは書きたいと強く思うような題材が無かったからでもある。否、書きたい題材が全く無かったと云うワケではない。カトカラシリーズは完結していないし、まだまだネタ有りの台湾の蝶シリーズも頓挫したままだ。それらに関しては、ずっと心の何処かでは気にはなっていたのだ。でもさあ…、文章を書くには半ば書くことが習慣化されていないといけない。マラソンと同じで、書くには体力がいる。日々、トレーニングが必要なのだ。それに書いていないと、どんどん書きたい意欲が削がれてゆくのである。
この2年半の間、アチコチで「ブログ、次いつ書くんですか?」「再開は、いつですか?」と言われ続けてきた。有り難いことに、こんなアホ文章を読んでいる人が結構いるのである。なので心苦しい限りではある。ずっとスマン、スマンとは思っていたのだ。
そんな折り、今回の旅が始まる直前の宴席で、樫尾さんに「今度のラオス行きの事は絶対書いてくださいね」と言われた。で、酔っ払ってて、つい「書きます。書きます」と言ってしまったのだ。だから、その為に一応現地では日記を書いていたのだ。とはいえ、帰って来てから半年近くも経ってるんだけどもね。
ブランクが長いので上手く書ける自信があまりない。実際、のっけからイタズラにダラダラ長文になってしまったし、確実に文章も下手になっている。とはいえ、やり始めた事だ。
取り敢えず、頑張りまーす
(註1)チョータローさん
昆虫界(特に蝶の世界)に多大なる影響を与えた人。本名 西山保典。2022年没。御本人自ら西山チョータローと名乗っていた事からチョータロー(蝶太郎)が通称になったものと思われる。知らんけどー。
『世界のクワガタG(ギネス)』、『珍虫図譜―秘蔵コレクション』、『世界のアゲハチョウ図説』『東南アジア島嶼の蝶』など世界の蝶やクワガタの図鑑、昆虫採集関連の書籍を多数手掛け、また世界初の昆虫情報を扱う週刊紙(毎月3回発行)『TSU-I-SO』の発行人、主筆としても活躍された。その独自の視点とユーモア溢れる文章は多くの愛好家を啓蒙し、また大変愛されてもおられた。
(註2)アルボプンクタータオオイナズマ
学名 Lexias albopunctata
タイ、ラオス、ベトナム、カンボジア、中国西部、ミャンマー?に分布する珍蝶。和名にクロオオイナズマとシロモンオオイナズマがある。由来はおそらく前者が♂が黒いことから、後者は♂の前翅先端近くに白い紋がある事からの命名だろう。
拙ブログに、東南アジア蝶紀行Ⅳ 第80話『熱帯の憂鬱、ときどき微笑』第三部 ラオス編 13と第79話、『ルシファー降臨』などの記事があります。他にワードプレスのブログ(蝶に魅せられた旅人)にも『展翅している場合かよ?』と題して書いている。
(註3)テンジクゴマダラ
学名 Neurosigma siva
インド北部からインドシナ半島北部にかけて棲息する稀種。画像はミャンマー、タイ、ラオス、ベトナム、それぞれの北部に棲む亜種 ssp.noniua。インドの原記載亜種よりも前翅のオレンジの領域が狭いのが特徴だ。名前にゴマダラとあるが、ゴマダラチョウの仲間ではなく、イナズマチョウのグループに含まれる。
ちなみに拙ブログに『天竺胡麻斑』と『天竺の破壊神』と題した記事があります。
(註4)ミスジコムラサキ
学名 Mimathyma chevana
ネパール東部、シッキムからミャンマー北部、タイとラオスの北部、及び中国雲南省に分布する。
稀種で分布は局所的。おまけに個体数も少ないようだ。自分も一度しか会ったことがない。
一見ミスジチョウの仲間に見えるが、実はコムラサキ亜科に属する。その証拠に画像下のように傾けると青い幻光色が現れる。又、裏面はミスジチョウ類とは全く違い、アンビカコムラサキと同様に地色が真っ白である。
(註5)アンビカコムラサキの♀
学名 Mimathyma anbica
分布はインド北部からインドシナ半島中北部とマレー半島の高地。
和名が他にキララコムラサキ、シロコムラサキ、ニジイロコムラサキ、カグヤコムラサキ、イチモンジコムラサキと、アホほど別名がある。♂は抜群に美しいゆえ、皆それぞれに思い入れがあるのかもしれない。自分としては響きの良い学名のアンビカが好きだ。つまり、ヘタに無理に和名を付けるのはやめた方がいいと云う考え方なのである。だいち海外では、和名なんか通じないんである。ゆえに現地の人からの情報も得られやしない。
♂は珠に見かけるが、♀は滅多に出会えない珍品。
コチラも一度しか出会ったことがない。でも残念ながら、♂と比して幻光色が殆ど無いから美しくはない。
拙ブログには『アンビカコムラサキの♀』と云う短文があります。
(註6)キゴマダラ
学名 Sephisa chandra
美しいゴマダラチョウで、見掛けるとテンションが上がる。ネパール、シッキム、アッサム、ブータン、ミャンマー&タイ&ラオス北部、中国西部の一部、マレー半島の高地、台湾に分布するが、その分布は特異で、中国の大部分には棲息しておらず、遠く離れて台湾に、インドシナ半島でも真ん中にはおらず、飛び地でマレー半島の高地の一部にのみに見られる。
台湾では場所によってはそれなりに見掛けるが、インドシナ半島では珍品の部類に入る。♀は全く違うタイプの美しいデザインをしており、♂よりも更に得難い。自分は台湾ではそこそこ採ったが、インドシナ半島では一度も♀を拝めていない。
ちなみに拙ブログに『東洋の宮人』と題した詳しい記事がありますので、宜しければお読み下され。
(註7)ナライナズマとパタライナズマ
両種ともイナズマチョウ属 Limbusa亜属に分類される中大型の緑色系イナズマチョウ。ナライナズマは亜属の中では比較的普通種だと思われるが、この時に初めて採った。パタラは亜属中の最大種で、♀は貫禄があって💕LOVE。
分布は局所的で、特に♀は得難い。
【パタライナズマ♀】


パタラは裏面も美しい。
(裏面)

(註8)マホロバキシタバ
2018年に、ワシと小太郎くんが奈良県春日山・若草山山系で発見したカトカラの一種。詳細は『月刊むし』とワードプレスに「マホロバキシタバ発見記」と題して書いた。










