R6-技術士予想問題の解答[Q10 水質検査計画] | 新見一郎

新見一郎

勉学を通じて成長をナビゲートする講師。
2008年に技術士合格後、「技術士を目指す人の会」を立ち上げ、多数の技術士を輩出。自身も勉学ノウハウを活かして行政書士、世界史検定2級、電験三種に合格。

Q10 水質管理(水質検査計画) 1200字

水源でPFASが検出された事業体において水質検査計画を策定する場合、①PFASについて調査・検討すべき事項とその内容、②計画策定の業務を進める手順と留意点、工夫点を述べた上で、③業務を効率的・効果的に進めるための関係者との調整方策について述べよ。

 

 

【解答例】

1 PFASに関する調査・検討事項

PFASは、炭素とフッ素の結合を持つ有機化合物であり、水質管理目標設定項目において、暫定目標値50ng/L以下が設定されている。

給水栓から目標値以上のPFASが検出された場合、発生源の調査、水源及び給水栓における水質調査、国への報告、関係機関との情報共有等を実施する。高濃度のPFASが継続的に検出される場合、給水停止、摂取制限を伴う給水継続、水源の変更、粉末活性炭注入等を実施する。水源のみ目標値以上のPFASが検出された場合、水質検査の必要性、頻度、場所を検討する必要がある。

 

2 業務の手順と留意点・工夫点

(1)業務の手順 

業務は、①基本方針の決定、②水道事業の概要に関する調査、③原水及び浄水の水質状況の調査、④採水場所・検査項目・検査頻度等の検討、⑤水質検査方法の検討、⑥水質検査計画の公表に関する検討の手順で実施する。

(2)業務の留意点・工夫点

水道事業の概要に関する調査の際、水源の種類、水源周辺の環境(工場、し尿処理施設等の有無等)、浄水施設(処理方法、浄水量、薬品の種類及び使用状況等)、送配水施設(配水池の容量、追加塩素設備の有無、管路の布設状況等)、給水状況(給水エリア、給水戸数、給水量等)を確認する必要がある。調査の際は、現場確認を行う必要がある。

原水及び浄水の水質状況の調査の際、水源から給水栓までの水質状況や汚染リスク、優先的に水質管理を行う必要のある汚染物質等を見極める必要がある。

採水場所・検査項目・検査頻度等の検討の際、採水場所は、配水系統毎に1地点以上選定する。検査項目については、実態を踏まえて必要な物質を盛り込むことに留意する。検査頻度は、過去の検査結果、原水や水源及びその周辺状況等を踏まえて、合理的な範囲で検査回数の減少又は省略することについて検討する必要がある。

水質検査方法の検討の際、保有する水質検査機器、厚生労働省の告示内容等を踏まえ、水質検査項目毎に適切な検査方法を決定する必要がある。臨時の水質検査は、水質異常が終息した後、給水栓水の安全が確保されるまで連続的に実施することに留意する。

水質検査計画の公表に関する検討の際、広報誌やホームページ等、複数媒体の使用を検討し、掲載する情報は需要者のニーズを考慮する点に留意する。

 

3 関係者との調整方策

関係者間で対面協議、リモート会議、メール審議を実施し、業務に対する要求事項、実運用後のレビューの方法等について、明確かつ効果的な意思疎通を行い、関係者の利害を調整しながら業務を進める。

 

【当該テーマに関連する他の問題】

・水安全計画の策定の手順と実施時の留意点

・業務継続計画(BCP)の策定の手順と実施時の留意点

 

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