Q3 消毒処理 600字
凝集沈澱ろ過方式を採用する浄水場において、次亜塩素酸ナトリウムを注入する目的を複数述べた上で、取扱上の留意点を述べよ。
【解答例】
1 次亜塩素酸ナトリウムを注入する目的
(1)細菌の処理
消毒のため給水栓水における遊離残留塩素濃度を0.1mg/ℓ以上確保する義務がある。このため、浄水場で次亜塩素酸ナトリウム(これ以降「次亜」という)を注入し、殺菌処理を行う。
(2)鉄・マンガンの処理
原水中の溶解性の鉄・マンガンは、凝集沈澱ろ過処理で完全に除去することができない。このため、浄水場で次亜を注入し、鉄・マンガンの酸化処理を行う。
(3)藻類の処理
原水中に相当量の藻類が含まれている場合、沈澱池の集水ロンダやろ過池の砂層が閉塞する。このため、浄水場で次亜を注入し、藻類を処理する。
2 次亜の取扱上の留意点
次亜は、高温、長時間の経過、不純物の含有等により、有効塩素濃度が低下し、含有する塩素酸が増加する。これにより、給水潜水の残留塩素濃度の低下、塩素酸に係る水質基準(0.6mg/ℓ以下)の超過を招く可能性がある。
この対策として、建屋に空調設備を設置し、温度管理を行う。貯液槽は、運用水位を低めに設定して補充周期を短くするとともに、定期的に清掃を行う。次亜は、希釈して使用し、必要に応じて品質の高いものを購入する。また、残留塩素濃度の確保等のため、配水施設に追加塩素設備を設置する。
【ポイント】
塩素剤を注入する主目的は消毒と酸化です。このため、次亜塩素酸ナトリウムを使用する目的として、細菌の処理と鉄・マンガンの処理を計上する必要があります。
次亜塩素酸ナトリウムの取扱上の留意点は、有効塩素濃度の低下と塩素酸の増加について言及する必要があります。塩素酸について言及できるかどうかがポイントになります。
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・前塩素、中塩素、後塩素の目的と実施時の留意点を述べよ。
・消毒副生成物について複数の対策と実施時の留意点を述べよ。
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