●選択Ⅱ-2が難しい理由
技術士二次試験は、必須Ⅰ、選択Ⅱ-1、選択Ⅱ-2、選択Ⅲで構成されています。
これら4つのうち、その出来が合否を左右するのは、どれでしょうか?
選択Ⅱ-2です。
選択Ⅱ-2が、最も難易度が高いからです。
では、選択Ⅱ-2の一体何が難しいのか?
必須Ⅰや選択Ⅲは、一般的、抽象的なテーマを扱います。
例えば、上下水道の災害対策を問うような問題です。
こうした問題であれば、何かしらのことを書くことができます。
選択Ⅱ-1は、内容をシンプルに問うものです。
しかも、問題が4問あります。予想したテーマが1問は含まれているので、何とか対応できるわけです。
一方、選択Ⅱ-2は、取り扱うテーマが一般的ではありません。
個別具体的で、専門的です。
しかも、選択Ⅱ-2は、問題文が他のものとは大き異なる点があります。
問題文の構成です。
問題文は、以下の通りです。
(1)調査、検討すべき事項とその内容について説明せよ。
(2)業務を進める手順を列挙して、それぞれの項目ごとに留意すべき点、工夫を要する
点を述べよ。
(3)業務を効率的、効果的に進めるための関係者との調整方策について述べよ。
一つ一つ見ていきます。
まず、(1)ですが、調査、検討する内容を問われています。
調査、検討を行うということは、計画策定、設計、問題解決等を行うことを意味します。
要するに、コンサルティングです。
つまり、選択Ⅱ-2は、個別具体的で専門的なテーマについて、コンサルティングを行う必要があるわけです。
専門分野に関するテーマは数多くあります。
仕事がコンサルタントだったとしても、全てのテーマについてコンサルティングを経験するのは、無理です。
そうなると、自分が経験したことのあるテーマや、得意なテーマについて、勉強することになります。
例えば、水道の場合、配水施設と浄水施設に大別されます。
配水施設の管路に関する経験があれば、管路の設計と管路の耐震化計画をメインに勉強してしまいます。
ところが、❶水処理の問題解決、➋構造物の設計の2問が出題された場合、管路だけ勉強してたのでは対応できません。
選択Ⅱ-2は、テーマに関する予想は外れてしまうと、全く解答を作成できないわけです。
これが、選択Ⅱ-2を難しくしている主な原因です。
出題されそうなテーマではなく、得意なテーマだけを深堀りする必要があります。
それから、問題文の構成も他とは大きく異なります。
質問(1)で、内容を述べさせます。
質問(2)では、手順や留意点を述べる必要があります。
内容と手順は同じようなものですし、内容と留意点も同じようなものです。
気をつけないと、質問(1)で書いたことを、質問(2)でも書くことになります。
原稿用紙は2枚ですから、文章を書きすぎると紙が足りなくなってしまいます。
この辺のところもあって、選択Ⅱ-2は難しくなっています。
解答をコンパクトにまとめる工夫が必要です。
●選択Ⅱ-2の攻略
選択Ⅱ-2をクリアーすることで、合格する可能性がグッと高まります。
これから、その攻略法を述べていきます。
選択Ⅱ-2を攻略するためには、まずは、テーマに関する予想を的中させなければならいないです。
テーマの予想を的中させるためには、出題者の立場になって考える必要があります。
僕も予想問題を作成するので、出題者心理はよくわかります。
出題者は、模範となる解答のイメージを決めて、そこから逆算して、問題を作ります。
そして、模範となる解答のイメージというのは、オリジナリティあふれるものではなく、一般に常識化されたものです。
つまり、一般に公表されている指針、手引き、報告書の中から、模範となる解答のイメージを作り上げるわけです。
そして、解答にたどり着くよう、逆算して問題文を作るわけです。
そう考えると、ここ1、2年で、国等が公表した手引き、報告書から出題される可能性が高くなるわけです。
国等が認めた今日的なテーマは、出題される可能性が高いです。
それから、各部門で発刊された設計指針も、解答例になるような内容が満載です。
テーマは相当数あるわけですが、一体、何が出題されるのか?
選択Ⅱ-2は2問ありますから、過度に専門的なテーマを出題すると選んでもらえません。
出題者だって人間です。自分の作った問題を解いて欲しいです。
そうなると、多くの人が認める重要なテーマ、つまり、出題頻度の高いテーマが、出題される可能性が高くなるわけです。
今日手なテーマ、出題頻度の高いテーマをピックアップして、こらのうち、調査、検討が必要になるテーマを絞り込みます。
これが重要な作業になります。
もちろんですが、自分の得意なテーマを重点的に勉強をすることは大切です。
得意なテーマで培ったスキルを、苦手だけど重要なテーマについて勉強する際に活かすことができるからです。
しかしながら、自分の得意なテーマだけを勉強していたら、合格する可能性は低くなってしまいます。
苦手だったとしても、重要なテーマについても、深堀りして勉強する必要があるわけです。
●選択Ⅱ-2の解答の構成
選択Ⅱ-2の問題文を、もう一回見てみましょう。
(1)調査、検討すべき事項とその内容について説明せよ。
(2)業務を進める手順を列挙して、それぞれの項目ごとに留意すべき点、工夫を要する
点を述べよ。
(3)業務を効率的、効果的に進めるための関係者との調整方策について述べよ。
この問題文を踏まえると、解答の基本構成は、以下のようになります。
1 調査・検討内容
2 業務の手順と留意点・工夫点
3 関係者との調整方策
まず、「1」です。
調査するべきこと、検討するべきことを述べます。
このため、「1」は、以下のような構成になります。
(1)基本情報の調査
(2)整備方法の検討
シンプルに2項目です。
ただし、これは質問内容が、「設計」について問うものだった場合です。
質問の内容が、「計画の策定」や「具体的な事象に関する問題解決」を問うものであれば、以下のような構成になります。
(1)基本情報の調査
(2)評価・分析
(3)対策の検討
出題された問題を見ると、上述のように(1)から(3)の構成になる問題が多いような気がします。
構成としては、3項目が主流になるわけです。
というわけで、上述の(1)~(3)の3項目について、内容を詳述することで、「1」の部分の解答が完成します。
次に、「2」です。
業務の手順と留意点・工夫点を述べます。
ここで、長々と手順を述べてしまうと、「1」の内容をもう一度説明することになります。
そこで、以下のように書けば、手順を述べることができます。
業務は上述の(1)〜(3)の手順で実施する。
これで大丈夫です。
次に、留意点・工夫点です。
留意点・工夫点の意味ですが、
留意点は、潜在的なリスクに対して、注意を払うべき事柄です。
工夫点は、先々まで考えたら、安全性や効率性を得られので検討するべき事柄です。
これら両方を述べる必要があります。
それから、問題文を見ると、それぞれの項目ごとに、留意点・工夫点を述べることを求めています。
このため、(1)~(3)について、留意点・工夫点を述べる必要があります。
ただし、(1)~(3)の3項目について、留意点と工夫点の両方を述べると、相当な文字数になります。
このため、(1)と(2)は留意点、(3)は工夫点を述べれば、「2」の部分の解答が完成します。
留意点・工夫点の両方を述べているから大丈夫です。
実際のところ、今年の受験生に対して、こうした指導していますが、合格者3名は皆さんA判定でした。
だから大丈夫です。
最後に、「3」です。
関係者との調整方策です。
これについては、『技術士に求められる資質能力(コンピテンシー)』の内容を考慮して作成することが求められます。
『技術士に求められる資質能力(コンピテンシー)』について、知りたい方は、こちら をどうぞ。
特に、コミュニケーション、リーダーシップ、マネジメントの内容が重要です。
具体的には、以下のような内容を述べれば良いです。
関係者間での対面協議に加え、メール審議やリモート会議を実施する。
成果物への要求事項、追加・削減するべき作業等について明確かつ効果的な意思疎通を行い、関係者の利害を調整しながら業務を進める。
これは、ほとんどのテーマで共通です。
これで「3」の部分の解答が完成します。
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●過去問と解答例
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