選択Ⅱー2の攻略【技術士対策37】 | 新見一郎

新見一郎

勉学を通じて成長をナビゲートする講師。
2008年に技術士合格後、「技術士を目指す人の会」を立ち上げ、多数の技術士を輩出。自身も勉学ノウハウを活かして行政書士、世界史検定2級、電験三種に合格。

●選択Ⅱ-2が難しい理由

技術士二次試験は、必須Ⅰ、選択Ⅱ-1、選択Ⅱ-2、選択Ⅲで構成されています。

これら4つのうち、その出来が合否を左右するのは、どれでしょうか?

選択Ⅱ-2です。

選択Ⅱ-2が、最も難易度が高いからです。

では、選択Ⅱ-2の一体何が難しいのか?


必須Ⅰや選択Ⅲは、一般的、抽象的なテーマを扱います。

例えば、上下水道の災害対策を問うような問題です。

こうした問題であれば、何かしらのことを書くことができます。

選択Ⅱ-1は、内容をシンプルに問うものです。

しかも、問題が4問あります。予想したテーマが1問は含まれているので、何とか対応できるわけです。

一方、選択Ⅱ-2は、取り扱うテーマが一般的ではありません。

個別具体的で、専門的です。

しかも、選択Ⅱ-2は、問題文が他のものとは大き異なる点があります。

問題文の構成です。

問題文は、以下の通りです。

(1)調査、検討すべき事項とその内容について説明せよ。

(2)業務を進める手順を列挙して、それぞれの項目ごとに留意すべき点、工夫を要する

点を述べよ。

(3)業務を効率的、効果的に進めるための関係者との調整方策について述べよ。

一つ一つ見ていきます。

まず、(1)ですが、調査、検討する内容を問われています。

調査、検討を行うということは、計画策定、設計、問題解決等を行うことを意味します。

要するに、コンサルティングです。

つまり、選択Ⅱ-2は、個別具体的で専門的なテーマについて、コンサルティングを行う必要があるわけです。

専門分野に関するテーマは数多くあります。

仕事がコンサルタントだったとしても、全てのテーマについてコンサルティングを経験するのは、無理です。

そうなると、自分が経験したことのあるテーマや、得意なテーマについて、勉強することになります。

例えば、水道の場合、配水施設と浄水施設に大別されます。

配水施設の管路に関する経験があれば、管路の設計と管路の耐震化計画をメインに勉強してしまいます。

ところが、❶水処理の問題解決、➋構造物の設計の2問が出題された場合、管路だけ勉強してたのでは対応できません。

選択Ⅱ-2は、テーマに関する予想は外れてしまうと、全く解答を作成できないわけです。

これが、選択Ⅱ-2を難しくしている主な原因です。

出題されそうなテーマではなく、得意なテーマだけを深堀りする必要があります。

 

それから、問題文の構成も他とは大きく異なります。

質問(1)で、内容を述べさせます。

質問(2)では、手順や留意点を述べる必要があります。

内容と手順は同じようなものですし、内容と留意点も同じようなものです。

気をつけないと、質問(1)で書いたことを、質問(2)でも書くことになります。

原稿用紙は2枚ですから、文章を書きすぎると紙が足りなくなってしまいます。

この辺のところもあって、選択Ⅱ-2は難しくなっています。

解答をコンパクトにまとめる工夫が必要です。

 

 

●選択Ⅱ-2の攻略

選択Ⅱ-2をクリアーすることで、合格する可能性がグッと高まります。

これから、その攻略法を述べていきます。

選択Ⅱ-2を攻略するためには、まずは、テーマに関する予想を的中させなければならいないです。

テーマの予想を的中させるためには、出題者の立場になって考える必要があります。

僕も予想問題を作成するので、出題者心理はよくわかります。

出題者は、模範となる解答のイメージを決めて、そこから逆算して、問題を作ります。

そして、模範となる解答のイメージというのは、オリジナリティあふれるものではなく、一般に常識化されたものです。

つまり、一般に公表されている指針、手引き、報告書の中から、模範となる解答のイメージを作り上げるわけです。

そして、解答にたどり着くよう、逆算して問題文を作るわけです。

そう考えると、ここ1、2年で、国等が公表した手引き、報告書から出題される可能性が高くなるわけです。

国等が認めた今日的なテーマは、出題される可能性が高いです。

それから、各部門で発刊された設計指針も、解答例になるような内容が満載です。

テーマは相当数あるわけですが、一体、何が出題されるのか?

選択Ⅱ-2は2問ありますから、過度に専門的なテーマを出題すると選んでもらえません。

出題者だって人間です。自分の作った問題を解いて欲しいです。

そうなると、多くの人が認める重要なテーマ、つまり、出題頻度の高いテーマが、出題される可能性が高くなるわけです。


今日手なテーマ、出題頻度の高いテーマをピックアップして、こらのうち、調査、検討が必要になるテーマを絞り込みます。

これが重要な作業になります。

 

もちろんですが、自分の得意なテーマを重点的に勉強をすることは大切です。

得意なテーマで培ったスキルを、苦手だけど重要なテーマについて勉強する際に活かすことができるからです。

しかしながら、自分の得意なテーマだけを勉強していたら、合格する可能性は低くなってしまいます。

苦手だったとしても、重要なテーマについても、深堀りして勉強する必要があるわけです。


●選択Ⅱ-2の解答の構成

選択Ⅱ-2の問題文を、もう一回見てみましょう。

(1)調査、検討すべき事項とその内容について説明せよ。

(2)業務を進める手順を列挙して、それぞれの項目ごとに留意すべき点、工夫を要する

点を述べよ。

(3)業務を効率的、効果的に進めるための関係者との調整方策について述べよ。

この問題文を踏まえると、解答の基本構成は、以下のようになります。

 

1 調査・検討内容

2 業務の手順と留意点・工夫点

3 関係者との調整方策

 

まず、「1」です。

調査するべきこと、検討するべきことを述べます。

このため、「1」は、以下のような構成になります。

(1)基本情報の調査

(2)整備方法の検討

シンプルに2項目です。

ただし、これは質問内容が、「設計」について問うものだった場合です。

質問の内容が、「計画の策定」や「具体的な事象に関する問題解決」を問うものであれば、以下のような構成になります。

(1)基本情報の調査

(2)評価・分析

(3)対策の検討

出題された問題を見ると、上述のように(1)から(3)の構成になる問題が多いような気がします。

構成としては、3項目が主流になるわけです。

 

というわけで、上述の(1)~(3)の3項目について、内容を詳述することで、「1」の部分の解答が完成します。

 

次に、「2」です。

業務の手順と留意点・工夫点を述べます。

ここで、長々と手順を述べてしまうと、「1」の内容をもう一度説明することになります。

そこで、以下のように書けば、手順を述べることができます。

 業務は上述の(1)〜(3)の手順で実施する。

これで大丈夫です。

次に、留意点・工夫点です。

留意点・工夫点の意味ですが、

留意点は、潜在的なリスクに対して、注意を払うべき事柄です。

工夫点は、先々まで考えたら、安全性や効率性を得られので検討するべき事柄です。

これら両方を述べる必要があります。

それから、問題文を見ると、それぞれの項目ごとに、留意点・工夫点を述べることを求めています。

このため、(1)~(3)について、留意点・工夫点を述べる必要があります。

ただし、(1)~(3)の3項目について、留意点と工夫点の両方を述べると、相当な文字数になります。

このため、(1)と(2)は留意点、(3)は工夫点を述べれば、「2」の部分の解答が完成します。

留意点・工夫点の両方を述べているから大丈夫です。

実際のところ、今年の受験生に対して、こうした指導していますが、合格者3名は皆さんA判定でした。

だから大丈夫です。

 

最後に、「3」です。

関係者との調整方策です。

これについては、『技術士に求められる資質能力(コンピテンシー)』の内容を考慮して作成することが求められます。

『技術士に求められる資質能力(コンピテンシー)』について、知りたい方は、こちら をどうぞ。

特に、コミュニケーション、リーダーシップ、マネジメントの内容が重要です。

具体的には、以下のような内容を述べれば良いです。

 関係者間での対面協議に加え、メール審議やリモート会議を実施する。

 成果物への要求事項、追加・削減するべき作業等について明確かつ効果的な意思疎通を行い、関係者の利害を調整しながら業務を進める。

これは、ほとんどのテーマで共通です。

これで「3」の部分の解答が完成します。

 

 

※ 【技術士対策】の1つ前を読みたい方は こちら をどうぞ

 

●技術士試験対策シリーズ

※ 【技術士対策25】「題意」に答えるために何をすればいいのか? を読みたい方は こちら をどうぞ

※ 【技術士対策24】「観点」とは何か? を読みたい方は こちら をどうぞ

※ 【技術士対策20】「DXの推進」 を読みたい方は こちら をどうぞ。

※ 【技術士対策13】「AIによる更新計画」 を読みたい方は こちら をどうぞ。

※ 【技術士対策5】「コンポスト化」 を読みたい方は こちら をどうぞ。

 

●下水道の基礎知識

※「アセットマネジメントとストックマネジメントの違い」については こちら をどうぞ。

※「資源の循環」については こちら をどうぞ。

※「水の循環」については こちら をどうぞ。

※「下水道による排除・処理」については こちら をどうぞ。

※「新下水道ビジョン加速戦略」については こちら をどうぞ。

※「下水道未整備地区」 を読みたい方は こちら をどうぞ。

 

●技術士に求められる資質能力(コンピテンシー)

※ 解説を読みたい方は こちら をどうぞ。

 

●技術士の勉強法

※ テキストを見たい方は、 こちら をどうぞ。

※ 口頭試験対策を見たい方は、 こちら をどうぞ。

 

●過去問と解答例

※ 令和3年度の試験問題(上水道及び工業用水道)と解答例を見たい人は、こちら をクリックしてください。

※ 令和2年度の試験問題(上水道及び工業用水道)と解答例を見たい人は、こちら をクリックしてください。

※ 令和元年度の試験問題(上水道及び工業用水道)と解答例を見たい人は、こちら をクリックしてください。

※ 平成30年度の試験問題(上水道及び工業用水道)と解答例を見たい人は、こちら をクリックしてください。