要領よく習得する方法 | 技術士を目指す人の会

技術士を目指す人の会

勉学を通じて成長をナビゲートする講師。
2008年に技術士合格後、「技術士を目指す人の会」を立ち上げ、多数の技術士を輩出。自身も勉学ノウハウを活かして行政書士、世界史検定2級、電験三種に合格。

『たいていのことは20時間で習得できる』という本を読みました。

この本は、スキルの習得法について書かれています。

 

 
 

 

●20時間で習得できる

日本版のタイトルは、『たいていのことは20時間で習得できる』になっています。

このタイトルは、盛りすぎている感があります。

でも、内容を読んでみると、ちゃんといいことが書いてあります。

そもそもですが、習得と言っても、プロレベルに到達することを前提にしていません。

それから、語学のように、憶えるべきことが多いことも想定していません。

当然、資格試験に合格するようなものとも違います。

例えば、作者は、囲碁、ウクレレ、タッチタイピング、ウィンドサーフィン等を20時間で習得したそうです。

これは、これでとてもスゴイことです。

 

ただ、前述したとおり、資格や語学と異なり、これらはルールややり方が確立されています。

スクールに行って、やり方を教えてもらって、練習すれば、一定レベルに到達するはずです。

当然、普通のやり方で、たったの20時間では習得できません。

何かをやり始めた時、最初の20時間で壁があるのだそうです。

ここで、多くの人が挫折するわけです。

つまり、20時間以内に要領よく習得するためには、最初の壁を早々に乗り越える必要があるわけです。

その内容を紹介したいと思います。

 

●要領よく習得する方法

作者は、「超速スキル獲得法」と銘打って、10のルールを記しています。

以下のとおりです。

 

1 魅力的なプロジェクトを選ぶ

2 一時に1つのスキルにエネルギーを集中する

3 目標とするパフォーマンスレベルを明確にする

4 スキルをサブスキルに分解する

5 重要なツールを手に入れる

6 練習の障害を取り除く

7 練習時間を確保する

8 すぐにフィードバックが返ってくる仕組みをつくる

9 時計のそばで一気に練習する

10 量と速さを重視する

 

魔法のようなものでうなく、一般的なコツを抽象化したわけです。

ただ、これら10のツールのうち、極めて重要なのものが3つあります。

 

この本には、作者がタッチタイピングを習得した話を掲載しています。
僕らが一般的に使っているキーボードの配列は、QWERTYという形式です。

ところが、キーボードの配列というのは、これ以外にも存在していて、もっと、疲労が少なく早く入力できる形式があるのだそうです。

それはColemakという形式です。

作者は、この形式にキーボードを変更しました。

それから、画面上にランダムでアルファベットと記号が出てくるタイピングプログラムを作りました。

これを入力して間違っていたら先に進めず、正解なら先に進ます。

そして、タイピング速度も表示されます。

練習した結果、60分で60語を入力できるようになったそうです。

20時間で、かなりのレベルに到達したわけです。、

すごいですね。

 

この事例と先ほどの10のツールを照らし合わせると、何が重要なのか浮かびあがってきます。

 

まず、①つ目は、「重要なツールを手に入れる」です。

先ほどの事例では、Colemak形式のキーボードです。

②つ目は、「すぐにフィードバックが返ってくる仕組みをつくる」です。

先ほどの事例では、タイピングプログラムです。

③つ目は、「量と速さを重視する」です。

先ほどの事例では、タイピング速度の表示です。

 

スポーツなら、

①道具、ルールブック、お手本となる選手の動画を手に入れる

②自分がプレイしている時の動画を撮影し、お手本との違いをチェック

 (誰かにフォームをチェックしてもらい指摘してもらうのがベスト)

③集中して回数をこなす

なのでしょうね。

なるほですね。

 

●勉強に応用する

10のルールを勉強に応用してみます。

 

1 魅力的なプロジェクトを選ぶ

魅力的とは、リターンが大きいという意味ではなく、自分が夢中になれるという意味です。

つまり、勉強の場合、自分が好きなテーマを選んで勉強することを意味します。

 

2 一時に1つのスキルにエネルギーを集中する

勉強の場合、テーマを1つ限定することを意味します。

例えば、教養や社会科ではなく、世界史に絞り込んで、集中して勉強した方が、効率がいいわけです。

 

3 目標とするパフォーマンスレベルを明確にする

勉強の場合、資格取得を目標にするのが有効です。

例えば、世界史であれば、世界史検定2級とかを目標にすればいいです。

ただ、パフォーマンスという意味では、何らかのアウトプットすることが前提になっています。

そう考えると、世界史に関するブログを作るとか、クイズ番組で優勝するとか、そういった目標が必要になります。

 

4 スキルをサブスキルに分解する

勉強の場合、スキルという意味では「読解する」、「文章化する」、「計算する」、「記憶する」に細分化できます。

例えば、世界史に関するブログを作るのであれば、「読解する」、「文章化する」が必要です。

さらに、ブラッシュアップするという工程が必要になります。

クイズ番組で優勝するのであれば、「読解する」、「記憶する」が必要です。

さらに、想起できるか確認するという工程が必要になります。
勉強の場合、自分がどの工程をどれくらいできているのか、客観的に把握することが重要になります。

 

5 重要なツールを手に入れる

勉強の場合、参考書、参考文献等がツールにあたります。

カリスマ講師の動画とかも有効なツールです。

ただ、これはインプットに関するツールです。

アウトプットに関するツールも手に入れる必要があります。

問題集、模擬試験等がそれです。

 

6 練習の障害を取り除く

勉強の場合、気が散るようなものを取り除きます。

環境の確保です。

例えば、スマホ、テレビといったものを置かないようにします。

部屋の中から、勉強に関係ない物を運び出します。

逆に、参考書や問題集等は、すぐに取り出せる状態にします。

 

7 練習時間を確保する

勉強の場合、勉強時間を先に確保することを意味します。

朝一番に勉強すると、必然的に勉強時間を先に確保することになります。

頭の回転も早いので、相乗効果が期待できます。

 

8 すぐにフィードバックが返ってくる仕組みをつくる

勉強の場合、正誤が早く解る仕組みを確保することを意味します。

例えば、五肢択一式の試験を受験するとします。

勉強段階で、五肢択一式の問題を解いていると、5つの選択肢の正誤を考えて、答を選択する必要があります。

しかし、これでは正誤のフィードバックが遅いです。

五肢択一式の問題をバラバラにして、一問一答の正誤問題に再編します。

これなら正誤のフィードバックが早いです。

 

9 時計のそばで一気に練習する

時間を計って、集中して勉強することを意味します。

この本では20分間図って、作業に没頭することを推奨しています。

火山学者の鎌田浩毅さんは、15分を推奨しています(詳しく見たい方は、こちら をどうぞ)

時間区切りは、人それぞれですが、1時間と2時間とかではなく、数十分程度、集中することが推奨されています。

こうした集中した時間の積み重ねが、習得の時短に繋がります。

 

10 量と速さを重視する

1つのことについて完璧を目指して長時間精査するよりも、クオリティをそこそににして回数をこなした方が成果が上がります。

勉強の場合、問題を解く量を増やすことを意味します。

例えば、述試験対策であれば、70%くらいの出来で文章作成を終了して、次から次へと問題をこなした方がいいです。

アウトプットの回数を増やした方が、上達するからです。

択一式試験対策も同じです。

難問に対峙するのではなく、普通レベルの問題を次から次へとこなした方が得点はアップします。
なぜなら、アウトプットの回数を増やした方が、上達するからです。