■ 数式を理解するための知識への心構え!?
システムトレードにおける戦略を考えるヒントを得るために数学・物理学
など経済以外の分野に求めることは有効な手段です。
しかし、科学的な分野は数式によって表現されることが多く、多くの方
がヒントを得るどころか、「数式」という障壁の前に挫折を味わうことになる
でしょう。だからといって臆する必要はありません。なぜなら、
数式を理解するための知識を得ればいい!
からです。ただし、決して簡単なことではありません。簡単ではない分、
地道な努力が必要です!
そして、その地道な努力は量に応じて他分野から様々な知識を習得する
形で報われるでしょう。では今回紹介する知識に話を移します!
■ 前回扱った内容
「相加平均」をExcelとPower Languageで表現する
■ 今回扱う知識は「直積:Direct product」
【意味】
直積とは字の如く「全体の積」であり全てを乗算するという意味になります。
【事例】
例えばX1、X2、X3という変数があるとします
X1=100
X2=98
X3=91
と定義されるとき、これらの直積は、
X1 * X2 * X3 =100 * 98 * 91 =891800
となります。(*「アスタリスク」は乗算の×の意味))
【記号による表記】
直積を表す記号はギリシャ文字のΠ(パイの大文字)です。
と表現されます。「i」は変数指定のパラメーターであり、
Π記号の下部は変数指定の初期値、上部は変数指定の終端を示します。
※ 参考-ギリシャ文字についてはこちら ♪
【直積の一般項】
ある系列Xの直積を初期値k項からn項までの一般項で示しますと、
と表現されます。事例では、パラメーター i の初期値k項が1、n項が
3項までの直積表現となります。
【時系列データではない場合のパラメーター表記事例】
変数を指定するパラメーターは直積を行うデータの形式によって
変化します。直積をするデータに時間の流れが無い場合の事例を
示します。
非時系列データ | ||
No | 価格 | 変数対応 |
1 | 1 | X1 |
2 | 5 | X2 |
3 | 2 | X3 |
4 | 3 | X4 |
5 | 4 | X5 |
6 | 5 | X6 |
7 | 3 | X7 |
8 | 8 | X8 |
9 | 9 | X9 |
10 | 5 | X10 |
【時系列データの場合のパラメーター表記事例】
金融市場における値段は時間の流れとともに形成されるため、
データは時系列データになります。よって指定する変数は時間
に従った形式で指定する必要があるため、
一般的に時系列データの場合の表現は、現在時間を t として時系列Xを表現します。
時系列データ | ||
日付 | 価格 | 変数対応 |
2011-1-1 | 1 | Xt-9 |
2011-1-2 | 5 | Xt-8 |
2011-1-3 | 2 | Xt-7 |
2011-1-4 | 3 | Xt-6 |
2011-1-5 | 4 | Xt-5 |
2011-1-6 | 5 | Xt-4 |
2011-1-7 | 3 | Xt-3 |
2011-1-8 | 8 | Xt-2 |
2011-1-9 | 9 | Xt-1 |
現在 | 5 | Xt-0 |
※変数対応は Xt-i を基に作成 |
となります。データ数はn=10ですが、パラメーターの終点は現在値の変数対応
がi=0から始まるため、「データ数 n から1を減算し9」となります。
全く同じデータでも系列の扱い方で変化することが面白いところです。
■ 今回学ぶべき数学的知識
① 直積 (参照先:Wikipedia)
② Π (参照先:Wikipedia)
【次回予告】
以上で直積の意味と表現は終了です。出来る限り多くの事例を
示しましたが一度に理解するのは難しいかもしれません。直積は
頻出はしませんが重要な概念であるため徐々に慣れていけば宜
しいかと思います!
次回は直積をExcelとプログラミング言語で表現してみます♪