翻訳の仕事がなかなか増えない人は、言語ペアや専門分野の選び方を間違っているかもしれません | 翻訳で食べていく方法★プロの翻訳者養成所
2023-06-29 14:44:46

翻訳の仕事がなかなか増えない人は、言語ペアや専門分野の選び方を間違っているかもしれません

テーマ:翻訳の仕事をたくさん取る方法

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翻訳の仕事で成功するために必要なことというと、どうしても「訳文の質」というものにフォーカスしがちですが、実は他にも大事なことがあります。

 

(もちろん、訳文の質を上げるためのブラッシュアップ、レベルアップ、スキルアップは欠かせない訓練です)

 

恐らく、これから翻訳を仕事にしようと考えている人は、「自分の得意な外国語を仕事にしよう」と思っていることでしょう。

 

また、「自分の得意な分野を仕事にしよう」と思っている人もいるでしょう。

 

つまり、自分ができる(流暢に話せる、かなり理解できる)言語を使って、自分の得意な分野や経験してきた分野で翻訳の仕事をしようと思っている人がほとんどだと思います。

 

ただ、これが翻訳の仕事をするにあたって躓きの原因となる場合もあります。

 

つまり、「仕事がなかなか増えない」「継続して仕事をもらえない」などといった躓きです。

 

「仕事がなかなか増えない」「継続して仕事をもらえない」理由が、自分の書く訳文の質が、顧客の求めるレベルに達していないからだと考えている人が多いと思います。

 

あるいは、業界の競争が激しいため、順番的に自分に仕事がなかなか回ってこないのだ、と考えている人もいるかもしれません。

 

もちろん、そういった理由もあるでしょう。

 

しかし、必ずしもそれだけが理由とは言い切れません。

 

 

UnsplashYosep Surahmanが撮影した写真

 

 

 

「自分の得意な外国語」で「得意な分野の仕事」を待っているとき、その「需要」について考えたことはあるでしょうか?

 

翻訳の需要がない言語、分野で仕事を待っていても、その授業がゼロではないにしても、少ない需要では、なかなか思うように仕事は回ってきません。

 

それこそ、業界の競争で、先輩の翻訳者や自分よりも良い翻訳者に仕事が優先的に回されていくでしょう。

 

ですから、特にまだ実績が少なく、これからキャリアを積んでいかなければならない駆け出しの翻訳者は、可能であれば、「自分の得意な外国語」や「得意な分野」に拘らず、「需要のある」外国語と分野に焦点を当てて翻訳をする訓練をするということも、検討してみる価値はあると思います。

 

もちろん、新しい言語を学んだり、全く知らない分野に飛び込むのは、仕事を始めるにあたってはあまり現実的ではないかもしれません。

 

ただ、英語だけでなく、他の言語もできる人であれば、翻訳の仕事を始めるにあたって、英語に拘らず他の言語も仕事の対象にしてみる(そのために、少し突っ込んでその言語を学び直してみる)とか、需要の高い分野について、ちょっと深く勉強してみて、スキルを磨いてみる(こちらのほうが現実的かもしれません)のは、やってみる価値があるのではないでしょうか。

 

いずれにしても、あらためて一から勉強するのはちょっと現実的でないにしても、他の言語ができる人や、需要のある分野の知識がある人であれば、今自分が考えている外国語や専門分野に拘らず、需要のある分野で仕事を始めてみるというのも手だと思います。

 

実は、私の駆け出しのころがそういう感じでした。

 

翻訳や通訳の仕事をできるレベルの外国語は英語で、他の言語はそこまでのレベルに達していませんでした。

 

ですので、最初は英語で翻訳の仕事をすることを考えていました。

 

また、分野も、ビジネス全般的なな分野と考えていましたが、知識や経験はあったものの、翻訳の仕事まではできると思っていなかった「金融」「法律」の分野も自分の翻訳の専門分野に加えることにしました。

 

もちろん、そのために勉強しなおしたり、さらに知識や経験を深めるために新たに勉強をしたりセミナーに通ったりもしました。

 

その甲斐あってか、スペイン語やポルトガル語の法律関係の仕事が入ってくるようになり、いつの間にか、その翻訳会社では私はポルトガル語の法律文書の専門翻訳者という立ち位置になっていました。

 

そうやってやっているうちに、徐々に英語の案件ももらえるようになっていきました。

 

また、他の分野の担当者からも、横のつながりで「いい日本語の翻訳者がいるよ」と他のプロジェクトに紹介してもらえ、ファッションや旅行、小売りなどの仕事も担当させてもらえるようになっていました(誰もが知っているようなファッションブランドや航空会社まで)。

 

今では、金融や法律の専門家というよりは、マーケティング(キャッチコピーなど)の専門家といった立ち位置になっているようです。

 

そのため、製造業、IT、自動車、化学、医薬などなど、(節操なく)さまざまな分野の案件が紹介されます。

 

もちろん、それらの仕事は、専門的な内容ではなく、顧客向けの資料や広告、標語や社内向けの資料などで、どちらかというと言葉の訴求力が求められる題材が多いので、私に仕事が回ってくるわけですが、専門的な知識がないと難しいような仕事はお断りするか、専門的な知識のチェックをその企業の担当者の方にお願いして、私は言語的な要素だけを担当させてもらうようにしています。

 

ということで、駆け出しの翻訳者の方、これから翻訳を仕事にしたいけど、どんな分野を選んだら良いか分からないという人は、次の2つのポイントを意識して、外国語や分野を選んでみると良いと思いますので、参考にしてみてください。

 

ある意味、当たり前のことなのですが、仕事を始めようとしている人が意外と見落としていることがあるので、仕事がなかなか増えないという人も含めて、できない人もいるかもしれませんが、この2つのポイントで的を絞ってみてください。

 

どちらか1つでも良いと思います。

 

ハチハチハチ

 

①仕事の多い分野を選ぶ

 

あまり需要の多くない分野を狙ってはだめです。

 

たとえば、「ビジネスレター」とか「広告」とか。

 

マーケティング資料となれば、また別の話(こちらはすごく需要がある)なのですが、「広告」は、その国や地域、マーケットの特性に合わせてキャッチコピオ―などを作ったりするので、基本的に翻訳に依存しません(最近は広告をまるごと翻訳しているような事例も増えている感じですが)。

 

「ビジネスレター」も、特に海外経験のある人は自分の得意とするところだったりするので、翻訳の仕事としてもやりたい人が少なからずいるようですが、これも、実はその地域特性やマーケットに合わせて作るので翻訳に馴染まないというのもありますが、それよりも何よりも、ビジネスレターくらいなら書けるという人が実は多く、高いお金を払って翻訳をしてもらいたいという需要がそれほどないのです。

 

特に重要なビジネスレターや専門的な文書であるために、プロの力を借りたいというレベルの翻訳であれば、それはそれで、かなり高いスキルを必要とする翻訳作業になるので、気軽に引き受けられるようなレベルの仕事ではありません。

 

しかも、そのレベルになると、やはり需要はそれほど多くないのです。

 

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②仕事の多い言語を選ぶ

 

日本語に翻訳するか外国語に翻訳するによって多少の違いはあるかもしれませんが、翻訳の仕事で最も多い組み合わせは英語と日本語であることは間違いないでしょう。

 

英語ではなく、別の希少言語から和訳する仕事の場合、直接その言語から翻訳できる人がいればいいのですが、いない場合は、一旦英訳をしてから和訳するというプロセスを経ることもよくあります。

 

この需要も含めて、英語の需要はとても多いです。

 

とはいえ、英語を仕事にしている翻訳者が多いというのも事実で、そこはいずれにしても激戦になるというわけです。

 

それでも、仕事が絶対的に多いという事実はあるので、いくら自分が希少言語が得意だからといって、たとえばカタルーニャ語を専門として翻訳の仕事を募集しても、それほど多くは仕事がもらえません。

 

少なくとも、継続的に仕事をもらっていくのは難しいでしょう。

 

そういう意味でも、やはり英語(英和・和英)の翻訳のスキルを磨く方がずっと将来性があります。

 

ただ、英語以外の言語でも、需要が多い言語はあります。

 

先程も言ったように、その言語の翻訳をできる人がいない場合、英訳をしてから英和の翻訳をしてもらうという過程を経ることはあります。

 

それでも、需要の多い(英語以外の)言語であれば、直接翻訳できる人はかなり欲しがられます。

 

分野によっても需要のばらつきはありますが、やはり多いのは「スペイン語」「フランス語」「中国語」「韓国語」といったところでしょうか。

 

具体的にどの言語の需要が高いのか、私には根拠を示せるだけの知識もデータもないのですが、その辺は、その言語をできる人であれば、自分の言語が需要の高い言語であるかどうかお分かりになると思います。

 

ちなみに、私ができる言語の中で需要が意外に高いのは「ポルトガル語」

 

意外に低いのは「フランス語」

 

私は日本語に翻訳する仕事をしている関係で、逆の場合はよく分からないのですが、ポルトガル語から日本語への需要はとても多いです(これは逆もとてもおおいですが)。

 

これは、やはり経済活動や交流活動がどれだけ活発化ということが影響しているのではないでしょうか。

 

ですので、私が担当しているポルトガル語の案件は、ほとんどがブラジルの仕事です。

 

ポルトガル本国やアフリカなどその他のポルトガル語圏の仕事はほとんどありません。

 

これと同じ考え方がフランス語にも適用されると思うのですが、フランス語の仕事はそこまで多くありません。

 

確かにレギュラーで担当している仕事(フランス語圏の企業の案件)はあるのですが、ポルトガル語の案件に比べるとパイが違う気がします。

 

これは①(仕事の多い分野)とも関係していると思いますが、フランス語の仕事で多いと感じる分野としては、観光やファッションは多いと思うのですが、意外かもしれませんが「金融」分野も多い気がします。

 

これは、スイスがあるからだと思います。

 

私が担当しているフランス語の金融分野の仕事は、ほとんどがスイスの企業(銀行やヘッジファンドなど)です。

 

翻訳の仕事で最も多いのは、やはり圧倒的に英語で、英語の仕事はいつでもあるのですが、それでも駆け出しの人にはなかなかチャンスが来ないかもしれません。

 

そういう場合、他の言語ができる人であれば、上で言ったようなポイントに注意しながら、需要がある言語であれば、その言語の仕事も引き受けられるようにしておくと良いと思います。

 

一つの外国語で仕事レベルの和訳ができるようになれば、あとは他の言語(英語も含め)の原文であっても、それほどハードルは高くないと思います。

 

ですので、仕事をもらいやすい外国語で経験を積んでいき実績を残せば、徐々に英語の案件も回してもらえるようになると思います。

 

かたつむりかたつむりかたつむり

 

先程も言ったように、これは誰もが簡単にできることではないと思います。

 

ただ、「これからどういう分野の翻訳をしようかな」と考えている人であれば、分野の絞り方として、上で言ったようなポイントを踏まえて絞ってみると良いと思います。

 

また、英語以外の言語ができる人は、他の言語で売った方が仕事をもらいやすいかもしれませんので、その言語を自分の翻訳言語に加えてみると良いと思います。

 

その際、需要のある言語でないと、あまり意味がありませんので要注意です。

 

希少言語で、翻訳者の競争が少ないからといって、需要のない言語で待っていても、なかなか仕事はもらえません。

 

しかし、需要のある希少言語もあります。

 

それには、分野との組み合わせを考えることも大事です。

 

たとえば、私がやっているポルトガル語は、需要があるのですが、分野としては、法律関係は多いですが、金融はそれほどでもない、ビジネスや農業関係も多い気がします。

 

以上のような観点から、外国語と分野を選ぶのも、戦略的には大いに効果があることだと思いますので、検討してみてください。

 

最後までお読みくださり、ありがとうございました。

 

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