佐藤 美月☆庄内多季物語工房 ~心のエネルギー補給スペースへようこそ~

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山形県庄内からの新鮮便。採れたての物語を召し上がれ。


短い物語の泉の底に、きらりと光るあなただけの天然石が、きっと見つかる。それは、月の光と力を宿すと言われている、神秘的なムーンストーンかも知れないし、『カリブ海の宝石』と異名を取るほどの瑞々しい美しさを誇る、ラリマーかも知れない。
腕を伸ばして拾い上げ、水滴を弾く煌めきに暫しの間、魅入った後は、お好みのアクセサリーにして、さりげなく身に付けてみて。きっと、昨日とは確実に、世界の手触りが違っている筈。
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フジとトウは、聞き慣れない言葉を耳にしたことで、お互いに、一瞬顔を見合わせた。

それから再び少年の方に向き直ると、今度は口々に、質問を浴びせた。

「ドリームゴーランドって何さ?」

「木馬をどうやって調教するんだい?」

細身の少年は、胸の前で組んでいた腕を解くと、今度は腰の両脇へと、両手を宛がった。

「色々と質問が多いな。

悪いけど、出発を今夜に控えているから、その準備で手一杯なんだ。

いちいち事細かに、説明している暇は無いんだよ。

…‥だけど、きみ達は、その年齢で、ここに来ているところを見ると、幼い頃、きっとこの遊園地で、良く遊んだんだろうね。

それで、別れを惜しむつもりで、久々にこの場所に来てみたってわけだ。

違うかい?

フジとトウは、自分達の状況を見事に言い当てられたので、戸惑いつつも、頷いて答えた。

「ああ。懐かしい、想い出の場所だよ」

「小さい頃は、幾ら遊んでも、遊び飽きないくらい、楽しかった」

細身の少年は、そこで初めて、フレンドリーな笑顔を見せた。

「そうだろうと思ったよ。

それなら、メリーゴーランドの木馬達に、特別な想い入れがあったっておかしくないね。

そういうことなら、きみ達を特別に、真夜中の遊園地に招待してあげよう。

きっと木馬達も、昔馴染みのきみ達に、有終の美を飾る場面を、見守っておいて欲しいだろうからね。

今夜、午前零時になる瞬間に間に合うように、もう一度、この遊園地に来てみると良いよ。

そうしたら、きみ達が疑問に感じていることも、理解出来るだろうからね。

…‥あ、それとも

細身の少年は、そこで一旦言葉を切ると、悪戯っ子のように、ふてぶてしく微笑んだ。

「パパとママの監視の目が怖くて、夜中には、家を抜け出て来られないかな?」

すると、フジとトウは、向きになって、競うように、こう答えた。

「そんなこと、あるもんか!」

「そうさ! 余裕で抜け出して来られるに決まってる!」

十代半ばに差し掛かった少年達には、子供扱いされるのが、最も癪に障ることの一つだった。

細身の少年は、したり顔で頷くと、ズボンのポケットに手を差し入れ、何かを取り出す仕草をした。


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・・・ドリームゴーランド〈全十夜~第四夜~〉へと続く・・・



義理チョコ佐藤美月は、小説家・エッセイストとして、活動しております。執筆依頼は、こちらから承っております。→執筆依頼フォーム