先日…娘から言われた。
ほんと、パパもママも受験生の親っぽくないよね、と。
そう、彼女は大学受験をする高校三年生。
同じ境遇の親の中には、子どもがインフルエンザに罹患してはいけない…と自らも会合を欠席する人すらいる。
へ~っ!と驚いてしまう。
大学受験は、単なる”通過点”にすぎない。
長い人生、その一瞬の結果ですべてが決まってしまうわけではないことは、私自身がよく知っている。
おそらく私が動揺せずにすむのは、娘に確固たる「したいこと」があるからだ。
彼女が進路変更をして、日本舞踊で食べていくと言ったのは中学3年のことだった。3歳から習い事として気軽にやってきたことが、将来の道につながるなんて‥文字通り”夢にも”思っていなかった。
「好きこそものの上手なれ」とは、よく言ったものだ。
そうすると決めてからの彼女は、すごかった。
内弟子として師匠宅へ通い、お稽古の他に「弟子業(所作や礼儀作法、人間関係への配慮など)」を学んだ。そのために進学校から通信制の高校へ転校した。
次に、日本文化に関する分厚い辞書のような本を、図書館から借りてきた。
東京と札幌を往復しながら舞台をまめに観に行った。歌舞伎や花柳界についても動画やSNSで調べていた。
誰に指示されることなく、自らの意思で勉強をしたし、高校の単位取得や進路書類の記入もひとりでおこなった。
このような娘に、母親の私が口出すことが何かあろうか。
ああ、ひとり暮らしに必要な経済観念を教え、料理づくりへのアドバイスはした。
発達障害のある後輩との付き合い方について、専門的立場から相談にのったこともある。
そう、我が家の子育て論は「自立」で、夫婦が一致している。
自立とは、ひとり勝手に生きていくことではない。
他者からの求めに応じ、援助に感謝しながら生きるのと、ひとり時間を楽しむことは両立できる。
自分にとって居心地のよい生活を形成しつつある彼女を、親は見守ることしかできないだろう。
それに、50歳を超えてから大学・大学院で学び直しをした私は、必要あれば時期にこだわらずともいくつ大学へ行ってもいいこともわかっている。
とにかく勉強を嫌いになってほしくない、と願う。
だから、大学受験はそれほど焦ることはない。
結果が希望通りではなかったのなら、浪人をしてもよい。それも人生勉強のひとつだ。
すでに彼女は、日本舞踊の名取試験に合格している。
どこかの舞台やお座敷で踊って、生活費を稼いでくるよう伝えている(笑)。
まあ、人生なんてどうとでもなるものだ。
ということで2024年1月12日。
娘のことを放っておいて夫婦で小旅行をする準備をしながら。
あなたも、よい連休を。