国指定名勝 海地獄
℡)0977‐66‐0121
往訪日:2022年7月22日
所在地:大分県別府市大字鉄輪559‐1
営業時間:8時~17時(年中無休)
入場料:一般400円 小人200円
アクセス:大分自動車道・別府ICから約5分
駐車場:約60台
《なんか飲んでみたくなるのは僕だけか?》
ひつぞうです。今回初めて大分の温泉に遠征しました。隣県の出身ですが、逆に近いといかないもの。待っていては機会はやってこないと、機上の人となることを一念発起。まずは大分市内でプチ観光。以下、往訪記です。
★ ★ ★
海地獄は鶴見岳の噴火が齎した熱泉のひとつだそうだ。そもそも《地獄》と呼ばれる噴気孔は、鉄輪(かんなわ)地区のあちこちにあり、古来、住民にとっては頭を悩ませるだけの邪魔な存在だった。というのは、大雨が降るたびに酸性の泥流が田畑に流入して作物を根絶やしにしてしまい、時には牛馬が落ち込む被害も起きたからだ。
そんな鼻つまみ者をビジネスの種にした男がいた。海地獄に観光資源を見出した実業家・千壽吉彦翁である。最初は零細な“見世物”だった地獄めぐりも、循環道路の建設によって内外の観光客が訪れるようになった。そして“別府観光の祖”と顕彰される油屋熊八(別府亀の井ホテル創業者)が、昭和天皇の行幸にあわせて、国内初となる女性ガイドつき周遊定期バスを昭和3年(1923年)に運行開始。“地獄めぐり”は別府観光の目玉に急成長する。ちょうど僕らが物心ついた頃、昭和40年代の初めには、別府は一大レジャーエリアだった。
「杉乃井ホテルのCM必ず流れていたにゃ」
★ ★ ★
以上が教科書的備忘録。実はこの歳になるまで、海地獄は訪れたことがなかった。関東地方は相変わらずはっきりしない天気が続いていたが、大分は晴れの予報。うむ。登山以外であれば確実に晴れる。本当は僕、ハレ男なのかも。
機上の人となって窓ガラスに鼻をくっつける。中部地方は生憎、雲の多い天気だったが、3000㍍級の山は誇らしげに山頂を覗かせていた。
一時間半で国東半島が見えてくる。標高は低いが、ここも面白い山歩きができる。爺さんになった時のためにとっておこう。大分空港に到着後、レンタカーを借りて、とりあえず別府市内を目指す。日出(ひじ)バイパス経由で40分くらいだ。
この日は平日。しかもお昼間近とあって観光客は殆どいない、天気もいいし、いい写真が撮れそう。
入場料は400円。地獄めぐり七箇所を踏破するなら共通券(2,000円)がお得。僕らは投宿の都合でニ、三箇所が限界だった。長屋門(上の写真)を潜ると、まずレストランと饅頭屋が見えてくる。
そのすぐ先で、足湯、赤池、温室に続く道が枝分かれする。
蓮池に沿って進むと売店があり、その中を通過すると、お目当ての海地獄だ。
この蓮池も雰囲気がある。ちょうど花の季節だった。
池の奥には子供が載っても落ちないオオオニバスがある。
「むかし、ジャポニカ学習帳で観た」
そうね。僕ら世代が子供の頃、奇妙な生物といえばジャポニカ学習帳だったよな。
さて、いよいよ海地獄だ。
「おー!映えるのー♪」
天気がいいから一層綺麗。硫化鉄の仕業で青く光が屈折するそうだよ。
「あんまりひとがおらんのも好い」
ほんとだったら外国人が大挙して押し寄せているはずだからね。
この日は風があったので、風向き次第で熱泉の水蒸気が降りかかる。硫化水素を含んでいるので、カメラやスマホは綺麗に拭きましょう。そのうち錆びます。
絶景だよ。来てよかった。
「うで玉子があるにゃ」
大の温泉卵好きだもんね。
すごいよね。鶴見岳が噴火した1200年前からずっとこの調子だっていうから。
「そりゃ農民はたまらんね」
土産物コーナーの二階は資料館になっている。現在の五代目・千壽智明さんが社長就任した2017年に大幅リニューアルを図ったそうだ。外国人や女子うけしそうなショップやレストランの敷設、夜間営業や各種イベントは、従来の見世物小屋的発想から脱皮している。他方、これまでの歴史にも、きちんと敬意を払っている点も好感が持てた。
「温室にもいってみたいだよ」
ぜひぜひ。
あれ?ここにも血の池?昔はなかったような気がするけど。一度にいろんな地獄が見られるって戦法かな。さすが。地獄営業一号店。やることにそつがない。
温室の中には沢山のスイレンの仲間が咲き誇っていた。表示がないので名前が全然判らん。(オオオニバス展示と記されていたが、普通の熱帯性スイレンだけだった)
なので名前はネット検索。
熱帯性スイレン“ブルースパイダー”
熱帯スイレン“マイアミローズプロイデン”
熱帯性スイレン“イノセンス”
いや~圧倒されるね。どれも遺伝学的には同じ種なんだろうな。
ということで、展示物やショップなど、工夫が感じられる施設だった。当然、自然の造形としての海地獄もとても興味深かった。
平成21年には、白池地獄、竜巻地獄、そして、血の池地獄とともに、国指定名勝に選定された。皇族や偉人、著名人も多数往訪。これからも“美しい日本”を代表する景勝地として長く続いて欲しい。さて時間はまだある。その前に飯を食おう。
「もうすぐお昼だにゃ」ハラヘッタ
(つづく)
ご訪問ありがとうございます。