軽井沢高原文庫

2025.4.26~2025.7.14



「戦後80年 戦後文学を拓いたひとびと~荒正人サイン入り献呈本約五〇〇冊一挙公開~」











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辻邦生展、高原文庫の会、高原の文学サロン、辻邦生山荘見学会の情報をHPにアップしました。

 本日、軽井沢高原文庫の今年の夏季特別展「辻邦生展」、および、高原文庫の会、高原の文学サロン、辻邦生山見学会の4つの情報を、軽井沢高原文庫ホームページにアップいたしました。どうぞご覧ください。http://www.kogenbunko.jp

 ここには、要点のみ、記します。

 まず、辻邦生展のタイトルと会期は、次の通りです。

生誕100年 辻邦生展―軽井沢と物語の美―」

2025年7月19日(土)~10月13日(月・祝) 会期中無休

 辻邦生展の会期中、3つの関連イベントを行います。同じ内容を軽井沢高原文庫ホームページにも記載しています。

 

[関連イベント]

高原文庫の会

「辻邦生さんをめぐる思い出」

講師:水村美苗(作家)

日時:8月2日(土)午後2時~

会場:軽井沢高原文庫中庭

料金:2000円/学生・友の会会員1500円

定員:80名

 

高原の文学サロン

「辻邦生夫妻とめぐりあって」

講師:青柳正規(東京大学名誉教授)

日時:8月31日(日)午後2時~

会場:軽井沢高原文庫中庭

料金:2000円/学生・友の会会員1500円

定員:50名

 

文学散歩

「辻邦生山荘を訪ねる」

講師:大藤敏行(館長)

日時:9月13日(土)午後1時~、10月4日(土)午後1時~、

辻邦生が1976年から24年間を過ごした軽井沢山荘を訪ねます。設計:磯崎新。内部見学あり。

集合:軽井沢駅(*送迎あり)

料金:2500円/学生・友の会会員2000円

定員:各16名 

予約受付:7/15(火)午前9時~

 

 イベントは、事前にチケットをお求めください。高原文庫の会、高原の文学サロンは、イベント料金に辻邦生展観覧料が含まれています。

 イベントのご予約は、EメールかFAXのみで受け付けます。Eメールkogenbunko@yahoo.co.jp/FAX 0267-45‐6626 でお申し込み下さい。
◎予約方法:メール、FAXタイトルにイベント名をご記入頂き、①開催日②人数③お名前(フリガナ)④ご住所⑤返信用メールアドレスFAX番号、ご連絡先電話番号を明記の上、お送りください。受付1週間以内に確認メール、FAXを返信いたします。
予約先(軽井沢高原文庫):
Eメール:
kogenbunko@yahoo.co.jp
FAX : 0267-45-6626

 

 

6/28∼「戦後80年 壺井栄『二十四の瞳』∼図書館情報学の世界から∼」を旧朝吹山荘で開催します

 軽井沢タリアセンと軽井沢高原文庫は、6月28日から8月31日まで、旧朝吹山荘「睡鳩荘」において、企画展「戦後80年 壺井栄『二十四の瞳』~図書館情報学の世界から~」を開催いたします。

 壺井栄の『二十四の瞳』(1952)は、戦争と平和を見つめた文学作品として、戦後の長きにわたり、親から孫の3世代にわたって広く読み継がれてきた小説です。

 今回、戦後80年という機会を捉えて、図書館情報学の視点によって大庭一郎氏(筑波大学 図書館情報メディア系)が収集なさった『二十四の瞳』の網羅的コレクションをお借りして、一堂にご紹介します。

 香川県小豆島出身の壺井栄(1899-1967)が執筆した『二十四の瞳』(1952)は、第二次世界大戦前後の日本社会を背景として、瀬戸内海の一寒村の岬の分教場に赴任してきた若い女性教師と12人の教え子との交流を描いた作品です。1952年にキリスト教系の家庭雑誌「ニューエイジ」に10回連載され、同年12月に光文社から刊行されました。その後も複数の出版社から版が重ねられ、今日に至っています。

 また、1954年に木下惠介監督・高峰秀子主演で映画化されると人気を博し、原作『二十四の瞳』も多くの読者を獲得しました。『二十四の瞳』はその後もアニメーション、映画、ドラマなどにたびたび映像化され、私たちにとって、とても身近な文学となっています。

 なお、壺井栄は、1956年に中軽井沢・上ノ原に山荘を建て、それ以降、晩年まで毎年5月から11月頃まで山荘で仕事をしていました。その意味で、軽井沢にゆかりの深い文学者です。

 この展覧会が、平和を考えつつ、今を生きる私たちに様々なことを考えさせる契機となれば幸いでございます。

 今年に入って、すでに数回、大庭さんから多くの資料をお借りしましたが、おととい、『二十四の瞳』ロシア語版がベラルーシの辰巳雅子さんから大庭さん経由で当館に届きました。辰巳さんにお礼のメールを差し上げたところ、「拙訳書がその他の立派な書籍や貴重な展示品のそばに展示されることになるのは、大変光栄なことだと翻訳を担当した弊日本語教室の生徒一同大変喜んでおります。」との丁重なご返事をいただき、胸が熱くなりました。

 なお、展覧会の開催にあたり、軽井沢町教育委員会の後援、岩波書店、KADOKAWA 、講談社、樹村房、新潮社(五十音順)の協力をいただきました。厚くお礼申し上げます。

 展覧会期間は、夏休みの時期とも重なりますので(もっと大事なことは広島・長崎原爆の日や終戦の日が含まれていることですが)、ご友人同士、またご家族連れで、よろしかったらお出かけください。

 料金は、大人200円、中学生以下無料(※但し、軽井沢タリアセン入園料が別途必要となります)。会期中無休。「睡鳩荘」は軽井沢高原文庫から徒歩5分の所にあります。

 ここにチラシの表裏を載せます。本日、軽井沢高原文庫ホームページにも掲載しました。  (大藤 記)

 

堀辰雄の命日、平松混声合唱団第40回定期演奏会 立原道造

 きょうは堀辰雄の命日です。堀辰雄は1953年5月28日、信濃追分の自宅で、多恵夫人にみとられながら永眠しました。

 10日ほど前、軽井沢高原文庫に移築されている堀辰雄山荘の展示ケース内に、新たに堀辰雄の初版本や雑誌「四季」などを展示しました。

 さて、きょうは、その堀に兄事した立原道造に関連する話題をひとつ、ご紹介します。

 きのう、東京・上野の東京文化会館で開催された平松混声合唱団第40回定期演奏会「40 th 里程標(マイルストーン)~戦後80年を辿りながら~」に参加してきました。私は去年も演奏会に足を運んでいますが、今回、記憶に残る、すばらしい演奏会でした。

 昨年、軽井沢高原文庫の夏季特別展「生誕110年 立原道造展~夭折の生涯を辿って~」の関連イベント「高原文庫の会」で、平松剛一氏(指揮)&平松混声合唱団(団長・廣谷恵津子さん)に「立原道造の詩を歌う」というテーマで合唱を披露していただきました。青空の下、歌を通じて立原道造の詩を聴く喜びは、格別なものがありました。

 今回の曲目は、戦後80年を辿ると共に、合唱団の第40回という節目にあたることから団員で過去の曲を振り返りつつ選んだとのことで、奥行きのあるプログラムになっていました。原爆体験記「長崎の鐘」をモチーフにした歌謡曲「長崎の鐘」(サトウハチロー/詩、古関裕而/曲)なども歌われていました。ピアノは渕上千里氏。

 そうしたなか、前半の冒頭にずらりと並べられた5曲、谷川俊太郎さんの詩(「二十億光年の孤独」木下牧子/曲、「日本語のおけいこ」寺島尚彦/曲」)と、立原道造の詩(「爽やかな五月に」小林秀雄/曲、「さびしき野辺」同/曲、「風に寄せて その1」尾形敏幸/曲)は、強く印象に残りました。「風に寄せて その1」は、若々しさがみなぎった、合唱人にとって人気の高い一曲として知られますが、思いがけず私の隣りに作曲者の尾形さんが座っておられ、休憩時間に少しお話させていただきました。

 もう一つ、私が予期していなかったことは、パンフレットに寄せられた主宰者の平松剛一氏による合唱団の歴史を振り返った文章の中で、「昨年8月軽井沢高原文庫において、生誕110年立原道造展『立原道造の詩を歌う』に出演させて頂き、道造ファンと共にその世界を満喫することができ、貴重な体験となった。」と昨年のことに触れていただいたことでした。軽井沢での公演が、平松先生や合唱団の皆さまにわずかでも何かを加えるものがあったとすれば、望外の喜びです。

 ここに、きのうの演奏会パンフレットの表紙と、「ひらこんと詩人たち」の谷川俊太郎・立原道造の頁を載せます。高原文庫前での合唱団の皆さんの写真も大きく掲載されています。 (大藤 記)

 

 

最近の出来事から

 きょうは、寒い一日でした。きょうの軽井沢は最高13度、最低9℃。先日、軽井沢で29℃近くまで上がったことが嘘のようです。

 軽井沢高原文庫は4月26日から「戦後80年 戦後文学を拓いたひとびと~荒正人宛サイン入り献呈本約五〇〇冊一挙公開~」を開催しています。まもなく1か月が経とうとしています。

 このテーマに関心のある方が遠方からもお見えになっています。共同通信が記事を配信したことによって、北日本新聞、下野新聞、静岡新聞、福井新聞、山陰中央新報、沖縄タイムスなどに載ったようで、戦後文学をテーマにした文学展示が軽井沢で行われていることを、全国の方に知っていただけるということだけでも、誠に有難いことです。

 しばらく記しませんでしたので、記憶を頼りに最近の出来事を記します。

 きょう、東京外国語大学大学院で日本文学を専攻しているという中国人留学生が来館されました。村上春樹を研究している女性でした。

 きのう、梶井基次郎の親類に当たるという女性がご主人といらっしゃいました。そのご夫妻は、1年の約半分を軽井沢で過ごしているそうです。

 4日前、町田市民文学館の本松碧さんが、茅ケ崎市美術館学芸員の方と来館されました。町田市民文学館で今年開催されるという展覧会に関して、本松さんと2時間ほど、お話させていただきました。同じ日、詩人の中村稔先生から私宛に速達のお葉書をいただきました。ある事柄について教えてほしいという内容でした。中村先生は98歳。ご丁寧な文面に恐縮しました。

 5日前、富山県立高志の国文学館の綿引香織さんが見学に訪れました。綿引さんは昨年春、同館で開かれた堀辰雄展の担当学芸員です。

 少し前ですが、5月17日、当館主催の今年度初イベント、文学散歩「新緑の旧軽井沢を歩く」を開催しました。島根県松江市から参加された女性教師の方がいました。愛宕山下の古い別荘地帯や桜の沢周辺を歩き、グランドオープンして初シーズンを迎える万平ホテルの内部見学も行いました。

 このように、毎日のように、誰かしら来館されたり、何かがあったりしていますが、5月の大型連休明け以降、私自身はそれらとは別のことで、とても忙しい日々を送っていました。6月28日から旧朝吹山荘「睡鳩荘」でスタートする展覧会(後日、改めてご紹介します)のチラシ原稿の作成、および、そこに掲載する画像の用意、その展示資料の受け取り、「高原文庫」第40号への広告願い、7月19日から軽井沢高原文庫でスタートする生誕100年 辻邦生展のポスター原稿の作成、および、ポスター写真の選定と用意、辻邦生展のチラシ原稿の作成、および、そこに掲載する画像の用意などです。

 きのうの夕方、辻邦生展チラシ原稿&画像を東京の熊谷事務所へ送ることができ、まずはほっとしています。とにかく体調を崩さずにきょうを迎えられたことを、まずもって喜びたい気持ちでいっぱいです。

 写真は用意していませんので、ここには、2年前の今頃、私が撮影した当館裏庭の堀辰雄1412番山荘の画像を載せます。今、軽井沢の緑はこんな感じです。 (大藤 記)

堀辰雄1412番山荘  2023.5.20 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

谷川俊太郎さん お別れの会

 昨日、「谷川俊太郎さん お別れの会」が東京都内のホテルであり、参加させていただきました。谷川さんは昨年11月13日に92歳でお亡くなりになりました。

 会場には、谷川さん宅の庭をイメージしたという、あじさいなどをあしらった庭園風の祭壇が設けられていました。私も入室の際に手渡された松虫草をささげました。ざっと見渡したところ、参加者は約600人。

 私は会場の前のほうにいましたが、前方には長男・谷川賢作さん、左のほうに池澤夏樹さん、私のすぐ右隣に池辺晋一郎さん、斜め右のほうに高橋睦郎さんがいらっしゃいました。フリーアナウンサーの渡辺真理さんの司会により、まず吉増剛造さんがトップバッターで挨拶され、やや神妙な面持ちで、この6か月間、喪に服していた、谷川さんが夢枕に立って、「あ!」(「あいうえお」の「あ」)と言ったと飄々と話されていました。そのあと、阿川佐和子さんの挨拶と献杯のご発声、断続的に休憩を挟みつつ、池澤夏樹さん、編集者刈谷政則さん、伊藤比呂美さん、糸井重里さんがそれぞれ興味深いお話をなさり、最後に谷川さんの長女でニューヨーク在住の志野さんの日本語と英語のスピーチ、志野さんの娘・カイさんによる英語と日本語での谷川さんの詩の朗読、谷川賢作さんの娘・夢佳さんによる谷川さんが夢佳さん誕生時に書いたという詩の朗読があり、一番最後に賢作さんのお礼の言葉とピアノ演奏でお開きとなりました。あっという間の楽しい2時間でした。

 戦後の現代詩人として、独立独歩で途方もない仕事を成し遂げられ、最後はスーッと彗星のように宇宙へ帰還されてしまった谷川さん。

 帰りに参加者に配られた非売品『別れの詩集』冒頭に、谷川さんのこんな言葉を見つけました。「僕は今、肉体は洋服と同じように脱げると思っています。脱いだ後に魂が残って、魂がチョウチョみたいに宇宙に飛んでいく。だから僕は死ぬのが楽しみ、どうなるんだろうという好奇心があります。」 

 ここに載せる画像は、22年前、軽井沢高原文庫で谷川俊太郎展を開催させていただいた折の、「高原文庫」第18号(詩人の50年 谷川俊太郎展)表紙です。写っているのは、高原文庫庭の谷川さん(撮影年は展覧会よりもさらに10年余り遡ります)。谷川さんの頭上に偶然、うつり込んでしまった館内のワイシャツ姿が若き日の私です。撮影者は川端康成さんの撮影で著名な柿沼和夫さん。 (大藤 記)

「高原文庫」第18号(詩人の50年 谷川俊太郎展) 2003年7月刊

 

 

 

2025展覧会&イベントスケジュールを当館ホームページにアップしました。辻山荘見学会は2回開催。

 きょうは大型連休の後半の5月4日。みどりの日。軽井沢は晴れ。空には少し雲が見えていますが、暖かい一日となりそうです。

 ここに、さきほど軽井沢高原文庫庭で撮影したサクラソウの開花した様子を載せます。サクラソウは軽井沢町の町花でもあります。

 春の展示「戦後80年 戦後文学を拓いたひとびと~荒正人サイン入り献呈本約五〇〇冊一挙公開~」が始まり、1週間がたちました。朝日や信濃毎日に続き、4月28日には共同通信が記事を全国の地方紙に配信してくださったようですので、これから遠方からも関心のある方がお見えになるかもしれません。一昨日は作家・佐多稲子氏のご遺族や日本文学者ドナルド・キーン氏のご子息キーン誠己さんが来館されました。

 会期は7月14日までですので、皆さまもよろしかったら、お出かけください。けさ、荒正人氏の次女・荒このみさん(東京外国語大学名誉教授)から追加資料として送っていただいた小田実著『何でも見てやろう』を展示したところです。

 最近、軽井沢高原文庫ホームページに「2025展覧会&イベントスケジュール」表をアップしました。7月以降の展覧会&イベントも公表できるものはお示ししています。http://www.kogenbuko.jp

 夏の高原文庫の会は8月2日(土)、高原の文学サロンは8月31日(日)に行います。講師名の公表は6月になります。

 また、時折、お問合せをいただく辻邦生山荘見学会についてですが、例年、6月、9月、10月の計3回、開催しておりますが、今年は夏に「生誕100年 辻邦生展(仮称)」を開催するため、6月は行わず、9月、10月の2回の開催となります。予約開始日は6月に入りましたら当館ホームページでお知らせいたします。

 なお、1週間後の5月11日(日)午前10時~、深沢紅子野の花美術館のイベント、「2025野の花さんぽ」第1回を開催します。まだ予約受付中ですので、お気軽にご参加ください。今年は、講師をお願いしている軽井沢サクラソウ会議がサクラソウの全町調査の年にあたっていて、現在、精力的に調査を行っています。その話も聞けるかと思います。 (大藤 記)

 

 

 

2025.5.4 軽井沢高原文庫庭 サクラソウ

 

5/17(土)13時~文学散歩・旧軽井沢編を開催します。学芸員実習。

 軽井沢は新芽が萌え出し、春の訪れを感じる季節となりました。ここに、さきほど撮影した軽井沢高原文庫とその周辺の様子を載せます。

 軽井沢高原文庫は4月26日から、企画展「戦後80年 戦後文学を拓いたひとびと~荒正人サイン入り献呈本約五〇〇冊一挙公開~」がスタートしました。今回、総勢154人の作家・評論家のサイン本を紹介しています。戦後日本に誕生した多くの名作にふれることができるでしょう。

 今日は、信濃毎日新聞の記事を見たという学校の先生をされている中年のご夫婦が、諏訪市から車で片道2時間半かけて見学に来られました。

 ところで、この企画展の展示入れ替え作業期間を含めて約1週間、1人の学芸員実習生が昨日まで来ていて、私と一緒に仕事をしていました。その実習生というのは、驚くなかれ、今年3月まで堀辰雄文学記念館館長だった土屋忠夫さんです。土屋さんは約1年半の館長時代、文学資料を扱う仕事が面白く感じられ、急に通信教育での学芸員資格の取得を思い立ったようでした。今は軽井沢町教育委員会におられます。

 さて、5月17日(土)午後1時から、軽井沢高原文庫の今年初のイベント、文学散歩「新緑の旧軽井沢を歩く」を開催いたします。辻邦生さんの晩年のエッセイに出てくる「青い魚の家」や、リニューアルオープンしたばかりの万平ホテルなど、今まで見学コースに入れていなかった場所も加えた新プランを考えています。皆さまも、よろしかったらお気軽にご参加ください。現在、予約受付中です。 (大藤 記)

「戦後80年 戦後文学を拓いたひとびと~荒正人宛サイン入り献呈本約五〇〇冊一挙公開~」始まる。

 きのう(4/26)から、軽井沢高原文庫の春の企画展「戦後80年 戦後文学を拓いたひとびと~荒正人宛サイン入り献呈本約五〇〇冊一挙公開~」が始まりました。7/14まで。

 本展は、戦後文学の草創期に活躍した文芸評論家の荒正人(1913-1979)に宛てて、作家たちが贈ったサイン入り献呈本約500冊を初めて一挙公開するものです。野間宏『暗い絵』、安部公房『終りし道の標べに』、原民喜『夏の花』、三島由紀夫『仮面の告白』、大岡昇平『野火』、堀田善衛『広場の孤独』、吉行淳之介『驟雨』、北杜夫『楡家の人びと』、大江健三郎『洪水はわが魂に及び』…。

 戦後文学の流れが一望することができます。皆さまも、作家や時代のエネルギーを感じることができる本にぜひ触れてみてください。

 なお、サイン本のほかに、「近代文学」関連資料、作家から荒正人宛書簡、荒正人原稿・遺愛の品なども展示しています。

 初日のきのうは、今回の展示で多くの資料をご提供くださった荒正人のご遺族の長女・植松みどりさん(英文学者)、次女・荒このみさん(米文学者)、みどりさんのご主人植松哲太郎氏(工学博士)ら関係者が東京からお見えになりました。

 きょうは、新潟県や千葉県、東京都など各地からお客様が見学に訪れています。また、元「群像」編集長の渡辺勝夫さんや、軽井沢町の土屋三千夫町長らが来館されました。植松みどりさん、荒このみさんは、きょうもお見えになりました。

 ここに、少し前ですが、4月16日の信濃毎日新聞に、4月18日の朝日新聞文化欄に、紹介記事が載りましたので、記録として載せておきます。

 この展覧会が、平和を考えつつ、あらためて戦後文学の豊饒な全体を見つめる機会となれば幸いです。

 (大藤 記)

軽井沢高原文庫 入口道路沿いの大看板

2025年4月18日 朝日新聞 文化

2025年4月16日 信濃毎日新聞 地域・東信(全県)

4/26∼「戦後80年 戦後文学を拓いたひとびと∼荒正人宛サイン入り献呈本約五〇〇冊一挙公開∼」

 軽井沢高原文庫では、4月26日(土)から、企画展「戦後80年 戦後文学を拓いたひとびと~荒正人宛サイン入り献呈本約五〇〇冊一挙公開~」を開催いたします。7月14日まで。

 この展覧会は、戦後80年という機会を捉えて、戦後文学の草創期に活躍した文芸評論家の荒正人(あら・まさひと、1913-1979)に献呈された約500冊を一堂に紹介するものです。

 荒正人は、敗戦直後の1946(昭和21)年、埴谷雄高や平野謙、佐々木基一、本多秋五、山室静らと文芸雑誌「近代文学」を創刊しました。荒は第2号に「第二の青春」、第3号に「民衆とはだれか」を発表するなど、戦後文学を主導する文芸評論家として活躍しました。

 荒の下には、大江健三郎や安部公房、三島由紀夫ら多くの作家が著作への批評を求めて本を贈りました。そうした中には、軽井沢に山荘のあった中野重治、佐多稲子、井上靖、福永武彦、中村真一郎、辻邦生、北杜夫ら、軽井沢ゆかりの作家も含まれています。

 「近代文学」は1946年1月(創刊号)から1964年8月(第19巻第3号)まで185冊刊行され、戦後文学運動の発火となりました。「近代文学」誌上には、埴谷雄高「死霊」、野間宏「青年の環」、安部公房「壁―S・カルマ氏の犯罪」(芥川賞)、島尾敏雄「田舎振り」、杉浦明平「ノリソダ騒動」、遠藤周作「白い人」(芥川賞)、辻邦生「廻廊にて」(近代文学賞)などが掲載され、「近代文学」は戦後文学において重要な役割を果たしました

 今回の展示では、荒正人宛サイン入り献呈本のほかにに、様々な作家から荒宛書簡、「近代文学」関連資料、荒の著作・自筆原稿等も紹介します。そのひとつ、「近代文学」終刊の頃の寄せ書き帖には、「罰がなければ逃げるたのしみもない」(安部公房)、「荒先生の『五月祭賞』に選ばれて小説を自分の仕事とした」(大江健三郎)などと作家がメッセージを残していて興味深いです。

 この展覧会が、戦後80年という節目を迎えるにあたり、平和を考えつつ、あらためて戦後文学の豊饒な全体像を見つめる機会となれば幸いです。皆さまも、よろしかったらお出かけください。

 今回展示する資料は、東京・杉並区在住の荒正人の長女・植松みどり氏(和洋女子大学名誉教授、英文学者)、次女・荒このみ氏(東京外国語大学名誉教授、米文学者)からお借りしました。心より厚くお礼申し上げます。

 ここに、展覧会チラシを載せます。 (大藤 記)

 

 

4/19~旧朝吹山荘‟睡鳩荘”で「磯野宏夫展」開催

 きょうは、今週末の4月19日(土)から軽井沢タリアセン内の旧朝吹山荘‟睡鳩荘”で始まる「磯野宏夫展」について、ご案内させていただきます。

 軽井沢タリアセンは、1996年のリニューアルオープンの時から、軽井沢タリアセンのパンフレットやチケットに、愛知県在住の磯野宏夫さん(1945-2013)というフリーランスのイラストレーターの方の作品を使わせていただいてきました。パンフレットには、豊かな自然の中に軽井沢高原文庫やアントニン・レーモンド「夏の家」、軽井沢郵便局舎などの建物が点在している様子が描かれています。そして、湖には数艘のボートがゆったりと浮かび、画面中央には渓流の宝石とも呼ばれるカワセミが飛んでいます。

 磯野さんは、1974年に八重山諸島の亜熱帯の森に魅了されて以降、約40年間にわたり、国内また国外の熱帯雨林などを訪れ、自然をテーマとした作品を描き続けてきました。東武動物公園や劇団四季などのポスターも手がけています。

 今回、磯野宏夫さんの作品を代表するエメラルドフォレストや聖剣伝説などの作品約30点を一堂に公開いたします。磯野夫人や王子製紙、スクウェア・エニックスなどから資料のご提供をいただきました。

 普段は、まとめて公開されることの少ない磯野さんの作品を、ぜひこの機会に軽井沢でご覧ください。

 会期は2025年4月19日(土)~同6月15日(日)。会期中無休。料金は大人400円、小中学生200円(軽井沢タリアセン入園料が別途必要)。

 ここに展覧会チラシの表・裏を載せます。 (大藤 記)

 

 

 

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